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エンドレス・マジカルライフ  作者: 沖田一文
【第三章】学園長編
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第三章33話『大西洋決戦Ⅴ』

 私は、敵から離れた上空で天候を操作する。それは話をしている間に先に進んでしまったイギリス艦隊の足止めを含めた攻撃である。氷塊を天より降らせ、海面に氷が溜まるまで続けた。これでしばらくは艦隊の動きが鈍くなるはず。そして、防御結界を張っていた敵魔法使いたちはこちらの攻撃が止むと、一斉に攻撃を開始した。それぞれが放つ魔法の色は輝かしく七色に発光し美しく見えた。今回のイギリスの部隊は集団行動に長けているようで一人一人を倒していくようなことは難しいと思った。指示をしているのはアークライト大将で、コントローラーオブザマジックとかいう別名第三魔法軍卿というのは本物の実力のようだ。大方、数多の作戦を考えていたのだろう。でも私はあなたを倒さなければいけない。ここにいる多くの命を消すのは簡単だ。そういうことはさっきまでやっていた。でも今回はあの大将を倒せばこの集団を止められると確信している。それほどまでにあの大将は信頼されている。まずは他の人たちの攻撃をなんとかしなければ。

 私は太陽の光ほどの明かりを繰り出し、相手の視界を奪った。それでも運良く瞬きをしていた人たちが攻撃をしてくる。でも、遠距離攻撃は余裕でよけられる。私は一気にアークライト大将との距離を詰めて、鎧がない首を狙って斬撃をした。しかし、剣がねじ曲がり、当たることはなかった。ここで今までに分かっていないことがある。それはこのアークライト大将の魔法についてだ。予測魔法でみても第三魔法軍卿だとかいう情報だけでその他の情報は隠されている。未だにどんな魔法を使ったのか分からないまま私は続けて攻撃をした。斬っても斬っても剣が通らない。当たる瞬間に剣が変形し、過ぎ去ってから元に戻る。これは物理魔法なのか、幻影の一種なのか分からない。私が離れたところで少し動きを緩めると、アークライト大将は光り輝く弓矢を出現させ、矢を射ってきた。放たれた矢も光を放ち、眩しい。予測魔法の力で矢を剣で向かい撃つ。とても重さを感じる矢だった。そうしているうちに視界が回復した魔法使いたちが攻撃を再開する。向かい来る様々な魔法攻撃に対処しながら、次の手を考える。このままでは体力が持たない。剣を持つ腕も辛くなってきている。斬撃もダメ、体力使うのもダメとなるともうまとめてやるしかないか。大将がどうするかでここにいる人たちの運命がかかっている。

「アステカの創造神テスカトリポカよ、悪魔と化し、あらゆるものを無へ還せ、リバース!」

 この黒い塊の魔法は無へ還す魔法。どんなものでも、たとえ光であろうとブラックホールのように呑み込み、消してしまう。

 しかし、アークライト大将は詠唱を始めていた。

「世界を襲う大洪水たる闇に対し、40日夜を耐えうる舟を創造し、隣人たちを救たまえ、ノアズアーク。」

 彼女によって生み出された大きな方舟はキラキラとし、そこにいる全員の魔法使いたちを乗船させた。

「空に約束の契たる証をかけ、進め、レインボー・テスタメント。」

 舟から遠方まで虹がかかり、舟は移動を始めた。私はすぐに魔法を解除し、黒い塊を魔粒子へ変え、それから再び詠唱を始めた。

「アブソリュート・アイスブロック」

 その魔法でアークライト大将を氷漬けにした。けど、私も魔法を発動させるのに夢中で最後にアークライト大将が放ってきた矢を左肩に受けてしまった。でもまだ終わりにできない。相手を追い払うために威嚇の意を込めて適当な数の氷結を作って舟目掛けて飛ばした。魔法使いたちが乗った舟は遠ざかっていく。大将が動けなくなった以上、自暴自棄にならない限りは戻ってこないだろう。私は刺さっていた矢を抜き取り、軽く治療する。あとは再び機動性を取り戻したイギリス艦隊をどうにかしなければ。1隻か2隻かあれば帰れるよね。

「じゃあ、空母2隻残して後は動けなくしてあげる。」

 私はスクリューを狙って魔法を何度も放つ。私の攻撃を受けた艦隊は主砲をこちらに向ける。すでに何隻かは動力を失い、浮き砲台となっている。私は対空砲とたまに飛んでくる主砲弾を避けつつ、艦船に対して爆撃の如く攻撃を続けた。なるべく爆散しないようにと急所は外し、手間をかけて艦隊の生命を削っていった。黒い柱を何本も上げながら、多くの艦船は秩序を崩し始めた。私に対する砲撃はなくなり、海へ身を投げる姿が確認できた。

「こんな寒い海に入るのはかわいそう。」

 慈悲をかけて、戦火から逃れようとする人々を全て空母の甲板の上に乗せてあげた。それから、沈みゆく艦船は塩水を飲み、分解するものや引火して爆発するもの、ひっくり返って潜っていくものなど様々な形で沈んでいく。イギリスの海兵たちはそれを見守っていた。

 私はその様子を見てから、アンたちのいるところへ向かった。その飛び去っていく姿をみた海兵たちは天使の悪魔と嘆いていたそうだった。

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