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エンドレス・マジカルライフ  作者: 沖田一文
【第三章】学園長編
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第三章16話『日本艦隊vs.フランス艦隊』

 2575年11月1日、欧州戦線に派遣された日本艦隊はスエズ運河を超えて地中海へ進出した。その後、神聖ドイツ=ローマ帝国のナポリ海軍基地に寄港し、補給と休息をとった後、4日に再びドイツを目指して出発した。その際にローマ帝国海軍の第一艦隊が大西洋まで送ってくれることになった。そして、出発から数時間後、日伊連合艦隊は敵艦隊を捕捉した。フランスの地中海艦隊であった。アルザス級戦艦4隻とヘリ空母ジャンヌ・ダルクを中心とした24の艦艇からなる艦隊であった。対して日本艦隊は、金剛型戦艦4隻を中心とした19の艦艇からなる第三艦隊と、ローマ帝国の空母トリエステとヴィットリオ・ヴェネト級戦艦4隻を中心とした27の艦艇からなる第一艦隊、日伊合わせて46隻であった。実は以前にローマ帝国とフランスは海戦になったことがあり、そのときはフランスが勝ったようなのである。そのため、ローマ帝国海軍はフランスに報いたいようだった。そこで司令官の藤原基頼少将は日本艦隊が囮となり、敵を引きつけ、ローマ帝国海軍に迎撃してもらう案を出した。金剛型戦艦の速力を活かした方法である。日本艦隊は戦艦と重巡洋艦からなる戦隊と水雷戦隊2部隊分とに分かれ計3部隊となり、戦隊はフランス艦隊を中央突破、水雷戦隊2部隊は艦隊を左右から回り込むことにした。


 まずは水雷戦隊が左右に分かれて、最大戦速で立ち向かい、煙幕と魚雷を放つ。敵が動きを鈍らせている間に金剛型戦艦と重巡摩耶・鳥海は、最大戦速で敵中央に進んでいった。もちろんそのときに集中砲火を浴びる。敵は輪形陣をとっていて前方には戦艦アルザスがいた。艦隊両者がすれ違うとき、戦艦は主砲の旋回速度が追いつかず、お互いに決定的な打撃を撃ち込むことはできなかった。その分、両軍の巡洋艦が魚雷を放ち、各敵戦艦に命中させていた。しかしながら、対水雷防御によってどちらも浸水にまでは至らなかった。そして、日本艦隊はフランス艦隊をすり抜けた。日伊はフランス艦隊に対して激しい砲撃を続けた。装甲の薄い駆逐艦や巡洋艦から徐々に大破や沈没をしていく。フランス艦隊はそれでも東側へ船を進めた。そこに日本艦隊へ何かが近づく。それはいくつもの対艦ミサイルだった。藤原基頼海軍少将はすぐに対空ミサイルを装填させ、発射させた。しかしながら、すべてのミサイルを掃討させることはできなかった。次弾装填までには間に合うことなく、対艦ミサイルは日本艦隊を襲った。


 このミサイルの発射元はフランス空母の戦闘機によるものだった。フランス艦隊は敵艦隊を捕捉した時に、戦力差を理解して救援を要請していたのである。フランスにとって地中海の制海権保持または拮抗状態は必要的要件であった。艦隊の全滅を避けることはもちろん、敵艦隊をフランス本国へ近づけさせない目的もあり、敵から逃げることはできないが、完敗することも許されないのである。だから、生存率をあげるために手を尽くすのだった。


 日本艦隊が対艦ミサイルに手をこまねいている間にフランス艦隊はローマ帝国海軍の艦隊へ接近する。ここでも砲雷撃戦が行われた。ローマ帝国海軍は後ろを取られないように必死である。しかしながら、フランス艦隊がT字戦法で優位な形となった。ローマ帝国海軍は空母トリエステから爆撃機を発艦する。それに呼応する形でフランスもヘリ空母ジャンヌ・ダルクからドローンでなる戦隊を離艦させた。接近戦においての発艦は無意味のように思えたが、航空機自体を守るためには有効であった。トリエステ発の爆撃機は敵艦隊を襲ってから、空母ではなく本国へ飛んでいった。一方、ヘリコプターはローマ帝国海軍の上空を飛んでいる。そして、フランス艦隊のアルザス級戦艦4隻からミサイルが一斉射された。それは誘導弾であり、ヘリコプターによる情報を共有することによってデコイに騙されることなく命中した。もっとも、至近距離であることが一番の要因ではある。このミサイルの餌食となったのは巡洋艦や駆逐艦であった。接近戦において雷撃は恐れるものであったからである。次弾装填中、フランス艦隊は後方に日本の水雷戦隊が迫っていることに気づいた。水雷戦隊はフランス艦隊に対して並行になろうと近づいてくる。これに対して残る駆逐艦で雷撃戦を行なう。その間に2度目のミサイルを発射した。今度の狙いはヴィットリオ・ヴェネト級戦艦4隻であった。ローマ帝国海軍はこの命中を受け、速度を失った。フランス艦隊はそのままローマ帝国海軍を放置し、向かう日本の水雷戦隊に対抗して速度を上げる。水雷戦隊相手に叶うはずはない。しかしなぜか水雷戦隊は離脱していった。その理由は、ヴィットリオ・ヴェネト級戦艦による最後の報復があったからだった。速力を失ったヴィットリオ・ヴェネト級戦艦は4隻に対艦ミサイルに切り替えて装填し、誘導ではなく、単純な照準でアルザス級戦艦に向けて放ったのであった。9門×4隻の計36のミサイルは今までの砲撃に耐えてきたアルザス級戦艦を襲った。そして、旗艦であり、ネームシップでもあった戦艦アルザスを爆沈せしめた。この衝撃的出来事により、残るフランスの地中海艦隊は可能な限り速度を上げて撤退していった。


 金剛型戦艦は空撃による損傷を受け、一時航行不能に陥ったため、水雷戦隊を先に送り出し、残る戦隊は航行が可能になった後、交戦を避け、ローマ帝国に向かっていた。そのあいだにフランスの漂流者たちを助け、捕虜としていた。途中、敗走するフランス艦隊を発見したが、お互いに発砲することはなかった。


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