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じゅーに

大変遅くなりました。

ラスト2話予定です!

 エクリプス館の面会室に取り残された男子二名は、ハッと我に返りお互いどう話を切り出そうか少しだけ迷いを見せたが、デニスが気まずそうに


「あの……よろしかったのですか……?」


とウィリアムへ問いかける。


「なにがだい?」


よく分からないといった感じで小首をかしげるウィリアムへ


「その……エクリプス女伯へ婚約を申し込むために同席なさったのではありませんか……?」


言いにくそうにウィリアムへ問いかけるデニス。


「あー……まぁそれは追々でも良いよ、女伯がやりたいように動かれるのが一番だからね。 それにエクリプス前伯にはもうお許しは得ているから焦る必要はないんだよ」


ニコニコとデニスへ答えるウィリアム。


「それは……先ほど、ウィリアム様がこのエクリプス領へお出でになっている姿をお見掛けした時に大体察しておりました」


どこか遠くを見るような目で窓から外を見ながらデニスは言う。


「それよりも、()()()()()()()()()()()?」


その言葉にビクリとしながらデニスはウィリアムを見る。


「…………どこまでご存じなのでしょうか……?」


その言葉にウィリアムは真剣な表情でデニスを見ながら


「カンバーランド家は公爵家だ、立場上様々な情報は嫌でも入ってくるものさ。 そしてそんな話の切れ端でも繋げればおのずと見えてくる背景だってある……例えばオケリー侯爵家は王家に深い忠誠を誓い、繋がりを悟らせずに動く駒の役割を持っている……とかね?」


そう言いながらデニスへ軽くウインクしてみせるウィリアム。


「その駒の一つとしてデニス殿は、当時まだエクリプス伯爵令嬢だった女伯と婚約を結ばれた。 確かに魔熱に罹らなかった点が重視されたのだろうけど、うかつな家と婚約を結べないほど特殊な事情を持つ『エクリプス家』への干渉を防ぎつつ監視もできる人材として、君がうってつけだったというのが一番の裏事情だったのだろうね」


ウィリアムの言葉に、否定も肯定もせずただじっとウィリアムを見るデニスだったが、沈痛な表情でじっとテーブルの上に置かれたティーカップを見ながらポツリと語りだす。


「父からの命は、最初はただの情報収集でした。ヘロド侯爵令嬢の素行を学園内で交流を持ちながら報告するようにと……その頃にはもうすでに隣国との話し合いがもたれていたようなのです……」


「あぁ……さっき話していた隣国の……確か新しく興されたクランボーン公爵家だったかな?」


「はい、クランボーン新公爵となられたのは現王の弟君であられるミクルハム殿下です、御兄弟の仲は大変良好であられるそうで、殿下の伴侶選びにはそれはもう吟味に吟味をかさねているとか……しかし、ミクルハム殿下は、後継争いに発展しかねないからと婚姻の相手には国外から相手を探したいとおっしゃられたそうで……」


「なるほどねぇ……それで我が国のヘロド侯爵令嬢へと内密な素行調査を入れていたという事かぁ」


「はい……しかし結果としては、とても隣国の打診を受けられるような令嬢ではなく……しかしその事を正直に隣国へ伝えるわけにもいきませんので……緊急の案件として、王家より我が家門へと『篭絡せよ』との指令を拝命いたしました……」


「そうだったのか……言いにくいことを聞いて申し訳なかったね」


ウィリアムはバツが悪そうに謝罪する。


「いえ……この件がなくとも、女伯との婚約の解消は時間の問題でしたから、かえって踏ん切りがつきましたよ」


ハハハッとカラ元気がまる分かりな笑いでウィリアムを見るデニス。


「それってやっぱり、このエクリプス領の馬に微妙に気に入られてないから?」


「………………。 はい……幼馴染として滞在していた時はそんな事なかったのですが、政略がからんだ婚約を結んだ所為なのか嫌われてしまったようで……」


本気で落ち込み始めたデニス。


「あー。……多分それ、使命だからちゃんと監視しなきゃって変に気負ってここへ尋ねて来てたからじゃない? 婚約解消したらもう監視しなくていいんだし、気楽に馬たちと接したらきっとちゃんと応えてくれると思うよ?」


ウィリアムの思いがけない言葉に目を丸くするデニス。


「確かに……婚約してからはここへは仕事で来ているっていう思いが必ずどこかにあったように思います……そうか……馬たちにはキッチリ見抜かれてたんですね」


そう言ってデニスは苦笑いするのであった。


「まぁこれからは、そう頻繁に来れなくなるだろうけど、たまの息抜きに遊びに来るくらいはいいんじゃないのかな? 家族旅行とかさ?」


()()()()()()()()んでしょうか……?」


「女伯がどう思うかは、君の方が長い付き合いなんだからわかるでしょ? 女伯が望む事を()()や馬たちが叶えないわけがないよね?」


「確かにその通りですね……ウィリアム様、ありがとうございます。 そして私が言えた義理ではないのは百も承知で言わせてください、どうかアネット・エクリプス女伯爵とエクリプス領をお守りください」


そう言いながらウィリアムへと深く礼をとるデニス。


「僕のほうこそ言わせてください。 今まで女伯を守ってくれてありがとう!」


そう言いながらウィリアムも頭を下げる。

そんな空気の中


「大変お待たせした! 書類ができ……一体お二人は何をしておるのであろうか……?」


部屋の光景にビックリしながら二人へ問いかける女伯なのであった。





肝心の女伯置いてけぼりで勝手に盛り上がる男子であった……。


※あとで二人とも家宰さんにチクられて前伯にお説教されました。

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