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エンドレス・マジカルライフ  作者: 沖田一文
【第三章】学園長編
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第三章31話『大西洋決戦Ⅲ』

 日独魔法連合部隊が後退し、報告を各国済ませる。海鈴大将はメイ中将と連絡をとり、作戦方針を決めた。その作戦をローマ帝国海上騎士団にも伝達し、行動を開始した。

「我ら日本艦隊は西方を叩く。第一艦隊は敵南方より進撃せよ。第三艦隊はそのまま進撃する。」

 海鈴大将が指示を出す。それと同時に日本艦隊、ドイツ大洋艦隊、ローマ帝国海上騎士団がそれぞれ各々の司令長官に従い、行動を開始した。

「戦艦は対艦弾道ミサイルを全砲門に装填。発射の指示を待て。」

 海鈴大将は低く冷静に言う。それに伴って戦艦8隻、主砲全64門が敵艦隊に向けられ、発射体勢に入った。私たち魔法部隊は艦隊上空で見守る。日本艦隊は停泊し、少しの沈黙が流れた。

「全砲門発射。」

 海鈴大将はその短い命令をはっきりと冷淡に言い放った。ほとんど同時に発射され、対艦弾道ミサイルは敵艦隊のもとへと飛び去って行った。

「機関全開!針路、北。ドイツ大洋艦隊に続くように回頭せよ。」

 艦隊は命中を確認することなく、うなりを上げて動き始めた。私たちはその様子と敵艦隊へのミサイル命中を確認し、艦隊に続いた。

 敵艦隊は、イージス艦よりミサイルを発射して対抗したが、原子力空母に命中したようで、攻撃からしばらく経った後に轟音を鳴らし姿を消した。


 それからアメリカの2つの艦隊はアメリカ方面に撤退を始めたようだった。日独の艦隊は北方にいる艦隊を追尾、ローマ帝国海上騎士団は撤退を決めたらしく、自国の魔法組織、魔法院の天使たちに援護されながら姿を消していった。

 しばらくしてから、南西よりアメリカの航空隊が飛んできた。

「敵航空隊接近!」

「ただちに対空陣形。防空ミサイルを装填。私たちは自艦を守る行動を。あとは魔法使いたちがやってくれます。」


 そういったことを海鈴大将はいい、空から見た艦隊は日本とドイツとの2つの円形となっている。

「空は俺たちの仕事だ。日本チームは防衛を重視してくれ、こっちはとにかく攻める。行くぞ、兄さん。」

 ミハエル中将は指示を出し、ドイツ部隊は前線に出た。私たち日本部隊は後ろから援護攻撃を行い、敵の数を減らす。飛んできたミサイルとかは未希が何重もの結界で防いだ。

 航空攻撃は幾度も行われ、私たちは同じように繰り返した。その際の損害はゼロであり、艦隊は追尾を続行した。

 しかしながら、戦慄が走った。敵多数の艦艇からなる大艦隊が接近中だったのである。海鈴大将は撤退を決し、メイ中将も同様の判断をとった。艦隊は針路を転換、回頭する。そこに敵航空隊が再び参る。多数のミサイルが放たれ、私たちはその対処に当たった。しかし、敵は更なる攻撃を加えてきた。対艦弾道ミサイルを多数発射し、通常のミサイルより倍の速度をもつ弾道ミサイルは私たちの頭上を超えて艦隊に向かった。私はいくつか魔法で破壊したが、数十もの弾道ミサイルが艦隊を襲った。それにより、日本艦隊は9、ドイツ側は6の艦艇を失った。

 ミハエル中将は、メイ中将と連絡を取り、艦隊は全速力で撤退し、魔法部隊は漂流した生存者を探してから撤退することにした。予測魔法を活用し、海面を探索する。探索するチームの他に敵機を迎撃するチームとにわかれた。探索中に敵機が来たのは一度だけで数名を救出したあと、私たちも速やかに離脱した。



 日独ローマ帝国の艦隊はロタにて停泊した。停泊中はローマ帝国の魔法院が敵の警戒と防衛の役をした。私たちは戦没者を哀悼してから休息と準備に入った。主に船員は艦艇のメンテナンスを、司令部は会議を行う。そして、今回魔法部隊からはミハエル中将だけではなく、エーミール中将とアンと私も出席した。


 ミハエル中将が進行を務めた。

「では、これより会議を始めさせていただきます。現在の状況として一言で表しますと、非常に戦力差があるということです。さらに申しますと、先程の損害はさらなる苦難を示します。本作戦は失敗とし、撤退を始めた方がよいか考えますが、皆さんはどうお考えでしょうか。」

「先に撤退した俺がいうのも難だが、俺たちにこれ以上の撤退という手段はない。閣下たちがそれを認めるわけがないのだ。」

 ローマ帝国海上騎士団団長ユリウスが言う。

「それに、私たちにはもう1つ撤退できない理由があります。現在は12月、予報によるとあと数日で吹雪となり、安全な航行はできません。さらに、イギリスが私たちを狙う危険が伴います。」

 メイ中将が訴える。

「それならば、私たちには戦う他、道はないのですね。」

「海鈴大将は何か案はございますか?」

「私たちの国は過去に海上特攻が行われました。それは失敗、いいえ見方を変えれば成功とも言うことができますが、無意味です。今ある戦力の最大限を出し、勝たなければなりません。そして、私たちには一番強く恐れられているものがここにいるではありませんか。」

「神城結衣、か。」

「ミハエル中将も同じことを思って彼女をここに連れてきたのでしょう?」

「結衣、君は何ができる?どこまでできる?」

 ミハエル中将に訊かれ、私は答える。

「私は恐らく何でもできるでしょう。しかし、制約はあります。魔法の暴走という枷があります。」

「魔法の暴走はどのようなときになる?」

「・・・詳しくは分かりませんが、感情的になると暴走するかと思います。」

「冷静さを失ったときだな。ならば、結衣は1人で前線に出て敵を殲滅した方が良さそうだな。」

「ミハエル中将、それはなぜですか?」

 私は立ち上がって問う。

「感情的になる原因のひとつは誰かを失ったとき、だから結衣にはみんなとは別行動をとり、戦いに臨んだ方が良いということだ。」

「わ、わかりました。」

 ミハエル中将の説明を聞いて静かに座る。

「それでは彼女の活躍を大前提に作戦を立てましょう。」

 海鈴大将が話を進める。


 この会議は数時間続いた。

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