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ペロティとラスピは故郷へ

翌日、ラスピに起こされた私は半分寝ぼけながら庭に出て

残りのドラゴン肉を全部3頭に食べさせた。

犬達が庭で寛ぎ始めたのを確認して、自分の準備に取り掛かる。

メア大陸に軽装で行くのは死にに行くようなものだ。

私は寿命が無い稀少エルフなので治癒魔法のデメリットがなくて。

治癒し放題だから怪我や病気じゃ死なない。

だけど、痛みや不調を感じないわけじゃないから準備はしっかりしていった方がいいのだ。


戦闘スタイルは完全に魔法。

剣もそこそこ扱える。


エルフと言えば弓!そう思ってた最初の頃は相当弓の練習をしたんだけど

集落のエルフに弓を使ってる人は一人もいなかったし、私も下手すぎてすぐに諦めてしまった。

弓は難しいのよ、的になんて絶対当たらないんだから。

動いてる相手に当たるわけないもの。


私は魔法を行使するのに杖などの媒体は必要としない。

なので、緊急時に使う為の剣だけはすぐ使える状態にしてある。

厚手のシャツ、薄手のズボンにロングブーツ。

漆黒のフード付きローブを羽織れば準備完成。

全て付与魔法モリモリの魔道装備品だ。

全身真っ黒で怪しさ満点だけどね。


ニーヴはお留守番だ。


「さあ、帰るよ」と言うと

ペロティとラスピは寄ってきたけどニーヴは知らん顔だ。

別れを惜しむわけでもなく、あっさりしたものだが幻獣ってそういうものなのかもしれない。

ペロティも懐いてはいるけど、ベッタリするタイプじゃないし。

親しい幻獣ってペロティ達だけだし、他がどうなのかはわからないがフェンリルはきっとそういう種族なのだろう。


ペロティを保護した地点に転移すると、小さい魔物、小動物や鳥たちが一斉に悲鳴をあげて逃げていった。

辺りが静かになって、撫でる手を止めると二頭はちょっと見つめあって…

ペロティは元の縄張りの最奧地、ラスピは違う方向に去っていった。

ラスピは親離れして自分の縄張りを作るのだろう。

龍がまだ健在だと心配なので、私はペロティの後を付いていくことにした。

ペロティはこっちこっち、と私を案内してくれるようだ。

メア大陸の北部は冷え切ったジャングルというか、生い茂った植物と氷の寒冷地で奥に行けば行くだけ天候も荒れている。

2時間ほど歩いて極寒の地到着。

ペロティが見せてくれたのは龍の死体だった。

ちゃんと仕留めてたのね。

カチコチに凍っている黒龍は予想通り小柄で、若い個体だったようだ。

小さいといってもペロティの倍以上はあるけれど。

ペロティは嫌そうに龍を見ているので貰って帰ることにした。

首がちぎれかかってるだけで、他はきれいな状態だったし何かの役に立つかもしれない。


ペロティの巣穴に保存魔法をかけたジャーキーを沢山置いて、優しく撫でてから

最初の転移地点に戻った。

ラスピの向かった方を少し探索して龍みたいな脅威が無いかチェックしたが大丈夫そうだ。

彼女が向かってる方向はペロティの縄張りの西側のようだ。

10日位したら一回様子を見に来よう。

私はメモ帳に9の月10日くらいにメア大陸。と書き込んで、家まで転移した。


ニーヴは庭でひっくり返って寝ていた。

ペロティとラスピにはあり得ない事だ。

オスだからなのか…?

ニーヴがお気楽だからか?

なんとも間抜けな姿に笑わずにはいられない。

過酷なメア大陸でホントに生きてきてたのかしら?


メア大陸、北側は極寒だし南側は熱帯雨林で両極端なのよね。

中間地点の狭い地域にしかヒト族は住めないからね、栄えないわけだわ。

ヒト族ってのは人間含めた獣人、鳥人、龍人、魔族、妖精とか言葉を話す種族をまとめた呼称だ。

エルフは入っていない。仲間はずれだ。

精霊、ヒト族、エルフ。

差別ではなく、区別らしいよ?

魔獣は獣タイプの魔物。

魔物はそれ以外を指すことが多いかな。

スライムとかね。

あ、ゴブリンは魔物じゃないよ、あれは妖精族だから繁殖目的で他種族を誘拐したりはしない。

見た目も可愛い小人さんだ。

皮膚も緑じゃなくて紫。


次の日はニーヴのシャンプータイム。

2度洗いをして、仕上げに無臭に精製したムウルの脂とピーネをちょっとだけ溶かしたお湯でリンス。

真っ白ふわふわに仕上げた。

ニーヴはかなり成長して、ペロティより大きいので大仕事だ。

シャンプー嫌がらないので助かったけどね。


訪問にあたって、私が準備するものは無いと言われているけれど

領主にはなにか持っていった方がいいだろう。

王子にはニーヴ用にドラゴンジャーキーをあげれば良いとおもってるんだけど

古龍の脱け殻とか珍しいから喜ばれるだろうか。

古龍は縁あって育てた事があるので、手のひらサイズから大戦艦サイズまで脱け殻いっぱい持ってるんだよね。

大人になるまで10回くらい脱皮するから。

屋敷に飾れそうなのは3回目までのかな…


チェシャ情報によると龍の血を買ったのは領主らしくて、中々の収集家らしいからね。

要らなさそうだったら、違う種類の龍の血をあげよう。


私は人間よりは頑丈だと思うけど、疲れないわけではない。

メア大陸にいって疲れているので今日はもう何もするつもりはない。

今日はもうダラダラ過ごすんだ。


ソファーにだらしなく寝そべって、タマゴサンドを食べつつ読みかけで放置してた【魔族から見た人間とは】を読んだりして自堕落に過ごしているうちにどうやら寝落ちしたようだ。

目が覚めたのは約束の時間50分前だった。


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