プロローグ
この物語は切実な願い故に愚かな過ちを犯した龍と、人間の物語り。
一匹の龍が空を飛んでいました。昼寝をしようと、飛んでいた下、草原のすぐそばの崖の上で昼寝をする事にしました。
龍にとってはほんの少しの間でしたが、人間にとっては何十年という歳月が経っていました。
そんなある日、龍は少女の声で目を覚ましました。
この数十年、嵐も竜巻でさえこの龍をおこすことは出来なかったといいうのに、人間の声で眼を覚ましたのです。
この、瞬間から龍は少女に思いを寄せたのです。
それから龍と少女は毎日の様にその場所で他愛ないことを話したり、遊んでいました。
龍はとても幸せな時を過ごしていたのです。今までのどんな時よりもこの一瞬は輝いていて、まるで微睡みの中にいるかのように、静かな暖かい日々が続いていました。
ですが、ある日少女は来ませんでした。龍は次の日は来るだろうと待つことにします。ですが次の日も次の日も少女は来ないのです。龍にとっては一瞬のはずでした。それなのに、少女を待つ時間をとても長く感じるのです。
少女が龍のいる場所に顔を見せなくなってから5日がたち、龍は待ちきれなくなって、人間に化けて村へと、少女を探しに行きます。
龍が少女を見つけたときには 少女は流行り病で床に伏して、今にも死んでしまいそうだったのです。
龍には、自分には、たった一つの方法だけ、少女を助ける手段がある事を思い出します、ですがそれは龍達の禁忌でした。
でも龍は、それでも少女に生きていて欲しいとそう思うのです。
それが少女を傷つけてしまうとわかっていても、龍は少女に生きていて欲しいと願うのです。
龍は自分の我が儘であることも気づいていました。でも、今までに感じた事のない焦燥感が駆り立てるのです。
一瞬の迷いは切り捨てて、龍は少女が死なない方法を選びます。
決して死なない方法を…
(君は、私を恨むことだろう…でも私は君に死んでほしくはなかったんだ、すまない…)
少女は、病の床であの龍が、そう少女に語りかけているのを感じていた、
でも、少女には、何故龍が少女に謝っているのかわからなかった…
『――謝る事なんて何もないのに…ヘンなの、病気が良くなったらまた、いつも通り貴方に会えるのに…――』
それから、百年余りのときが過ぎても、少女は今も生き続けています。
家族や親しい人々が死んで彼女は一人きりで暮らしていた。
しかし、それも永くは続かなかったのです。死ぬ事も老いる事も無く生き続けるには、人間にとってどれ程苛酷な事でしょうか…
そんな時に、彼女の龍の心臓を狙って、兵隊がやって来たのです。
兵隊の放つ弓矢はことごとく彼女の身体に弾かれ、通用しませんでした。
兵隊達が驚き戸惑っている間に彼女は逃げ出します。
逃げ切った時彼女は思うのです。
『もう、終わらせなければいけない…』
彼女は今まで過ごして居た場所でずっと龍を待って居たのです、龍がもう二度と自分に会いに来ることが無いで在ろう事に気づかない振りをしながら…
そうして待ち続ける事によって彼女は自分の心の時間を止めていた。
遂に、歩み始める時が来たのだと、決心し彼女は終生の旅路へと歩み始める。




