第一章18話 『ドイツ支部 三番隊VS.英国騎士』
ドイツ支部の屋敷の外は、戦いの音で溢れていた。佐倉梅は、廊下を歩いていた。私は、まだ子供だけど、三番隊隊長を任されている。隊員は、私の家のものたちだけれど、それでも彼らの命を預かるのはとても責任が重い。彼らをなくさないためにも、私の魔法でできるだけ多くの敵を倒さないと。佐倉梅は、抱いていたぬいぐるみを強く抱き締めた。
屋敷の外に出ると、正面では、五番隊と六番隊の人達が、英国騎士と一対一で戦っていた。奥にいるサブリンが周囲にいた騎士たちと話し、こちらを見てきた。
「プライマリー、三番隊隊長の佐倉梅とお見受けした。すまないが、長門佐助殿、ここは通させてもらう。」
私たちのことを知っている?なぜ、知っている?予測魔法による情報?それともプライマリーの誰かが情報を漏らしている?後で頭首に報告しておかなきゃ。
「おい!まてぇぇぇ!」
佐助さんが呼び止めるが、サブリンたちは、構わず進んでくる。そして、サブリンが剣を抜くと、両サイドにいた騎士も剣を抜く。それをみた私の両サイドにいた松原ともう一人が前に出ようとするが、それを手で止める。
「世界魔法協会の名にかけて、世界の秩序を乱すプライマリー、三番隊隊長、佐倉梅。成敗させていただく。今ならまだ間に合います。投降してくれませんか?」
その誘いに私ははっきり答えた。
「お断りします。私は世界を変える。よりよい世界に。アクティベーション!」
魔法を展開させる。
「お願い、クマさん、ウサギさん。」
抱いていたクマさんが巨大化し、私の手元から離れる。そして、その隣には巨大化してウサギさんも現れた。
「残念です。まだあなたには時間があると思っていたのですが、仕方ありません。アクティベーション!」
サブリンに続いて、他の騎士も魔法を展開させる。それにあわせて、松原たちも展開させて、松原は、刀・加州住藤島友重を出現させていた。サブリンの剣は、黄金に輝く聖剣・エクスカリバーに変わっていた。
「さあ、始めましょう。」
私は、クマさんとウサギさんをサブリンのもとへと走らせる。しかし、そこには先ほどの二人の騎士が邪魔をする。さらに多くのクマさんとウサギさんを生み出し、サブリンに向かわせる。サブリンは、今度こそぬいぐるみたちを相手にした。けれど、サブリンは華麗にぬいぐるみたちの攻撃をかわす。
「このくらいは容易いですね。やはり隊長とはいえお子様が相手ではこの程度でしょうか。」
そういって、サブリンはぬいぐるみたちを斬りに行く。ぬいぐるみたちはあちらこちらに散り始めた。そこで、私はぬいぐるみたちに指示を出す。それは、標的をサブリンから六番隊が相手している騎士たちに向けた。フリーになった六番隊隊長・佐助は、サブリンのもとへ飛び込む。
「これでようやくあんたと戦える。」
そこで、佐助とサブリンとの一騎打ちが始まった。私は、それを邪魔しないようにぬいぐるみたちを戦わせる。手の空いた隊士たちはまだ奥に控えている英国騎士へと向かい、戦う。私は、ただそれを突っ立って見ていた。
私は、魔法社会の名門貴族、佐倉家に生まれた。何にでも恵まれ、何一つ不自由のない生活を送っていた。しかし、11歳のある日、家に世界魔法協会のひとたちがきて、お父さんとお母さんを連れて行った。その理由は、両親が知ってはいけない秘密を抱えているとういうことだった。両親は、協会が直轄する牢獄に収容され、さまざまな魔法における実験のモルモットにされた。その事実を知ったのは、両親が捕らえられてから、約一か月後の学校でクラスメイトに言われて知った。私は家に帰って、数日間家に閉じこもった。執事や使用人たちは私のことを心配した。もちろん、私の専属の執事である松原武人も。私は、ある晩、決心した。両親を救い出すことを。そのことについて松原に相談してみた。松原は快く受け入れてくれた。そして、私のことを絶対に守ることを、佐倉家を協会から守ることを誓ってくれた。それから、二人で、時には、執事たちと作戦をたて、それを実行した。牢獄の門を正面から破り、突入した。当然、出てくる看守たちや警備兵を倒しながら進んだ。お父さん、お母さんがいたのは、地下牢の一番奥だった。しかし、そこには本来の二人の面影はなかった。実験で心身ともに壊れ、人ならざるものへと変わり果てていた。その時に、部屋に入ってきた人物があった。それは、今でいう前・生物魔法の最高魔法師、アドルフ・ドップラーだった。彼の話によると、両親がああなったのは、彼による魔法の実験せいらしい。彼は、人ならざる容貌へと凶変した両親に命令し、私と松原、二人に攻撃させた。私たちが手を出せないだろうと思って。だけど、そうはいかなかった。私は、ぬいぐるみたちを出現させ、凶変したお父さんとお母さんを自ら殺した。そして、松原と二人で協力して、最高魔法師、アドルフ・ドップラーをも倒した。そのあと、ぬいぐるみたちにお父さんお母さんの遺体を担がせて、そこから撤退した。家の敷地内に両親を埋葬した。そして、私たち、佐倉家は世界魔法協会の敵となり、家の敷地を守る毎日が始まった。私は、最高魔法師を殺した大犯罪人として追われる身になったのだ。そんななか、日本から宮沢総司という男が現れた。そして、プライマリーに入ることを進めてきた。私は、頭首に佐倉家の財産と土地を明け渡し、執事ともどもプライマリーに入った。そして、いまここいるところが、私が住んでいた屋敷だ。
そんな屋敷が今、協会の手によってけがされようとしている。両親のことといい、屋敷のことといい、どこまで汚せば気が済むのか。私は、協会を許さない。だから、ここで、協会から送られた彼ら英国騎士を倒す。私は、一層強く、ぬいぐるみたちに命令し、攻撃の激しさを増した。そして、松原たちに命令する。
「どこまでも変わりなく、無礼な協会に罰を。ハンムラビ法典には、目には目を、歯には歯をとあったように、非人道的な行為には非人道的な行為を。彼らに与えてあげなさい。そして、彼らを一人もこの屋敷から逃さないで。両親が味わった苦しみを教えてあげなさい。全員、本気でこの怒りをぶつけなさい!作戦開始!」
絶対に許さないんだから。私の戦いは協会が終わるまで続く。なんとしてでも倒して見せる!
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