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340. 争奪戦が始まるようです(【庭】の特性)

今月3回目の投稿です。

もう少し頑張ります。

第四章 氷雪の国と不良王子(340)

  (アンソロ編・氷樹地帯)



340.争奪戦が始まるようです(【庭】の特性)



「これが・・・・・庭ですか?」


【小屋】の1階から【庭】に出て、しばらく無表情で全景を見渡した後、フェイスさんから溢れた言葉がこれ。


うんフェイスさん。

分かりますよ、その気持ち。

元々かなりの規模になってたのを知ってる僕でも、正直ちょっとこれはないかなぁって思いますもん。

フェイスさん用の部屋の窓から見た景色と同じですけど、窓越しに見るのと、実際外に(庭に?)出て直接見るのとでは、実感の仕方が違いますし。


「ディーくん、ちょっと、これ、説明してくれるかな?」


2階からトコトコと一緒についてきたディーくんに、僕は少し低めの声で問いかける。


「あるじ〜、見たまんまだよ〜。広くできたからね〜、広くしたんだよ〜」


うん、まったく説明になってないよね。

ガンちゃんが言ってたけど、僕の能力を使えるようになったって本当?


「とりあえずね〜、【庭】の改変はできるようになったよ〜」


いつから?


「星4つになった時からかな〜」


星4つ?

てことは従魔全員ができるってこと?


「そうだよ〜。みんな勝手に広げてるよ〜」


勝手に?

てことはディーくんも全体は把握してない?


「広くなり過ぎて無理かな〜。海はタコさんがどんどん広げちゃってるし〜、山はスラちゃん、平野はウサくん、森はコンちゃんとハニちゃんとラクちゃんが競い合ってるよ〜」


もしかして、ここから見えない部分にもいろいろあるのかな?

山の向こうとか、海の向こうとか。


「そうだね〜。いろいろあると思うよ〜」


うん、これ以上詮索するのはやめよう。

【庭】は従魔たちの遊び場ということで放置だな。

まあこれはこれで、パーティーメンバーの訓練場にもなるし、いざという時の避難場所にもなる。

食料や資材の調達もできそうだし、特に問題はない・・・・・

ないよね?


「ウィン様、ご説明をお願いできますでしょうか?」


ディーくんとのやりとりの間、沈黙していたフェイスさんから説明要求がきた。

でも僕に的確な説明できるかというと、たぶん無理だ。


「ちょっと広いですけど、これが【庭】です。」

「ウィン様、その説明で納得できる方はいないかと。」

「ですよね・・・どう言えばいいのかな・・・・・そうだ、とりあえずダンジョンみたいなものだと思ってもらえれば・・・」

「ダンジョン!?」


苦し紛れの説明を付け加えると、フェイスさんが驚きの声を上げた。


「ウィン様はダンジョンを創造つくるスキルをお持ちであると?」

「いや・・・正確にはダンジョンというか・・・」


僕が言い淀んでいるとフェイスさんが表情を引き締めて言葉を続けた。


「ウィン様、そのスキルは秘匿することをお勧めします。」

「やっぱりまずいですよね。でも【小屋】とかけっこう見せちゃってますけど。」

「【小屋】であれば、かなり苦しい説明ながら【転移門】の特殊型で誤魔化すことも可能かと。しかしこれはダメです。」


フェイスさんの態度は今までにない程真剣だ。

僕も思わず背筋が伸びる。


「ウィン様、この世界にとってダンジョンとは何だと思われますか?」

「何だと言われても・・・魔物がたくさん発生する特殊な空間?」

「事象としてはその通りですが、人々にとってダンジョンは、『金のなる木』あるいは尽きることのない『金鉱』です。」

「尽きることのない『金鉱』?」

「はい。出現する魔物にもよりますが、力ある者がそこに行けば多くの財物を得ることができます。ダンジョンがあればそこに人が集まり町ができます。ですから新しいダンジョンは発見され次第、国に接収されるのです。」


なるほどね。

ダンジョンは経済活動の源になるのか。

それを作り出すスキルがあるとすれば・・・


「ウィン様争奪戦が始まります。あらゆる国が参戦すると予想されます。」


げっ、それは絶対に嫌だな。

面倒事が餌を見つけた蟻のように集まってくるってことだよね。

でも、


「ダンジョンみたいなものって言っても、本物のダンジョンではないんだけど・・・」

「ウィン様、この【庭】に魔物はいますか?」

「いっぱいいるよ〜」


突然ディーくんが会話に参加してきた。


「ディー様、その魔物たちの数は減りますか?」

「減らないよ〜、みんなで集めてくるから〜」


フェイスさんの問い掛けにディーくんが答える。


ディーくん、みんなというのは従魔たちのことだよね。

君たち、魔物のコレクターか何かなのかな。

魔物を集めて何がしたいのかな。


「その魔物たちを倒すとドロップは発生しますか?」

「だいたいするよ〜。ここ、ドロップ率高いからね〜」

「倒した魔物の肉体は消えますか?」

「消えないよ〜、残るよ〜」


ディーくんの答えを聞いてフェイスさんは一度目を閉じ、しばらくしてから目を開いて僕を見た。


「ウィン様、この【庭】はダンジョンよりもさらに性質たちが悪いかと愚考致します。」

「どういうことでしょうか?」

「通常、ダンジョン内の魔物は倒されるとその肉体が消滅します。魔素に戻りダンジョンに吸収されるというのがダンジョン学者たちの見解です。その代わりとしてドロップが生じるのではと考えられています。」

「確かにダンジョンでは、倒された魔物は光の粒になって消えますよね。」

「はい、そしてダンジョン外の魔物は肉体がそのまま残り、ドロップはしません。肉体の一部、あるいは全部が討伐報酬ということになります。」

「でもこの【庭】ではドロップと肉体の両方が得られると?」

「はい。つまり価値が2倍ということです。」


なるほどそういうことなのか。

【討伐クエスト】の報酬があるせいで、その辺の理解が曖昧だった気がする。

でも何かひっかかるな。

何かあったような。


「ディーくん、確か以前にここで倒したカラード・ホーンラビット、光の粒になって消えたと思うんだけど。」

「あるじ〜、あれはウサくんが魔改造してただけだよ〜。花火みたいにしたかったって〜」


うん、従魔たち、あんまり生き物で遊ぶのは控えようね。

魔物とはいえ、命あるものたちだし。

まぁ、大量に魔物を殲滅している僕が言っても、説得力皆無だとは思うけど。


「ウィン様、以上の理由でこの空間を創造つくる能力は秘匿することをお勧めいたします。」

「分かりました。ここにはできるだけ人を入れないようにしようと思います。」


僕がフェイスさんの提言に納得し、承諾の返事を返した直後、あの独特の笑い声が僕の背後で響いた。


「フォッフォッフォッ、ウィン殿、その必要はないと思うんじゃがのう。それにもう手遅れじゃろうし。」


そこには白髭のじじぃ、いや『コロンの白鯨』、ジャコモさんが立っていた。


お読み頂きありがとうございます。

次回投稿は25日(水)です。

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