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⑧
「お、泣いてんな。帰ってきたか」
親方は、にっと笑って、静かに肩口を叩いた。
「親方あッ……なんすか、あれッ……は、……クソッ」
「あ?……夢、だろ?ただの。気分転換になったか?」
笑って去っていく親方に苛立ちを思いながら、……僕は投げ出されていた一枚の小さな絵を手にとって涙を零した。お下げの赤毛の少女が子牛に触れている。……その何の変哲もない絵を目にして、もう、僕は、何も変哲もないなんて……思えない。
……きっと、一生、思えない。
2021 01 24 20:38
完結と致します。
このような作品に目を留めて下さり、最後まで読み込んで下さり、感謝の気持ちで一杯です。
誠に、有難う御座います。
失礼致します。




