エピローグ(二)
https://note.com/yokoze_asahi/n/nd976d3779ee0
尾道駅前のウッドデッキで私は、熱海からここまでの逃亡経路を振り返った。
川崎さんには「東海道本線を使って名古屋へ行く」と言ったが、川崎さんが追手と手を組んでいるのではないかと疑い、静岡県内で東海道本線を降り、バスと列車で大月駅へ向かった。
途中、青木ヶ原樹海のすぐそば、精進湖の畔にあるホテルに泊まった。屋上の露天風呂から見た富士山と日の出は、とても綺麗だった。
中央本線の列車を乗り継ぎ、諏訪湖のすぐそば、上諏訪駅から乗った列車は、七時間ほどかけて長野県の山奥を抜けて、愛知県の港町、豊橋に到着。列車、バスと乗り継いで伊良湖岬からフェリーで鳥羽へ。航海中、三島由紀夫作の小説「潮騒」の舞台である神島が見えた。
鳥羽の駅前でアワビやサザエを売る威勢の良い女の人たちを無視して列車で伊勢へ。伊勢神宮をお参りし、おかげ横丁で牛串とビール、紙芝居を楽しんだ。
列車で熊野の方へ下り、世界遺産に登録されている鬼ヶ城を歩いた。和歌山の勝浦では、青年と一緒に夜の灯台巡りをした。私によく似た若い青年だった。
和歌山港からフェリーで四国、徳島へ上陸。道路と線路を両方走れるデュアル・モード・ビークルという乗り物に乗った。
バスと列車を多く使い、香川県でうどんを食べようと途中下車して歩いていると、坂出市のある公園で送電塔を倒そうとしている人物に出会った。その後列車で本州へ再上陸、今いる尾道へ。
電話が鳴った。川崎からの電話だった。
電話に出ると『元気か?』という偉そうで、懐かしい声が聞こえてきた。
今までの逃亡経路を聞かれたため、さっきまで回想していたことを逐一説明した。
最後に、これからどこへ向かうつもりだと聞かれたため
「路銀がないから、しばらくここで逃亡経路を考える」と答えた。
『金貸してやろうか?』と川崎が言った。
「そうしてくれると助かる」
『じゃあ、品川に来いよ。新幹線に乗る金はあるか?』
「それはある」
『じゃあ、ホームで金を渡す。その後すぐ降りた新幹線に乗って東京まで行け。そこからは好きにすればいい』
電話を切った私は、ようやくこの物語を終わらせられると思った。
そして、最後を迎える場所はあそこが良いと思い、その駅までの切符と東京までの新幹線の座席を買った。
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電話を終えた川崎は、D株式会社の境に電話をかける。
電話で聞いた対象の現在地と、これから対象が品川に来ることを報告した。
『わかった。目立たないように取り押さえて連れてこい。社員を何人か連れて行け』
第3章終了。
精進湖→立石公園(諏訪市)→豊橋→鳥羽→伊勢神宮→おかげ横丁→鬼ヶ城→串本→徳島→高知→坂出→尾道
次回から最終章です。




