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エンドレス・マジカルライフ  作者: 沖田一文
【第三章】学園長編
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第三章21話『東太平洋大海戦Ⅱ』

「第一艦隊に告ぐ、前進して敵を近接戦にて撃滅する。古鷹は武蔵の後ろで修理を続けてくれ。」

「司令、鎌倉と室町はどうしますか?」

「無人機搭載空母は、大和の後方にて引き続き航空戦力の補助を頼む。」

「了解しました。」

「第五戦速で敵の北側に平行になるように進め。それから敵のレーダーシステムを狙って砲撃を開始。」

 戦艦長門を主とする第一艦隊は宮野少将の指示に基づき、行動を開始した。左方向へ転舵し、主砲を右舷側へ向けると、指示通りレーダーなどの探知システムがあるところをロックオンして砲撃を開始した。

「水雷戦隊はまだ前には出るな。武蔵たちの後ろで待機を。我々はなるべく急いで敵兵装システムの礎の破壊を!」

「司令!こちらも兵装システムの損傷が著しいです!」

「構わん。重要区画に異常がない限り、砲撃を続けろ。」

「了解!」

 第一艦隊を構成する第2戦隊の戦艦4隻と第6戦隊の古鷹を除いた重巡洋艦3隻による砲撃は15分ほど続いた。しかしながら、敵艦17隻による砲撃が損耗を激しくした。

「司令!このままでは、全兵装システムが使い物にならなくなります。」

「よし、水雷戦隊、最大戦速で煙幕を炊きながら前に出て、敵艦艇に思う存分魚雷を当ててこい!特にニューハンプシャーに対して多めに命中させるんだ。」

 第一水雷戦隊は軽巡洋艦球磨を筆頭に連なって戦場を駆け抜け、雷撃のみを行って再び戦艦の後ろに隠れた。敵艦はシステムの一部破損に伴い、自動兵装システムが機能しなくなり、手動で照準を合わせなくてはならず、砲撃はおろか、雷撃も全く別な方向を向いており、水雷戦隊はほとんどダメージを受けることなく雷撃を成功させた。モンタナ級戦艦ニューハンプシャーは右舷側に魚雷を多数命中し、大きく傾いた。その巨体と巨砲の重量に耐えきれず、船体はねじれ、二つにわかれ、艦尾側はそのまま右舷側から海中へ沈み、艦首側はわかれた船体の断面から浸水し、沈み始めた。その様子を日本側は煙幕を張っていたことから見ることはなかったが、2度ほど爆発がしたことはわかった。その二度の爆発により、さらに近くにいたコロラド級戦艦ワシントンや軽巡洋艦ガルヴぇストン、駆逐艦3隻をも巻き込み、ともに轟沈していった。さらに残る敵戦艦ウェストバージニアを武蔵がとどめをさし、残るは軽巡洋艦2隻と駆逐艦8隻となった。軽巡2隻を長門と陸奥で仕留め、駆逐艦は水雷戦隊で処分させた。

 たとえ大和型に匹敵するモンタナ級戦艦らを打ち倒したとはいえ、喜ぶことはできない状況は続いていた。第一艦隊の主力はほとんどが修理をしなければ戦えないほど損傷をしているのだ。それに戦いはまだ終わっていない。敵戦力のほんの一部を削いだにすぎない。まだ脅威であるモンタナ級もう1隻と空母15隻が健在である。宮野少将は、第一艦隊を下げ、大和の後方へ退避させた。大和型の手も借りて修理を急がせ、その付近の防空に専念させた。さらに、本国に対し再び連絡を入れた。

「有賀総長、モンタナ級戦艦1隻とそれに伴う敵艦を撃沈しました。」

「それはよくやったね。でも、要件はそれだけではないだろう。」

「はい。いまだに敵航空戦力と交戦中。そして現在我が第一艦隊はモンタナ級戦艦ニューハンプシャーなどから受けた損傷の修理を急いでいます。そのあいだ、航空隊には我々周辺の防空援護を強化してもらっていますが、数の差からも疲労がたまっていくばかりです。何度も発着艦を繰り返していることでしょう。」

「なるほど。それで君はこう言いたいんだね。とっておきの援護を要請したいっと。」

「はい。修理と休憩時間のため、30分ほど援護願います。」

「いや、1時間やろう。そして、これは援護ではなく、一種の攻撃として行う。戦果をとられても文句はないように。」

「了解しました。感謝します。」

「じゃあ、私は早速黒野大将に伝令するよ。今から1時間だらね。それとちゃんと全員に昼食も取らせるようにね。健闘を祈る。」

 そこで会話は途絶えた。宮野少将はいわれたとおり、昼食をとるように全部隊に伝令し、1時間の休養を与えた。その間の航空戦もしなくていいことも伝えた。



 およそ三か月ぶりに攻撃指示がきた。私がこの戦争に関わったのは開戦したあたりでしかない。神城結衣という少女の暴走をとめるために多くの魔力を消費してしまったばかりに国土防衛に徹することになってしまっていた。今回は久しぶりに好きにやってしまって構わないみたいだから、ワクワクがとまらない。私、黒野魔利は軍の大将の制服を着て、外へ出た。久々の外は青空で快晴で気持ちが良かった。太陽の光は相変わらずまぶしいけど、このすがすがしさに気分は高揚していく。お世話係たちにいろいろと任せて自分は部屋に籠ってばかりだったけど、こういう晴れた日は外に出るのがいいみたい。これからはそうしようかな。それは置いといて、今は、

「やりますか。」


 黒野大将は目を光らせ、魔法を展開した。

「アクティベーション!」

 それから空高く飛翔し、太平洋を見つめた。


 こうして、再び一つの悪魔が籠の中から放たれたのであった。


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