表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エンドレス・マジカルライフ  作者: 沖田一文
【第三章】学園長編
137/158

第三章24話『東太平洋大海戦Ⅴ』

「全門斉射!」

 宮野少将の掛け声により、艦隊の主砲から砲弾が飛ぶ。はじめに狙うのは軽巡洋艦アトランタで、この艦は火力が厄介でこちらが火だるまにされる前に倒しておきたいのだ。しかしながら、うまく相手の速度が読めず、致命傷を与えることはできなかった。続けて次弾で撃沈を試みるが、装填の間に砲撃を受け、味方重巡青葉や軽巡球磨が被弾し、火災が発生する。敵艦隊の進行速度はこちらより速いようで思ったより早く近接戦に移行していた。そして、両艦隊は互いに速度を落とさずにすれ違い、魚雷を投下し、離れていく。

「各艦デコイ放出!すべて使い切っても構わん!」

 指示に沿って各艦から対魚雷のためのデコイを海中に放出する。魚雷はそのデコイの築き上げた見えない壁に反応して破裂する。こうしてすべての魚雷を回避することに成功した。でもそれはあちら側も同じであった。互いに雷撃作戦に失敗し、砲撃を続ける。しかしながら敵艦隊が向かう先には大和型戦艦が砲撃を続けている。敵艦隊は挟撃を余儀なくされる。そこで、敵艦隊はこちら側第一艦隊のほうに転舵を始める。急転舵で大和砲に横をさらすという大きなリスクがあった。案の定そのリスクによって敵軽巡アトランタとアストリア、重巡インディアナポリスとサンフランシスコが撃沈し、敵艦隊は戦艦と駆逐艦だけになった。敵アイオワ級戦艦イリノイとケンタッキーは、転舵中にもかかわらず対艦ミサイルをありったけ放ってきた。おそらく最後の足掻きであろう。それでも、あのミサイルを食らうわけにはいかない。宮野少将は急いで対ミサイルを装填させる。ミサイル自体は砲弾に比べれば大きいことから防ぎやすい。この対処を適切かつ迅速に行うことができれば、ある程度は防げるはずなのだ。

「ミサイル発射!」

 対ミサイルが発射され、ミサイル同士がひかれあって爆発をおこす。しかしながら、すべてを防ぐことはできなかった。ミサイルは戦艦長門の艦尾と伊勢と日向に計3発命中してしまった。これにより伊勢型戦艦2隻は火災が起こり、さらに被弾した3隻は浸水が起こった。これによって艦隊の速度は落ち、さらにはミサイル同士の空中爆発により、煙幕がかかって視認での敵艦隊捕捉は難しくなった。だが、レーダーは生きている。機器の性能に委ね、砲撃を再開した。機器による自動照準・自動装填であとは発射のスイッチを人間の手によって行うだけ。以前からこのシステムでやってきたが、見えない敵に対しては攻撃している実感がわかず、不安になるものだった。煙幕を使った砲撃は何度かしていたのにもかかわらずだ。そして、砲戦によってレーダー上から敵駆逐艦4隻が消えたが、こちらもアイオワ級戦艦の強力な主砲によって多くの水雷戦隊の艦艇が被弾し、退避して戦艦に隠れる状態になっている。

「煙幕の方向に向かって魚雷投下!水雷戦隊はすべて北側へ退避。ここからは砲撃によって殲滅する。」

 水雷戦隊は魚雷を投射し、退避し戦艦の影に隠れる。戦艦らは砲撃を続けた。運よく投下した魚雷が煙幕を抜けてきた敵艦数隻に命中する。これにより、駆逐艦2隻が失われ、戦艦ケンタッキーにも命中した模様だった。敵艦隊の速度が少し遅くなったとはいえ、このままでは十分に追いつかれる速度であった。残る敵艦は戦艦2、駆逐艦9であり、こちらは戦艦4と重巡洋艦4隻で対抗している。そこで宮野少将は駆逐艦を重巡洋艦に任せ、戦艦2隻を戦艦4隻で砲撃することにした。戦艦と重巡洋艦とで2手にわかれる。そして敵は戦艦4隻を先に相手することを選び、こちら側に向かってきた。間に駆逐艦が入りこんできたので、徹甲弾で駆逐艦を貫通させ、そのまま敵戦艦に命中させる。あとは近づいてきた駆逐艦に対しては副砲によって威嚇射撃する。同航戦で、戦艦同士の撃ちあいが始まった。駆逐艦に対しては遠方から味方が榴弾で砲撃し、燃やしてくれている。そして、勝負を決める決定的な一撃があった。戦艦長門による砲撃によって敵戦艦イリノイが誘爆を起こし、爆沈し始めた。その後ろを航行していた戦艦ケンタッキーは勢い余ってその沈み始めたイリノイに衝突し、そのはずみで船体が歪み、反動によってなのかまたもや爆発のよって沈み始めた。この時点で残るは敵駆逐艦6隻のみになっていた。しかしながら、宮野少将はこの6隻に対する砲撃を止め、航行を続けた。それは実の本命である敵空母を撃滅するためである。日はすでに傾き始め、空は赤くなってきていた。第一艦隊が水上打撃艦隊と戦闘をしている間に敵空母は味方航空機によって数が減っていた。エセックス級ヨークタウンとミッドウェー級フランクリン・D・ルーズベルトの2隻が傾いて沈んでいるところだった。残る空母はエセックス級レキシントンとフォレスタル級サラトガの2隻のみだった。しかしながら、艦隊に通信が入った。相手は空母サラトガより、降伏のお知らせであった。どうやら敵司令官は原子力空母ニミッツ級ニミッツではなく、サラトガにいたらしい。宮野少将はすべての攻撃行為を中止させ、敵将レオ・ハンプトン海軍大将の降伏を受け入れた。第一艦隊はサラトガの隣に停泊し、宮野少将らはサラトガに乗艦した。そして、生存者と残った艦艇は日本へ捕虜や押収として送ることに決定された。第一艦隊と第3群任務部隊の残存艦艇はともに航行し、大和らがいる海域まで移動し、宮野少将は移送を第四艦隊に任せた。海域にに残ったのは、大和ふくむ第一主力艦隊だった。大和型戦艦にそれぞれ隣接する形で第一艦隊の艦艇が停泊し、それぞれ修理を受けた。

 そして、修理を終えた翌日に第一艦隊は大西洋を目指して、直轄部隊とわかれ、航行を再開した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ