表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
116/146

ハクレイ裁判第二回公判:黙秘。ただ一つ言えること

 第二回公判で、原告側の意見陳述に立ったシュレムが、告発した。

「——我が政友、ユージンは、キーレ前国王暗殺の濡れ衣を着せられた挙句、大量破壊兵器の復活容疑まで掛けられ、無実の罪で処刑されたのです。すべては、ハクレイ元宰相の差し金。親友、ドベルト博士と共に企てた、国家転覆罪の容疑を、我々になすりつけたのです」

 法廷内に動揺が走る。「静粛に!」と裁判長が制止し、ハクレイに問う。

「被告人ハクレイに問います。これらは真実ですか?」

 沈黙するハクレイ。自身の手首を拘束する金具に目を落とす。鬱血して浮かび上がる赤色のそれに、あの夜のロゼッタの血を思い出す。

「……罪については、黙秘いたします。ただ、ひとつ言えることは……」

 ごくりと固唾を呑んで見届ける朱鷺ときを、ハクレイが見上げた。

「ただ一つ言えることは、セライは、私の子ではないということです」

 再び法廷内がざわついた。特別傍聴席に座るスザリノや安孫あそんにも、動揺が走る。

「セライが、宰相の子じゃない……?」

 この場にいない恋人の真実に、スザリノは絶句した。その隣で、エトリア王妃が娘の手を握る。

「お母さまっ……」

 今にも泣き出しそうなスザリノに、「それでも、セライが貴方を愛していることに変わりありませんよ」と優しく慰める。

「次回の公判では、その証拠をお見せしましょう」

 ハクレイが一点を見つめ、重たい言葉を放つ。裁判を傍聴していた新聞記者が、特大ニュースとして報道するため、足早に法廷を出て行った。こうして、徐々に追い詰められていくハクレイの、第二回公判は閉廷した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ