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エンドレス・マジカルライフ  作者: 沖田一文
【第三章】学園長編
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第三章34話『大西洋決戦Ⅵ』

 日独伊連合艦隊上空。アメリカ魔法軍と日独魔法連合部隊は交戦していた。日本の部隊は艦隊を守る役割を、ドイツのニンフェンブルク小隊は敵の迎撃・殲滅を目的に行動していた。アンとエーミール中将とミハエル中将は共に敵将であるジェシカを相手にしていた。主にアンは補佐役、仲の悪い兄弟が戦闘する構図である。とはいえ、ひたすら突撃するエーミール中将、少し引いたところで魔法を放つミハエル中将、強化・回復、予測などの魔法を使うアンという典型ができあがっていて、ジェシカはこれに対応していた。ジェシカは攻撃に対抗しつつ、合間を縫って銃から魔法を放つ。その攻撃は3人対して同時に行われるものであり、連携を少しずつ崩していった。そして、ジェシカはチャンスを得たのだった。3人に攻撃を放った後、強化した速さでエーミール中将の死角に回り込み、集中攻撃をした。防御結界を壊し、魔弾を数発エーミール中将の身体に侵食させる。エーミール中将は口から血を吐き出し、ジェシカをじっと見る。それからすぐに魔法が解け、エーミール中将は海へと落ちていった。エーミールが落ちていく姿を見て、ミハエル中将とアンはそれぞれ悔しさと悲しみを覚え、ミハエル中将はその憎しみを魔力に込めてジェシカに向けた。アンは泣き崩れ、戦意を消失する。隊長の死は他の隊員にも伝わり、戦況は傾いた。ジェシカはさらにそのチャンスを生かし、戦意をなくしたアンに向けて攻撃を放つ。アンはそれに気づいたが、防ぐこともままならず、自分に向かってくる攻撃を見ているだけだった。だが、そこにアンの目の前に人の姿が現れ、飛んでくる魔砲弾を払いのけた。黒いスカートの裾がなびき、背には白い天使の翼が生えている。彼女はすぐに足を前に踏み出し、ジェシカに向かう。一瞬でジェシカの目の前にたどり着き、剣を横払いし、ジェシカの両手から拳銃を斬り捨て、それから袈裟斬りをした。ジェシカが後ろへよろめいたところ、ミハエル中将が業火でジェシカを攻撃した。

「くっ!せめて道連れにしてやる!」

 ジェシカはそう言い、何か魔法を唱え始めたが、ミハエル中将はさらに炎の威力を強め、炎の檻を縮小していった。炎に縛られたジェシカは口を開けながら、何もできずに絶命し、焼き消された。その後、残されたアメリカの魔法使いたちは撤退をしようとするが、そのタイミングで現れたローマ魔法院の使徒たちにより、背を向けたものは攻撃の丁度良い標的となり、ことごとく撃ち落された。


 艦隊はというと、敵の航空戦力によって損耗していた。敵戦闘機から放たれたミサイルにより、防空を担っていた学園の生徒たちをかいくぐり、艦隊を襲っていた。学園の生徒たちは大宝寺月海(るう)のおかげで死者はいなく、軽傷程度で済んでいた。敵魔法使いを掃討し、ローマ魔法院の使徒たちが加わったことで少しは休息ができるかと思われたが、敵艦隊はさらなる作戦を実行していた。戦艦による長距離ミサイルをふんだんに発射していた。ミサイル接近を探知した艦隊は直ちに防空ミサイルによる迎撃態勢に移る。同じく予測魔法により情報を得た魔法使い陣営も迎撃態勢をとった。結衣は、学園の生徒たちと戦意をなくしたアンを守るためにある手段に出た。

「日本の武士道、大和魂を胸にして。

 旧海軍の要となった、最高峰。

 技術を結集させてできた力を。

 桜吹雪を引き起こし。

 全砲門、開け!

 その真なる力を披露せよ!

 大和型一番艦・大和!進水!」

 結衣の背中から翼が消え、代わりに結衣を中心に魔粒子が渦を巻き、カラフルに光り始める。巨大な渦を経て、物体が姿を現した。結衣たちはその巨大な戦艦の上にすでにいた。そして、その戦艦は巨大な主砲を敵艦隊に向け、光を充填し始める。七色に輝くのは空気中より集められた魔力。その魔力を吸い上げ、力を貯めていく。そして、詠唱が終わるのと共に辺りの魔粒子は消え、集められた光も一瞬収まると、直後に魔力砲が放たれた。9本の光る輝く光線が迫りくるミサイルを破壊し、敵艦艇いくつかに直撃した。光線は艦艇を貫き、次々と爆散させていった。その轟音は時間差とともにこちら側へ伝わってきた。


 アメリカ第1群任務部隊司令長官ハーヴェイ・ホワイト大将は、深刻な表情をしていた。

「ジェシカは死んだのか?」

 部下に質問すると、

「どうやらそのようです。魔法部隊は全滅したとのこと。」

 その絶望的情報を聞いて、指示を出した。

「対艦弾道ミサイルを一斉掃射。これで奴らの頭数を減らす。」

「はっ!対艦弾道ミサイル全門装填!」

「装填完了!」

「司令、指示を。」

「全門斉射!」

「全門斉射!!」

 そして、多数のミサイルが発射された。しかし、驚くべき光景が見て取れた。カラフルに輝く渦が浮かび上がり、やがて巨大な船へと姿を変えたのだ。その船は主砲に光を溜め込み、レーザビームを出し、ミサイルを寄せ付け簡単に破壊した。それだけでなく、この船の横に並んでいた艦船たちを貫き、吹き飛ばした。

「被害報告、19の艦艇損失!うち空母5!」

 とんでもない光景と情報が流れ込み、アメリカ海軍の大将と言えどもホワイト大将は錯乱していた。

「あの宙に浮かぶ巨大戦艦はなんだ?」

「おそらく、日本の戦艦大和を魔法で召喚したものだと思われます。」

「大和だと!?戦闘機全機発艦させよ!それから大和を集中砲火!大和を先に沈める。」

「しかし、大和は魔法による改造を受けています。」

「それならばなおのこと。あの艦隊で1番危険なものであることに変わりはない。」

「了解。戦闘機全機発艦!モンタナ級ルイジアナは通常徹甲弾で大和を砲撃開始!」

「それから次の作戦を伝える。」

 こうして、危機的状況に陥ったアメリカ海軍第1群任務部隊は、旗艦エンター・プライズ艦内で運命を決める一手を考えた。

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