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第16章 揺れる心
辺りは白かった。
何もなく、ただそこにいる少年はぼーっとみているだけだった。
この少年には分かっていた。
夢だと。
いつも決まってでてくる夢…
一人の女性が圭の前に現れ、いきなり問いかける、そして、少年はその女性を『母さん』と呼んでいる。
しかし、朝起きた時はいつも、忘れてしまって、この夢を見るときにまた思いだす。
女性はまた問いかける。
『あなたは何を望む?』
「俺は…関ヶ原を止めて…平和になれば…」
『平和にしてどうするの?』
「平和にしたら、それで終わりだろ?」
『それで平和になりますか?』
「少なくともよくなるだろう!?」
またいつもと同じ会話で、その少年には言葉を変える権利がない。
突然、女性はいつもとは違うことを言った。
『そうですか』
女性は納得したのか諦めたのか知らないが、どちらにせよその飽き飽きした会話がなくなるのはその少年には喜ぶべきものだった。
女性は続ける。
『どうやら時が近づいているようです』
「何なんだ?」
その少年は思うままに言い返した。
何よりもいつもと変わらなかった会話ではないので、少年にとっては新鮮である。
『わたしはイツモアナタヲミマモ…ッテイマス…』
「何なんだよ!母さん!」




