第5章 コボルト (3)
カイトは夕食の席で、自分がサマナーの異能持ちである事をガルス辺境伯夫妻に告げ、サーバントであるスライムのジェルオとコボルトのタローを実際に見せた。
二人ともモフモフにソワソワしている位で、とりたてて態度に変化はなかった。特に利用や期待はされていないらしい。気味悪がられている様子もなかった。
カイトはホッとしながら、
(サマナーという異能自体をよく分かっていない可能性も……
そういやリリアナ姉さんも異能持ちだし。ガルス家にとって驚くほどの事じゃないのかも……)
などと漠然と思った。
夕食の会話で、今年は魔の森に跋扈する魔獣の数が増えている事が出た。スタンピードにならなければいいがと心配する声が聞こえてきた。リリアナ特製の毒餌を増やして対応している最中とのことだった。
(魔獣討伐ムリ……て虚弱子供だし)
カイトはヒイィと話題を聞こえないふりをした。
(もっと強いサーバントを確保してからだわ。ドラゴン召喚したいわ。スイーツをドロップしてもらいたいし)
カイトは独り言を無言で呟いていた。
「ワンちゃん用の部屋を用意した方がいいかしら?」
「サーバントなので一緒の部屋の方がいいです」
アリシアの言葉に、カイトはありがたく辞退した。スライムのジェルオや猫のキャルもいるので、特別扱いは遠慮したい。
夕食後には、シモンとアリシア夫妻は、タローに触ってモフモフしていた。まったりとした時間が流れていったのであった。
* * *
猫の女神の眷属の三毛猫のキャルと魔獣のコボルトのタローとの関係は、先輩のキャルを立てるコボルトといったところだった。
コボルトはだいぶ知性が高いのか、サーバント化してカイトと意思疎通できるようになったからかは不明だが、有り体に言えば可愛いかった。
モフモフで健気で控えめなタローは屋敷のアイドルと化していた。カイトがサマナーである事は知られているが、取り立ててどうという事もなかった。
風来坊的な部外者として屋敷を闊歩し、単独行動が多くやや浮きがちな孤高の三毛猫のキャルがジト目で時たま嫉妬している事以外は。
夕食後に部屋に戻ったキャルが、
「猫の部屋は用意してもらえないんですかね?」
カイトに拗ねたように聞いてきた。
「キャルは俺と一緒だと思われてるから」
フォローを入れるカイトであった。
(猫用と犬用の寝床一式を用意してもらおう)
と思うカイトであった。




