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エンドレス・マジカルライフ  作者: 沖田一文
【第三章】学園長編
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第三章12話『アングリフ・デア・ファイント・アルメー(敵軍の襲来)』

 地上も空中も炎で燃え盛り、夜とはもう言えない程明るく、気温も上昇していた。この熱で隊のみんなは目覚めて、外に出てきた。それを見て私も浮遊をやめて、地上へ降りる。

「ようやく全員揃ったな。では、これより作戦を開始する。」

「作戦?そんなの聞いていない。」

 ミハエル中将の言動にエーミール中将は不満そうに言う。ミハエル中将はそれを手で制して発言を続けた。

「現在、ペンタゴンが起動したと推測される。あれをどうにかしなければならないのは確かなのだ。突入班と占守班にわかれてこの地を完全に支配する。こちらも二手にするから日本も戦力を分散させてくれ。」

 ミハエル中将は私と未希に対して指示をだし、自分はドイツの部隊を集めて編成を発表し始めた。私たち日本部隊も集まって相談をした。

 15分程で決まり、日独魔法部隊は二手に分かれた。日本の突入班は、須藤未希、浪岡広海、岩清水愛、葛西天遥、最上奈桜、石亀明久、安東紫乃、伊達季賢、大宝寺月海からなる9人の3年生と私で、占守班のリーダーとしては3年の南条師行を任命した。ドイツ側の突入班は、エーミール中将、ヘンリー大佐、ミリー大佐、リア中佐、ジェイコブ中佐、マチルダ中佐、ルイ中佐、アメリ中佐、ノア中佐、エリス中佐、ジョセフ少佐、エリーナ少佐、フランク少佐、オリビア少佐、そしてアン少佐の15名であった。ミハエル中将は計画では司令官としてエーミール中将の代わりに同行する予定だったらしいが、エーミール中将が守るよりも攻めがいいという要望により交代した。ミハエル中将が来ないのは残念かもしれないけど、防衛という点では安心して任せられる。


 しかしながら、状況は一転した。予測魔法により危険を察知した私はとっさに防御結界を展開する。やってくる魔力群からみんなを守り、敵の存在を確認した。

「お待たせ、エーミール、アン、そしてミハエル。それから、恐れ多き怪物ちゃん。あなたたちはここでおしまいよ。なぜなら、ペンタゴンが結界を張って、味方以外を通さないからよ。ちなみに今回アメリカ魔法軍は少しばかりプライドを捨て、援軍を呼んだわ。」

「なんだと!そんなの聞いていない。」

 ミハエル中将は兄が先ほど使った言葉を思わず使ってしまいながらも、気にすることなくドイツ本国の部隊と連絡をとろうとしていた。

「無駄よ。この結界は敵の情報をも通さない敵を完全に封じ込める。」

「さすがはアメリカだな。だが、攻撃は最大の防御とはちょっと違うんじゃないか、ジェシカ。」

「フフフ。強気で居られるのも今だけよ。そんなミハエルの苦しむ姿が楽しみだわ。」

「ならば私がおまえと相手しよう。幸いまだ援軍は来ていないようだしな。行け、兄さん!ペンタゴンを今度こそ攻略し、制圧するんだ!」

「わかったよ。それじゃあおまえら突入班、全力で走り抜けろ!」

 ドイツとアメリカとの関係で私たち日本組にとってはついていけないやり取りだったけど、ミハエル中将とエーミール中将の指示で私たち突入班は走り出した。ペンタゴンまでは5kmほどある。高速魔法使いは数秒とかからないだろうけど、それ以外の人たちは大変だ。私は浮遊して速度をあげ、先頭に至る。みんなもそれを採用し、浮遊して体力を温存し始めた。しかし、前方のポトマック川の上に障害となるものが出現した。


「立ち止まり、ひれ伏したまえ、野蛮人。ここは我ら英国第三魔法師団所属、デヴァステーション大隊の持ち場である。ここを貴様らに通すゆえんはない。」

 ジェシカが言っていた援軍とはこのイギリス人たちのことだろう。まさかペンタゴンを守るのがアメリカではなく、イギリスだとは意外だった。

「ひれ伏したければ、やってみろよ!」

「貴様は誰であるか?」

「エーミールだ。」

「なるほど、シュタインハイム家、ミハエルの兄か。ならば、魔法界を統べる力を見せてやろう。アクティベーション。」

 その人は魔法を展開した。熱があたりを充満し始め、彼の手に炎の鉄の剣が握られた。彼から出る魔力を驚くほどに強大だった。

「私はブレイズ家の当主、ゲーアノート。今は大隊を指揮する中将にある。代々積み重なれてきたブレイズ家の炎の魔を受けるがよい。」

 彼は熔鉄の剣を使って炎を操作し、私たちをその炎が襲った。同じく炎の魔法を司るエーミール中将が炎で防御壁をつくる。しかし、威力が圧倒的に違い、簡単に突破されてしまった。驚いて動けないエーミール中将の前に私は瞬時に移動し、『ミラーリング』で炎を跳ね除けようとした。けれども、これも失敗、炎たちは生きているように意思を持ち、ミラーリングの魔法陣を避けて迫った。そこにふと予測魔法が発動し、私はエーミール中将を押して後退した。そして、炎に対して横から水が勢いよくぶつかり、炎の進撃がとまった。この水のもとは、アンだった。

「たとえ、水を受けようとも我がブレイズ家が誇る炎は消えぬ。まずはそこの嬢ちゃんからこの炎の糧となってもらおう。」

 炎は水を辿って、アンのもとへ向かい始めた。アンを助けなきゃ、と思うところだけど、ここはチャンスである。アンがこの炎を引き付けてくれてる今こそ、反撃のタイミングだ。エーミール中将も同じことを思ったらしく、私たち2人は声を上げて指示を出した。

「全員、突撃!」

「月海は、アンのことをよろしく!」

 これを機に日独魔法連合軍と英国第三魔法師団デヴァステーション大隊との全面対決が始まった。

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