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エンドレス・マジカルライフ  作者: 沖田一文
【第三章】学園長編
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第三章20話『東太平洋大海戦Ⅰ』

 宮野少将は、危機的状況で有賀総長からあるプレゼントを受け取った。それは援軍である。ハワイ基地を守備していたはずの大和率いる連合艦隊直轄部隊や第六艦隊の他に、ASEAN海軍やオーストラリア海軍の艦隊も姿を現したのである。さらには、日本本国を護衛する横須賀基地から第四艦隊も姿を現した。第四艦隊は、第一航空戦隊と第二航空戦隊が所属し、第一航空戦隊には空母赤城と加賀で、エリート搭乗員によって構成されている。また第六艦隊にも第五航空戦隊翔鶴・瑞鶴・大鳳が所属し、こちらもエリートである。日本内外の海軍航空戦力が集結したのである。オーストラリア海軍は空母メルボルン、ASEAN海軍はタイ空母チャクリ・ナルエベトをそれぞれ中心としてきた。これを受け、宮野少将は戦意を取り戻し、作戦を練った。しかしそのためには敵の情報が少なすぎるため、偵察が必要だった。宮野少将は、無人機搭載空母である鎌倉から哨戒機をあるだけ発艦させて、視察に出した。一応ステレス性は高いが、敵の戦闘機の数を見てから、油断などできなかった。そして、敵の情報が作戦本部である戦艦長門の艦橋に伝ってきた。敵艦隊はパナマ運河を背に停留している模様だった。原子力空母ニミッツ級4、通常空母エセックス級9、ミッドウェー級1、フォレスタル級1、戦艦モンタナ級2、アイオワ級2、サウスダコタ級2、コロラド級2、重巡洋艦ポートランド級2といった情報で通信が途切れたようだった。敵に偵察がバレてしまったが、主戦力がだいたい把握できたのは大きい。そして、艦の判別を容易にこなしたAI搭載の無人機哨戒機の有能さを分かった。今回の海戦は、アウトレンジから始まる超長距離射程による砲撃と、航空戦力の頑張りによって決まるだろう。宮野少将は作戦を決定し、各艦に伝令した。


 作戦開始は、46cm三連装砲が届くとされる40km圏内に突入した時である。その前に第一次航空攻撃隊を発艦させた。大和砲の射程に対してモンタナ級が搭載していると思われる主砲塔の射程は性能が上がっていたとしても30kmは超えないだろうという算段で、先制攻撃を仕掛けた。航空機からの位置情報を同期し、大和型戦艦大和・武蔵・紀伊・尾張・和泉は、標的を空母に定めて発砲した。敵空母は哨戒機を発見したから、艦載機を発艦させ、その場から動き始めていたが、まだまだ遅かった。大和主砲弾をエセックス級フランクリンとバンカーヒルに浴びせることに成功した。間もなく航空戦も開始されたが、敵航空戦力をあまりにも大きく、もう一つの部隊が日本側の艦隊を襲った。

「第一艦隊戦艦は、防空ミサイルを常時装填!対空ミサイルでも構わん。敵機から艦隊を守れ!それから、敵との距離は30km以上を保て!今突入しても、捻り潰されるだけだ。」

「司令!敵水上打撃群が最大戦速で向かってきます!」

 宮野少将はその情報を受けて、苦笑いをする。

「さすがはアメリカ。自分たちは絶対に殺られない自信があるようだ。プランB引っ張り作戦に移行する。敵艦隊を引き付けて、こちらの領域で一網打尽にする。」

 乗り込んできた敵艦隊の編成は、モンタナ級ニューハンプシャーを主とし、戦艦コロラド級ウェストバージニアとワシントン、軽巡洋艦クリーブランド級3と駆逐艦ギアリング級11であった。

「防空面は対空砲に任せて、来たる敵艦隊を迎撃する!ここを突破されると後方の味方空母群は落ちる。だから、命令する。ここで敵艦隊を撃滅せよ!」

 南のほうから敵艦隊はやってきている。日本艦隊は前線として長門率いる第一艦隊とその南北に大和群と武蔵群がわかれている状態だ。大和砲の標的を敵空母から来る敵戦艦に向けると、敵空母に隙を作ることになる。この砲撃を大和群にある大和・紀伊・尾張にだけ続けさせ、南方にいる武蔵群と第一艦隊とで敵艦隊の対処にあたった。

 武蔵群は、モンタナ級ニューハンプシャーを相手に砲撃を始める。第一艦隊は、水雷戦隊を送り込み護衛艦を相手にする。前に出てきた敵巡洋艦を少し遠くから長門たちが狙い撃ちする。しかしながら、敵は航空支援があるため、あまり思うようにいかなかった。

「全艦対艦ミサイル装填。ニューハンプシャーを先に沈める。」

 宮野少将は第一艦隊及び武蔵群に通達し、戦艦6隻及び重巡洋艦8隻に指示を出した。全部で116門から対艦ミサイルが順次発射された。対してニューハンプシャー群は、対空砲である程度防ぎつつ、ニューハンプシャーを前にして対艦ミサイルを受けた。

「ミサイル、ニューハンプシャーに多数命中!」

「やったか?」

 しかしながら、煙が薄れて現した姿より、モンタナ級ニューハンプシャーは健在であった。

「あれほどの数を受けといて外形が少し焦げて黒くなるくらいだと!?」

「司令!敵艦隊が対艦ミサイルを多数発射しました!」

「対ミサイル用装填!それまでの間、こちらも対空砲で凌げ!」

 対空砲とミサイルによって相殺されはしたが、すべてを払い除けることはもちろんできるはずもなく、重巡洋艦古鷹が航行不能に陥った。

「何故、戦艦ではないものを狙った?あちらは砲撃戦がお望みなのか?砲撃戦なら耐えられるから、我々戦艦如きは相手にならないということか。なるほど。魚雷か。これでやつらを凌ぐことができる。」

 宮野少将は次なる作戦を決意した。

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