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圭「…ハア…ハア」


圭は走っていた。

(やけに静かだと思ったら麻倉組員は全員外に出ているのか…)


会社の裏口内はかなり静かだった。

ほとんどの組員をそとに出しているのだろう。

しかし、油断は禁物だ。


(いくら何でも仲間がああゆう風にしているのは見ていられない!)


さすがに圭は怒りを隠せなかった。

冷夏の奮起をみたせいだ。


(それに麻倉組がいるということは、なおさら、督川が俺たちに力をかすはずがない)


西軍の麻倉を東軍の督川につける。

つまり、"東軍は西軍と協力をしてでも圭たちには協力する気はない"、ということになる。


圭は非常階段を走る。

御曹司は最上階にいる、と統一は言っていた。


(統一さんに言われてついてきたけど圭さん大丈夫かな…)


優良はそう思った。

優良は御曹司のいる部屋の前の天井裏に隠れていた。

統一から電話で圭が会社内に入ったとの連絡があったので優良は心配していた。


実は優良は前もって督川ホールディングスに侵入していた優良。

いわゆる、中に入ってきた仲間を援護するという目的で入ってきたのだ。

もちろん会社内の安全も前もって確認してある。

御曹司のいる部屋までは敵は今のところいないはずだ。


本来はこういうことは忍びのももがやるべきなのだが、一番圭たちの接触の少なかった優良がやることになった。


圭が怒っているということは優良は分かっていた。


それ故に"怒りで力任せに倒そうとするとかえって犬死するだけ"

圭がかえってそれをしそうで心配だった。


(来た)


優良は非常階段からの人影を見つけた。

もちろん圭である。


「侵入者発見」


黒いスーツ姿のSP二人が、大きい自動ドアの前に立っている。

その一人は冷静に今の状況をどこかへ連絡する。

この奥にいるのだろうか、と圭は推察する。


(今までの敵とは違う。SPは依頼人のことを最優先に考え、そのためにいろんな手段や方法で敵を無力化する。戦い馴れ、頭脳明晰な相手)

優良は心配になる。


今の圭はかなり感情に揺らされている、と思ったからである。


圭「…」


しかし、圭は静かだった。

先ほどとは裏腹に怒りも表情に出さない。

ただ無表情で立っている。


SPとの距離は約十メートル。

SPはそこからの動きをみせない。

SPの目的はあくまで依頼人を守ること。

この者たちにとっては圭が何もしなければ動く目的もないのだ。


だが、そこで圭が立ち止まるはずもない。


優良はただただ胸の音を抑えることに必至だった。


(どうなるんだろう)


優良は拳を握りしめ、それを見守る。


そして、圭は一歩。


SP「…!」


踏み込んだ。


ドシッ、と重い一歩。


SPは片手を腰にかけて顔をしかめる。


ドシッ、とまた重い一歩。


「今、ジオン様は多忙により一時お休みになられています。すみませんが、お帰りください」


一人のSPがそう告げる。


圭「…」


だが、圭は止めない。

ドシッ、とまた重い一歩。


SPはもう説得しない。

そして、無言で立ったままになる。


優良「…」


優良はもう分かっていた。

次できっと圭は動く。


圭は足を挙げる。


SPは腰にかけてある警棒を軽くつかむ。


緊張。


この空間では汗一滴流せば、お互いが瞬時に動く、そんな空間。


ゆっくりと今、踏み込まれようとする足。


優良「…」


片足に力が入っていることに優良は気づく。


やはり圭は動く。


そう優良は確信する。


そして、その足は思いきり踏み込まれる。


圭は思いきり槍を振りかざす。

しかし、遅い。


SPはもう警棒を構えている。


圭「ふッ!!」


圭は警棒の守備範囲ギリギリで片足を止める。

そして、思いきり振り切る。


(そうか。警棒と槍のリーチを考えると…)


だが、優良の思ったことはそう簡単にはいかない。

相手はSP。

そんなことなど読んでいた。


優良「あっ」


SPが後ろに下がる。

圭の槍はギリギリ届かない。


圭「ハァァアアアッ!!」


圭の体は条件反射のように動く。


槍の先端がかわされると、槍をもちかえて柄の先端でSPの警棒を弾いた。


一歩。


SP「…!」


SPは銃を取り出す。


しかし、遅い。


SP「ぐっ…あ…」


槍を一回転させて槍の先端をSPへ思いきり突き刺す。

左脇腹に突き刺さる。


一歩。


SPは体をくの字に曲げて倒れこむ。


SP「無力化する」


そう言うと、もう一人のSPは銃を取り出す。


優良「圭さん!!」


圭は体勢を整える途中。


間に合わない。


優良「届いてェェェエエエエエエ!!」


優良は自分のもっていた槍を投げた。

拳銃の弾よりも優良の槍が早く出る。

その槍はSPが打った拳銃の弾を弾き返し、軌道を変えた。


優良「やった!」


優良はうまくいって、思わずガッツポーズを見せる。


SP「もう一人だと!?」


SPはとっさに優良の方を見る。


圭「ハァァアアア!!」


一歩。


油断していたSPを圭の槍がすばやく正面から貫かれる。


SP「ゴフッ!」


SPは血を吐いて、その場に倒れた。


圭「優良さん、出てきてください」


優良「は、はい…」

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