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エンドレス・マジカルライフ  作者: 沖田一文
【第三章】学園長編
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第三章6話 『合宿最終日』

 10月20日、合宿最終日。この日は私が生徒たちを相手にする。各学年1時間ずつ戦闘を行う。まず午前は1年生だ。私は学園から大湊基地へ移動し、9時から戦闘を開始した。陸上という制限を受け、私は1年生たちを相手にした。1年生全員とはいえ、ほとんどは基本的な魔法しか使えないため私にとってはウォーミングアップとなった。前半はその場で防御に徹し、後半はこちらから生徒たちを攻撃した。攻撃といっても基礎魔法のみで大きな怪我をしないように気を使って攻撃した。正直、これは戦闘ではない。戦闘訓練終了後、1年生にはまだまだであることを伝えた。そして昼食を済ませた後、2年生が待つ沖縄基地へ向かった。2年生には艦隊の護衛という条件を与え、私と海上で交えた。

「アクティベーション。ギリシア神話のオーケアノスよ、地の果てに流れる海流を生み出し、世界の水を循環させよ、オーシャン・スパイラル!」

 私は巨大な渦潮を発生させ、艦隊をまるごと飲み込むように仕向けた。飲み込まれそうになるところを艦艇自体の時を止めて防いだり、遠くにワープしたりとする生徒もいたが、目の前にそびえる渦潮を相殺させる生徒がちゃんといたので無事に残った。ホッとしているだろうところを狙って私はさらに魔法を放つ。

「ざわめくものたちよ、灼熱の炎に焼き焦がれよ、その身を果て、塵となれ、アパートファイアボール。」

 6個の炎がそれぞれ艦艇を襲う。なんと生徒たちはそれを防ぐことができず、艦艇に張った結界を破壊してしまった。これ以上の戦闘は損害が生じる恐れがあるためここで中断された。そう判断したのは私自身なんだけど、まだまだ生徒たちは実戦には向かないということが明らかになり、軍上層部は騒ぎになり始めていた。でもまだ3年生がいる。私は最後の戦闘訓練をしにハワイ基地へ向かった。

 3年生に与えられた課題はハワイ基地を守ることだった。ちなみにこれらの課題などを考えたのも有賀総長である。私はただ復帰戦を兼ねて相手を依頼されただけ。しかし今のところそんなに力を発揮できたわけではない。そんな物足りなさを勘づかれたのか生徒会長の須郷未希は戦闘の位置につく前に言った。

「あまり私たちをなめないでください。2年生までとは違いますから、どうぞ油断せずに。私たちは学園長を全力で殺しにかかります。」

 そんな怖いことを面と向かって学園長である私にはっきり言うとは、これはこの時代が生み出したものだろうか。強気でいるのはいいけれど、私がここでそれを砕いて世の厳しさを教えてあげよう。


「「アクティベーション。」」

 戦闘開始時刻とともに魔法を展開する。

「ではお願いします。」

 会長は生徒たちに何かを始めさせた。

「まずは俺たちと遊ぼうぜ、学園長ちゃん。」

 やってきたのは男子生徒2人だった。ふたりとも高速魔法の使い手のようだ。会長が何をしようとしているのか分からないけど、何をするのか気になるので誘いに乗ることにした。2人と剣舞をしながら会長の様子を見る。会長と目が合うと会長はにっこりと微笑んだ。そして、新たに指示を出した。

「撃て!全力で魔力をぶつけなさい!」

 散開していた生徒たちが一斉にそれぞれの魔法を最大限放ってきた。それも隙間が無いように計算されて。私と戯れていた2人はすぐに会長のもとへ戻る。私は少し出遅れた。

「ダークシールド!」

 闇属性の球体の防御壁を展開し、生徒たちの魔法を受けた。しかし当然長くは持たない。ここは上空に避難しようと、移動したところ、声が発された。

「止まれ!」

 その一言に私の体は動きを止めた。やがてシールドが壊れ、生徒たちの魔法が私を襲った。

「大の字に手足を開け。」

 身体が勝手に言葉どおりに動く。

「学園長、思い出してくれました?これは私の家に伝わる固有魔法。特定の魔法を狙って修得するのは不可能とされていますが、これは私の家に産まれた者は必ず修得することができるもの。私の祖先である須藤希望もこれを学園長に使ったことがあるはずです。」

 確かにこれには憶えがある気がする。この体勢でいるの恥ずかしいし、はやくなんとかしてほしいけど口すら動かない。

「では、楽しいことしましょう。私たちが、私がちゃんと可愛がってあげるからね。」

 なんか、会長のキャラが変わったように見えるけど、気のせいかな・・・。

「私、小さい子って可愛いから好きなんだよね。特に学園長は格別。私がこれまでの分も可愛がってあげる。黒雷!」

 私に黒い電流が流れる。声を出せないはずなのに痛みに応じて漏れ出る。会長はドSということがよくわかった。痛みつけて死の恐怖へ追い込み、相手を屈服させる。しかも未だに会長は戦闘開始時から移動していない。力の差を見せつけられたということだろうか。でも、生徒に負けるわけにはいかない。魔法は使えなくても思考が動くなら・・・。

 私は気持ち的に力をめいいっぱい込めて魔力を発散させるイメージをした。言葉の束縛から解放され、危機を脱出した。

「な、なぜ!?」

「身体の自由は奪えても思考までは支配できなかったのが残念。ここからは私の番ね。」

 そう構えたとき、予測魔法が危険を察知した。




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