第四章2話『adamant』
次に目を開けると、前とは違う景色が目に入った。天井は天窓となっており、そこから青空を見ることができた。そして、壁に面している床部分が淡く光っている。それから、ベッドがふかふかになっていて、雲の上に乗っているかのようだった。
私は依然として起き上がることはできなかった。そこに突然何者かが姿を現した。1人ではなく、7人いた。7人はベッドの周りを囲み、私を見下ろす。
「これが例の人間か。ええ、言葉は通じているかね?」
正面にいる1人が言う。
「はい、大丈夫です。」
反射的に応えた。
「それなら良かった。勝手ながら天界の言葉が通じるように魔力に少々細工をさせてもらった。やったのは私ではなく、隣にいるアルファだがな。そうだ軽く自己紹介をしよう。アルファからお願いしよう。」
そうして、隣いるアルファという人物が自己紹介を始める。
「初めまして。アルファと申します。第七天使プリンシパリティーズ権天使です。よろしくお願いします。」
アルファは丁寧にお辞儀をする。
「次、ドロシー。」
私の右隣にいるドロシーが自己紹介をする。
「改めましてドロシーです。第八天使アークエンジェルズ大天使です。この中では1番経験が少ないですが、結衣様のお世話等頑張らせていただきます。よろしくお願いします。」
ドロシーは慌ただしくお辞儀をする。
「次、ナタリア。」
今度は私の左隣にいる人物が自己紹介をする。
「初めまして、私はナタリア。テレシアとは双子だ。髪が短いのが私で、長いのがテレシアだ。私は魔法が苦手だけど、物理攻撃なら得意だからよろしく!」
ナタリアは元気よくガッツポーズをとる。
「んじゃ、次テレシア。」
テレシアはナタリアの隣にいる。
「初めまして、テレシアです。テレシアは魔法が得意です。ナタリアはテレシアのものなので、そこのところはよろしくお願いします。」
テレシアは最後はちょっと怖い感じだった。
「次は、アスピア。」
アスピアはドロシーとアルファの間にいる。
「私はアスピア。第五天使ヴァーチューズ力天使よ。私がいることであなたに奇跡が起こるわ。例えば、こんな風にね。」
そう言ってアスピアは指を1本立てて、指先を光らせた。そして、その光は私の身体へ入っていく。すると、私は身体が軽くなり起き上がれるようになっていた。
「これが奇跡。だから私がいれば安心よ。これからよろしくね。」
アスピアはウィンクをしてアピールする。
「次、アヴェテイ。」
アヴェテイは正面の人の左隣にいる。
「私の名はアヴェテイ。第六天使パワーズ能天使。たぶん、この作戦の要となるはず。よろしく。」
アヴェテイは、軽く会釈する。ちょっと暗めな雰囲気はする。
「そして、最後は私、このグループを取り仕切るミルカだ。第四天使ドミニオンズ主天使である。人間に姿を晒すことが出来る最後の階級だ。そして、上位階級である三方と連絡を取れる階級でもある。そして、それは主である神様にも伝わるということになる。心に留めておくとよい。さて、この後は今何が行われているのか、どうして結衣がここにいるのか、などという説明をしたいのだが、動けるようになった現在、ここで話を進める必要はなかろう。場所を変えて続きといこうか。ドロシー、結衣を案内しなさい。私たちは先に行っている。」
そう言って、ドロシーを残して6人はこの部屋を去っていった。
残された2人は顔を合わせ、私はベッドから出て立ち上がる。私はいつものように、パーカーを羽織り、ミニスカを履いていた。ドロシーがここまで運ぶときに何かしたのだろう。
「それでは、行きましょうか。この部屋は結衣様の寝室となり、ここからほかの部屋にいくには、テレポートをします。それには、ここにある本に触ることによってできます。結衣様の寝室の出入りはこれしか方法がありません。私たち以外のものがこの本を触っても何も起きませんので、セキュリティ面は安心です。」
ということで、私はドロシーに催促をされ本を触る。すると、瞬きをしたら、違う部屋に来ていた。その隣にドロシーも来る。
「ここが、3階ホールになります。結衣様はこの3階で普段はお過ごしください。2階、1階は、私たち天使の住処あるいは倉庫となっています。では、左の部屋から行きましょう。」
このホール、それだけでなく、この建物は白い石材でできているようで、神殿の中にいるみたいだった。通り道には赤い絨毯が敷かれており、足音は響かないようになっている。そして、左側の部屋に入ると、ラウンジのような空間が広がっていた。目の前の壁側にはコーヒーセットやティーセットなどちょっとした飲食物が置いてある。
「ここは、リビングといいましょうか、ゆったりとするための部屋です。おそらく、結衣様はここで普段をお過ごしになるかと思います。ここにあるものはご自由にお使いください。それと、部屋に入って右側にあるのは御手洗になります。お掃除は毎日私がしますので、気兼ねなくお使いください。」
次に、ワープして真正面にあった部屋に行く。その部屋を道なりに進むと更衣室とお風呂があった。
「ここは浴室になります。自由に入って下さい。掃除はもちろん私がします。」
それから、今度は残りの部屋に行くと、大きなテーブルがあり、みんなが座って待っていた。
「ここはキッチンダイニングになります。ここでみんなで食事をします。お料理は基本的に私がしますので、楽しみにしてくださいね。それと、この部屋は見てのとおり会議室にもなります。堅苦しい話し合いはここでします。では、結衣様こちらへお座り下さい。」
私は促されるがままに椅子に座った。




