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グレードアップ  作者: エスプレッソ
巾箱之寵 編

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第28話

 至道邸リビングのテーブルを囲み、ヒラク、バンリ、フユミが相対す。


「いけ、先輩。君に決めた」

「こんな時だけ先輩後輩持ち出すのかお前は!」

「守るってカッコつけて勧誘しただろ俺のこと!」

「……そう言われるとそうなわけだが」


 対戦ありがとうございました、俺の勝ちです。


「フユミ、そっちに座ってくれ。ヒラクは俺の横に座れ」

「はい」

「……うっす」


 話が進まないから、仕方なく隣に座ってあげるだけだから!

 気を抜かないでねしぇんぱい!


「フユミが俺らの班に所属することになった。これは怪異間人の隠蔽のためとヒラクの側に置いたほうがいいという国際的な圧力、もとい判断のためだ」

「なんで国際社会が一国家の一都警察機関のこんな細小零細班の寂れた人事ごときに口を出してくるんすか!」

「いってくれるじゃねぇか。なぁフユミ。これから同じ飯の釜を食う仲だ。同僚としていってやりたいことがあればガツンと」

「私に釜を食べる嗜好はない」

「くっ……」


 クリーンヒットぉおおお!シェンパイしっかりして!今のは俺の誘導が悪かった!……あれ?いや自爆か。


「それに私を取り押さえたときにドサクサに紛れて胸を触ったこと、なかったことにできると思うな」

「えっ触った?ごめん気づかんかった」


 えぇー。それは無理があるってバンリセンパイ。ふーみん慎ましやかながらも魅力的なものをお持ちだと思いますよ。ファッションで小さく見えるだけで着痩せするタイプとみた。


「元を辿ればお前がヒラクを殺そうとしたからだろ」


 なんて自然な誘導。やっぱり頼りになるんじゃんバンリ。腕組みしてやろ。


「下手に刺激して、ヒラクくんのシンギュラーを起こしてしまう方が問題です」

「起きるっ……てそんなことあんの!?バンリ!?」

「ねぇよ。取り込んだ核肉が散らばってお前の中に根付いてる。フユミが言ってんのは細胞の活性化的な話さ。異象が暴走するって意味だ」

「よかったぁ。オートメイドとかガチでないわー」


 オートメイドは取り込んだ核肉が異象者の人格や行動に影響を与える、もしくは乗っ取られることを表す言葉。

 現代の研究では、人格変化は異象を得た(ベース)の気性だといった結論が出されていて一蹴されている。

 だが核肉を持っていたシフターが何を殺して食ってるかわからないといった理由で、異象者を嫌う自然保守派、そして排斥しようと考える自然過激派が一定数存在する。

 異象者をオートメイドと呼んで差別することは禁じられ、またシフター関連の宗教の振興を禁じると国際的な条例で決まった。 

 シフターは変異性を持つもんだからさ。

 今の世界は昔より安定してはいるけど、実はドーラ以降シフターの数は年々増えていて、出てきた分から潰すって対症療法的なやり方しかできてないのが現状なもんで、宗教理由に戦争、そんなことしてたらリソースが分割されてシフターによって世界が滅ぶ。


 それに現在はもう大多数が異象者の現代社会では自然派の声は小さすぎる。

 しかし特異者というのはなにかと注目されるんで、俺もこのボディに宿す強すぎる力で身を滅ぼさないようにしないといけない。

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