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エンドレス・マジカルライフ  作者: 沖田一文
【第三章】学園長編
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第三章10話『第二次日独戦力交互派遣』

 11月1日、テロリスト掃討作戦より1週間以上がたち、私たちが遂にドイツへ行く日が来た。これまでに世界の戦況は動いた。私たちが合宿を始めた翌日には日本が東南アジアやオーストラリアに対して協力を要請し、合宿終了日には日本側として参戦した。その日はハワイ基地がアメリカカナダ連合艦隊による襲撃もあっただけでなく、すでに海域に出ていたASEAN艦隊がインド海軍と鉢合わせて戦闘が始まった。さらに日本は、韓国と台湾との極東連合軍と呼ばれる部隊が中国上海基地より撤退作戦を開始し、上海基地が中国に解放された。しかし、その翌日に日本は、大宮作戦におけるグアム基地の1件で活動停止していた艦隊がすべて再稼働し、現存するすべての艦隊が活動を始めた。10月25日には第一次で派遣した日本の艦隊がインド海軍と戦うASEAN艦隊と合流し、支援砲撃を行った。その日はイギリスが北欧諸国に対して支援要請をし、その翌日に北欧諸国は承諾・参戦した。そして、ドイツやオスマン帝国の連合軍はインドへ到達し、戦闘を始めた。以上がこれまでの世界の動きである。戦地は転々とし、点在しているのがわかる。そして、本日はさらに世界をかき回すきっかけとなる私たちの派遣。ちなみに派遣に出ている日本艦隊も今日地中海に出るらしい。

「いよいよこの日が来たね、結衣ちゃん。」

 会長が声をかけてきた。

「まあでももうお昼過ぎなんだけどね。」

「時差があるから仕方ない。それでも予定時刻だとあっちには朝の5時に着くことになる。」

 天遥が交じる。

「ていうか、派遣って言うけど、1度行けばいつでも行ったり来たりできるからおおげさじゃない?」

 愛がさりげなく雰囲気を壊す。

「あんたバカじゃないの?世の中には形式ってものがあるのよ。それっぽく見せれば客観的にも都合がいいでしょ。」

 奈桜がちょっとずれた回答をする。

 そんなやり取りをしていると、私たちが集まっていた学園の校庭にゲートが開いたのを見た。そこからは軍上層部の人や鳥海首相が現れた。

「全員、整列!」

 軍の1人が規律を正す。私たちは首相たちと並行に並ぶ。

「これより、式を始める。では、皆原鳥海首相からお願いします。」

 鳥海首相は1歩前に出て、話し始めた。その後に、参謀総長の有賀総長が話した。

「ごめんね、簡易な出発式で。君たちにはこんなちっぽけな式には似合わない程の戦果を期待し、また、日本を誇る魔法使いとして活躍を待っている。時間もないし、私からは以上で。では健闘を祈る!」

「それではこれより出発をとりおこなう。ゲートを開いて下さい。」

 司会を務めているらしい軍人から言われ、私はゲートを開いた。敬礼で見送られ、私たちはドイツへ出向いた。


 ゲートの先は私が以前暮らしていた屋敷の敷地であり、そこに迎えの者が1人いた。

「Guten Morgen!こんにちは。君たちが日本からの魔法使いだね。」

「Ja.」

 会長が慌てて返事をする。ミハエルはにっこり笑って話を続ける。

「私は迎えに来た者だ。名はミハエル。さっそくだが、君たちには戦地へ向かってもらう。ついてきてくれ。」

 ミハエルはゲートを開き、ゲートをくぐった。


 ゲートの先は室内だった。赤い立派な絨毯が敷かれた執務室のようだった。執務机の椅子には誰かが座っていた。彼は私たちを見ると、立ち上がって対面した。

「Schön dich kennenzulernen.Ich heiße Amir.Ich bin Generalleutnant.Ich bin der totale Kommandeur hier.」

 おそらくみんなにはこう聞こえているだろう。でも私は魔法の何らかの機能によって言語の壁はほとんどない。だから、ポカーンとしているみんなに翻訳した。

「初めまして。私はエーミール。中将であり、ここの総司令官をしている。って言ってる。」

「とは言え、私も中将であり、エーミールの所属している戦略魔法機関というところを取りまとめているから、私の配下だがね。」

 ミハエル中将は補足説明を行った。

Freut(フロイト) mich.(ミッヒ)Sehr(ゼア) Angenehm.(アンゲネーム)[初めまして。よろしくお願いします。]」

 会長は慣れない様子で挨拶をした。そこにコンコンとドアをノックする音が聴こえた。

「Darf ich Sie kurz stoeren?」

 女の子の声がドアの向こうからした。

「OK.Komm herein!」

 エーミール中将が許可する。そこで姿を表したのは今回の派遣のもう一つ目的でもある、ある人物に会うことのその人だった。

「お久しぶりです。結衣。」

「久しぶり。やっと会えたね、アン。」


 軍服を着た2人の少女は再会を喜び、抱き合った。


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