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エンドレス・マジカルライフ  作者: 沖田一文
【第四章】天界編
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第四章3話『天使と悪魔、神と魔王』

 私とドロシーが席に着くと、ミルカが進行を務めた。

「みな揃ったので、これより現在の状況を説明する。」

 すると、目の前のテーブルの上に魔力でできたスクリーンが現れ、アニメーションが流れ始めた。その動きに合わせてミルカは話を進める。

「ではまず、なぜ皆がここに集められたかだが、端的に言えば、悪魔と戦うためだ。天使諸君は知っているが、天界に悪魔たちによる襲撃があった。いや、奇襲と言うべきかな。これにより、わずかではあるが、天界が戦場となった。そして、残念なことに我々は2人の大天使と多くの天使たちを失うことになった。現在は、悪魔たちを冥界へと押し戻し、軍神アレース様率いる天界軍が戦線を維持している。」

 と、ここでアニメーションが終了した。だが、ミルカは話を続ける。

「そこで、召喚されたのが結衣だ。結衣と我々でこの戦いを終結させるのだ。さて、敵の情報だが、これはアヴェティに説明を頼もう。」

 そうして、アヴェティは立ち上がり、話し始める。

「私たちは、悪魔軍を指揮している魔王サタンを倒し、さらに冥界の主であるハーデースとペルセポネーの2神を相手にする。正直、あとは雑魚同然。この3方をどうにかすればいいだけ。だが、相手は神と悪魔の王。人間が神に勝てるとは到底思わない。しかし、主神ゼウス様は君を召喚するように告げた。君はいったい何者なんだい?」

「そこまでだ、アヴェティ。敵に関してはよくわからんかったが、まあいいだろう。結衣よ、ゼウス様から面会を申し付けられている。本来、人間が神に直接会うことなど決してないものだ。しっかりと身体を清め、こちらが用意した装束を着るように。もちろん、失礼のないように!ドロシー、あとは頼んだぞ。」

「承知しました。結衣様、こちらへ。」

 こうして、私とドロシーは退出した。

「我々は作戦を練る。何か案を出せ!」

 と、私たちが居なくなった後もミルカによるちょっと強引な会議が続くようだった。


 ドロシーに連れて来られたのは浴室だった。

「ここで、身体を綺麗にしてもらいます。服を脱いでください。」

「え?わかったけど、その、こっちを見るのやめてくれますか?」

 ドロシーはまじまじと興味深々な様子で見てくる。

「なんでですか?私、人間の身体を見るのが初めてで、その何というか、興味?があるんです。」

「うーん。気持ちはわかったけど、恥ずかしいのでやめてください。」

「でも、どうせ結衣様のお身体を洗うことになるので。」

「どうせ?お身体を洗う?自分でやるので大丈夫です!」

「いえいえ、これは私の役割ですので、しないわけにはいきません。」

「・・・どうしても?」

「はい、どうしてもです。ですから、遠慮なく服を脱いでください。」

 うわぁ、これは言っても変わらないやつだ。仕方ない。

 こうして私は諦めて、素早く服を脱ぐと脱衣所からお風呂へ小走りに向かうのであった。そして、先にシャワーで水を浴びる。遅れてドロシーも来た。

「待ってください。これでも人間の姿になってまだ日が浅いんです。人間の体にはまだ慣れてないので、そんなに早くは動けないんですよ。」

 ドロシーが嘆いているのを聞いて、横目でドロシーを見ると、ドロシー自身も裸になっていた。

「えっ?あ、んん。」

 驚いたのを咳払いでごまかし、話を続ける。

「ドロシーまで、ハ、裸にならなくてもいいんじゃないかな?」

「でも、人間のみなさんはこうやって裸の付き合いをすると存じてますが?」

「んー、わかった。じゃあ、髪、洗ってくれますか?」

「はい、もちろんです。お任せください!」

 そうして、ドロシーは私の髪を洗い始めた。

 人間の姿になって間もないという割には丁寧にやさしく髪を洗っている。そして、髪を洗い終えると、体を洗い始めた。うん、これは、なんかむずがゆい。そんなこんなで私は体を清めたのであった。


 お風呂から出て、用意されていた装束を着る。そして、ホールへ行く。そこから、神がいる場所へ転移するらしい。ドロシーは、何度も「失礼のないように」と念を押してくる。ちなみに、ドロシーは一緒について来ないらしい。正確に言えば、「いけない」ようだった。天使は天使でも神に会えるのはごくごく限られた天使しか会えないようだった。あれ、天使ですら会えない神になぜ人間の私が会えるんだ?私が不老不死だから?そもそも神ってどんななの?人間の形をしてるの?それとも形ではない何かなの?どんどん謎が深まっていく。そうしているうちに、天井から光が降り注いできた。足元に青白い魔方陣が広がり、その空間に魔力がたまっていく。

「結衣様、頑張ってください!いってらっしゃいませ!」

 と、ドロシーが手を振ってお見送りをしている。そこは人間らしいと思えた。私も手を振って応えると、その瞬間転移した。



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