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エンドレス・マジカルライフ  作者: 沖田一文
【第二章α】‬世界大戦ドイツ編 アンサイド
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第二章α‬6話 Schlacht um das Hauptquartier der US Navy Ⅱ

 海軍基地の建物のどこかで私たちは身を潜めていました。

「なんで俺たちが狩られる側になってるんだよ。」

「静かにしてください。見つかっちゃいますよ。」

「アン少佐、なんか魔法で身を隠せないのか?」

「分かりました、やってみます。」

 私たちは物陰で小声でやり取りしました。

「Versteck dich[身を隠す]。」

「おい!もっと小さくやれ。」

「隊長こそ、声が大きいですよ。」

「とにかくこれで周りから俺たちの姿は見えないんだな?」

「たぶんですけど、そうなってます。」

「よし、なら反撃と行こうか。ついてこい。」

 私たちはコソコソと海軍基地内をうろつき始めました。数分後に私は思ったことを少将に問いかけました。

「ねぇ隊長、私たちは何をしようとしているのですか?」

「何って、それは大将を・・・、あ。そう言えば大将に逃げられたんだ。」

「そうですよ、私たちはジェシカに追われているんです。速くここから出ましょう。」

「それはダメだ。今ここで俺たちが脱出したら、ジェシカが外にまで来るかもしれない。そしたら全滅する恐れがある。ここで足止めをする。」

「でも、あの人を私たちだけで倒せるとは思えません。」

「そこで今思いついたんだが、おまえがジェシカの魔力を奪う方法を考えろ。魔法さえ封じれば勝てるはずだ。」

「また私ですか。・・・分かりました、やってみます。」

 私たちは目的を確認して、ジェシカのもとへ向かいました。

「隊長、そこの角を曲がればいます。」

「よし、気づかれる前に行くぞ。」

 姿を隠した状態のまま突撃しました。しかし、角を曲がった瞬間、ジェシカはこちらに向けて発砲してきました。それをエーミール少将は炎と剣で防ぎます。

「今だ!やれ!」

「Magische Absorption[魔力吸収]!」

 エーミール少将の合図を受けて、私は素早く文字を描いてジェシカに放ちました。突然自分に向けられて来る文字を見たジェシカは文字に向けて連射しましたが、文字は勢いを落とすことなく迫りました。

「うァー!」

 声と共に魔力が抜けていきます。それは魔法使いなら誰もが恐れおののく光景でした。一気に魔力を失ったジェシカでしたが、それでも倒れることなく最後の魔力を使ってゲートを開き、逃げていきました。

 私たち2人はお互いに見合って勝利を確かめました。ハイタッチをして喜んでいると、ドドドドドと音が聴こえてきます。その音とはジェシカの叫び声を聴いて駆けつけてきた海兵たちでした。

「だ、誰だおまえたちは?」

 身を隠す魔法は解けていたらしく私たちの姿は丸見えでした。

「どうします?隊長。」

「決まってるだろ、今から俺たちは内部から敵を倒す。時間短縮だ。」

「この人数を相手にするんですよ!?」

「これだけいたら誰かしらに当たるだろ。それじゃ、始め!」

 エーミール少将はいつも通りに派手に敵を倒し始めました。今回の相手は魔法使いではなく、ただの海兵です。私も簡単に倒すことができました。数分後には建物内にいる海兵たちを全て倒し終え、指令管制室を占拠しました。どうやらここはフロリダ島ではなく、アメリカ本土の方にある海軍施設のようでした。フロリダ島に向けて橋がかかっていて、その上が戦闘機が離着陸する滑走路になっているようでした。私たちはそんな戦場から少し離れたところにいるため、参加するには戻らなくてはなりませんでした。

「ここで諜報活動をする。敵の動きを少しでも明確化する。アンはその辺にある紙にメモしてくれ。」

 そう言ってエーミール少将は機械を操作して通信を傍受しようと試みました。でも、上手く操作できずにいました。

「隊長、そんなことをするよりは私の魔法を使って情報を集めてみてはどうでしょう?」

「なに?そうならもっと早く言ってくれ。んじゃあ、あとは頼んだ。俺はちょっと寝てる。」

 エーミール少将は私に押し付けて椅子の上で足を組んで手を後ろに頭を乗せて目を閉じました。私も椅子に座って一息ついてから、魔法を発動させました。

「Informationsbeschaffung[情報収集]。」

 すると、ピンクに輝く魔法陣が現れ、この辺一帯の地図が現れました。南側の海上は黄色に輝く点と青色に輝く点があってこれはおそらく敵味方を表しているものだと思います。そこから陸上にはほとんど敵のポイントはありませんでした。しかし、ここから北側に敵のポイントが多数集まりつつありました。それはフロリダを取り囲むように形成されており、私たちを包囲するアメリカの防衛ラインのようでした。このことをエーミール少将に伝えました。しかし、エーミール少将が驚くことはありませんでした。そうなることぐらいは誰にだって分かることだと大した問題ではないと言い、再び目を閉じました。数分経ってからエーミール少将が立ち上がり、私に指示を出しました。

「一度戻り、陸軍を上陸するように伝えてくれ。そして、すぐに基地北側に陣を張り、敵の攻撃に備えるなり、突撃するなりしろと言ってくれ。俺はここに残る。上陸が完了したら小隊はここに集まるようにしてくれ。それじゃ、行ってらっしゃい。」

 エーミール少将は早々にゲートを開いて私を押し込みました。

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