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『子丑酉申辰寅丑未卯午巳亥戌酉卯辰!!!』
たくさんいる中の蒼を軽快に避けながら奥にいる蒼に向かって走りながら唱えた。
もも「土遁、土竜牙!」
ももの周りの大地が盛り上がり、牙となって竜のように蒼に飛びかかっていく…!
ドォォォォォオオオオン!!
瞬く間に蒼は土竜に飲み込まれた。
土煙がたっている。
その土煙から大きな土の盾が出来ていた。
その奥から蒼が出てきた。
蒼「私の水遁で土を固めてしまえばそれが強固な盾になるのよォ」
もも「やっぱり蒼は強いね」
ももは立ち止まって言った。
『丑未丑卯未申酉辰丑亥丑未丑卯未申酉辰丑亥丑未丑卯未申酉辰丑亥!!!!!!!!』
蒼は土の壁に隠れながら唱えた。
蒼「水遁!氷抄駁!」
周りの木がだんだんと枯れていく。
水分を吸い取られているようだ。
そして、それらの水分は蒼の前で氷に変わり、全て消し去るかのように、雪崩のようにももに襲いかかる!
ドォォォオオオオオオ!!!
裏山に大きく鈍い音が響き渡った。
この戦いには戦っている最中の圭や統一たちなどが仰天させられた。
ももは何とか避ける。
雪崩が起きた後の氷の上に乗っている。
もも「やっぱり、蒼は…」
ももがいいかけるが蒼が止める。
蒼「すごいね。か?」
ももの心の中を読んだように言った。
蒼「そういうテメエがうざくてキモいんだよ!!」
もも「え、どういうこと?」
ももはよく蒼の言ってることが分からなかった。
蒼「それはあんたの心に聞くんだな」
そう言って蒼はももにクナイをなげた。
しかし、効かない。
蒼は自分がももにかなわないことを昔から知っていた。
まだ犬だったころの蒼は友達と呼べるものが一人もいなかった。
主人もいなかった。
蒼はいつも一人で空を眺めていた。
ある日、蒼のもとに一匹の犬がいつものように空を眺めていたところ、突然ぶつかってきた。
それがももだった。
どうやら道に迷ったらしい。
しかし、蒼はももがどこに行きたいのかが分かるわけがない。
もちろん話すことが出来ないからである。
相手も忍者であれば、心術で話すことができる。
蒼は面倒くさいことになったと思った。
(…すいません…)
蒼「!!」
誰かが声を掛けてくるのが分かった。
人間かと思ってとっさに逃げようとする。
とてもじゃないが子供に遊ばれるのはあまり好きではない。
石を投げられたトラウマがある。
(に…にげないでくださいよぅ…)
どうもおかしい
蒼は思った。
耳に音が伝わってくる気がしない。
周りには誰もいない。
まるで心に直接声を掛けてくるような…
そして、またその声が言った。
(…ふつうのいぬさんですかぁ)
蒼「普通の犬さん?」
思わず見ず知らずの犬の心に言ってしまった。
それに、その声は反応する。
(ああ、もしかして忍者さんですかぁ…!?)
蒼「声が…返ってきた!?」
これで初めて蒼は自分にぶつかった犬が蒼と同じ忍者であったことが分かった。
蒼とももはすぐに仲良くなった。
寝食共にし、まるで姉妹のようにいつも一緒だった。
ある夜、蒼は言った。
蒼「私もちゃんとした主人が見つかるかなあ」
ちゃんとした主人というのは、優しい主人ともう一つ意味がある。
それは、代々服部家は隠密や、主人を影で支えることを主としていた。
なので、守るのに相応する主人を見つけなければ意味がない。
そこを拠点にして情報を集めることもできる。
もも「きっと見つかるよ!だって蒼はかわいいもん!きっと蒼の人間の姿はかわいいんだろうなあ…」
蒼「そうかなあ…」
蒼はももの言葉を謙虚に受け取った。
しかし、蒼はももにそう言われて嬉しかった。
その後、
蒼「私何か食べれるものがあるか見てくるね」
蒼はももを置いて食べ物を探しにいった。
食べ物と言ってもさすがに残飯などは食べない。
だいたい食べ物は商店街を歩いていれば、優しい人たちがくれる。
しかし、それがない時は落ちているきれいな食べ物を取っていった。
ももは裏の路地にいた。
ただ通り過ぎていく人々を見るだけである。
しかし、
「うわあ!犬しゃんだあ!」
一人の3、4歳の子供が一匹の子犬に話かけた。
ももも同じくらいの歳だが、犬の3歳は成犬なので、人間になったときのももは精神年齢はもう、30歳以上はある。言語能力もあるので、かなり、知能があるといってもよいかもしれない。
ももは「なんだ。また、子供か」と思った。
よく皆さんは裏路地にいる猫や犬を見つけては胸が高鳴ったものだったろう。
このようにいつも、子供がももや蒼の前に現れては撫でたり、抱っこしたりした。
しかし、あることをきっかけにももの気が変わった。
母「圭、行きますよ」
(こ、この気は…)
ももは一児の母のただならぬ気に圧倒された。
何もかも魅了する美貌。
それならまだ分かる。
その女性からは不思議な雰囲気が漂っていた。
今まで会ったことのない人間。
これは器のある人物だと思った。
ももは早く蒼に伝えようと思った。
自分よりも蒼に行ってほしかった。
ももは振り返った時
ちょうど蒼がいた。
ただ、蒼は驚いた表情で見ていた。
蒼もこのただならぬ雰囲気が分かったのだろう。
蒼「もも…この人…」
蒼が言った。
もも「蒼を探しに来たんだよ!この人たち!!」
ももは即答した。
ももは嘘をついた。
蒼に会いに来てはいない。
蒼「え、本当!?」
蒼は希望に満ち溢れた気持ちだった。
しかし、もものそのお人好しの性格が逆目にでてしまった。
蒼は小さな子供に向かっていく。
ワン、と蒼は一声鳴く。
圭「おまえはあっちへいけよぉ!!」
蒼「え?」
ももの嘘が蒼を傷つけてしまったのだ。
圭はももを無理やり抱っこし、そのまま立ち上がって歩き出した。
抱っこされているももは
もも「蒼!!!」
叫んだ。
しかし、ももが言っている方向に蒼の姿はなかった。
蒼「…」
蒼はまた一人ぼっちになった。
『きっと見つかるよ!だって蒼はかわいいもん!』
何だったんだ?今までの言葉は…と蒼は思った。
蒼はももに騙された、いや、裏切られたと思った。
また一人で食事をとり、一人で寝る。
もう、商店街にも行けない。
あそこはももがいてこそだった。
蒼一人がそこへいくと、そこにいる人はみんな無視した。
蒼はとぼとぼと歩いた。
そうすると、裏路地の店の裏口のよこのゴミ箱に四角でほこりかぶっている鏡を見つけた。
なぜそこにあるのかは分からない。
蒼はゆっくりとその鏡を覗きこんだ。
蒼「だ…れ……??」
鏡には醜い姿をしている毛並みはボサボサで薄汚い犬が一匹、覗きこんでいた。
蒼「だ……れ……???」
繰り返し言う。
蒼「ねぇ…あなただれ??何で私の真似をするの????????」
『きっと見つかるよ!だって蒼はかわいいもん!』
蒼「キャアアアアアアアアアアアアアア!!!」




