45.本は開かれる?
授業を終わらせるチャイムの音が学校に響く。
「あー!終わったー!」
「帰ろー!」
「あ、わりぃ!
俺今日バイトー!」
生徒たちが楽しそうに教室を出ていく。
先日、この学校では工場見学の際に、工場が爆発事故を起こすという悲劇が起こっていた。
それによって、生徒の約1/3が死亡し、引率していた教師と、同伴していた校長と教頭も亡くなった。
しばらくは休校が続いていたが、ようやく再開し、皆も以前の活気を取り戻しつつあった。
「京也!
帰んねーのかー?」
「んあ?
屋上」
「またかよー!
見付かんなよー!」
京也はヤンキー仲間にそう言われながら、今日も屋上にタバコをふかせにいった。
「新一、今日は生徒会か?」
「ああ、そうだ。
予算を組み合わさないといけないからな」
「生徒会長様は大変だな。
頑張れよ!
また明日!」
「ああ、じゃあな」
悟に励まされ、新一は生徒会室に向かっていった。
「香織!」
「悟」
悟は下駄箱で待つ香織に声をかける。
香織もそれに嬉しそうな顔で迎える。
「待った?」
「ううん、私もいま来たとこ」
そして、2人は手を繋いで帰っていった。
その夜、香織は自分の机の引き出しを開けた。
「……記憶、なくなってないよ、黒鬼さん」
そこには、意匠は異なっていたが、明らかにあの時燃やしたものと同じ気配を漂わせている本があった。
「なんで?
皆は覚えてなかったのに。
なんで、私だけが……」
本を燃やしたのが自分だったからなのか。
黒鬼によって不当に亜空間に飛んだからなのか、考えても答えは出なかった。
香織は何度捨てても燃やしても戻ってくる上に、何でも願いを叶えてやろうと、何度も頭に囁いてくるその本を恨めしげに睨んで、ばたん!と引き出しを閉めた。
「私は、こんな本、絶対に開かない。
いくら、どんな願いでも叶えてやるって訴えてきても、私はすがらない。
もう二度と、あんな悲劇を繰り返してたまるもんですか!」
香織はそう言って、部屋を出ていった。
誰もいない部屋に、ピエロ悪魔の声が響く。
『あなたは必ず本を開く。
そして、願うのです。
そのためなら、私は何でもしましょう。
あなたの願いは、そうですね。
私の大切な人たちを蘇らせてください、といったところですかね。
くっくっくっくっくっ』
悪魔の書は待つ。
再び、そのページがめくられるのを。
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