36, どうかな
うん、アルフレッドの顔が赤いし、動きが止まっている。
シャルルは・・・無表情で私を凝視してる。感情が読めない。
ソフィアは、口元を押さえ俯いたかと思ったら・・・肩が小刻みに揺れてるわ。笑っているのね。
うん、どうしたものかな。ベビードール着てるし、ブラもつけてパンツも履いている。隠したいところは隠れている。前世での夏の薄着ってやつよね。見られてもいいか。よし、大丈夫。夏の薄着。ミニスカワンピだ。何だ、見られてもいいじゃないか。それに一人は兄弟、そしてもう一人は恋人、婚約者(仮)だ。全くの他人じゃない。今の家族と将来の家族だ。OK。大丈夫。焦ったら負けよ、ナディア。ん、方向性がおかしくなってきた。まぁ、取り敢えず、笑顔で言ってみよう。
「おかえりなさい、アル君、シャル君。」
私は彼らに向き合って、取り敢えず挨拶をしてみた。
はっと我に返ったアルフレッドは、更に顔を赤らめて言った。
「あっ、ただいま、姉さんって、なんて格好をしているんだよ!」
アルフレッドは口元を押さえ、横に顔を背けた。
まぁ、14歳、ああそうそうそろそろ15歳か、という多感なお年頃にナディアのナイスバディは刺激が強いかな。こうなっても仕方がないか。それにしても、アル君、かわいいわ、その反応。
「ああ、これはね、仕立て屋さんに頼んでいた前世の下着とベビードール、まぁナイトウエアをね再現してもらったの。出来たから、試着していたのよ。」
ふふ、おどおどしたら負けよね。開き直ってしまおう。
どうせなら男性、まぁ、ガキだけど、の目線での意見も聞きたい。
「どうかな?」
私はクルリと回ってみた。あっ、いけない。裾が開いちゃう。さっと裾を押さえて顔をあげると、すぐそばに無表情のシャルルが立っていた。
あれっ、感情が読めない。何も言わないけど、怒ってる?ん、そうではない?
シャルルは上着のジャケットを脱ぐと私の肩からそれを掛け、ぎゅっと抱きしめた。
「シャル君、どうしたの?なんか不機嫌?」
私は苦しいくらいぎゅうっと抱きしめられていた。ん、不機嫌?そんなに長く会っていなかったっけ。
「どうしたのじゃないよ。何でこんな・・・こんな肌を露出する格好をしているの。誰にもこんな姿を見せちゃだめだよ。」
「ええっと、似合わないかな?」
「そう言うことじゃなくて、肌を出しすぎ・・・官能的過ぎでしょう。僕を煽るためならいいけど、アルフレッドに見せてどうするの。だめだよ、こんなセクシーというか官能的なディアを僕以外に見せちゃあ。僕以外がディアの肌を見るなんて・・・ダメでしょう。えっち過ぎるよ・・・。」
ぎゅうぎゅうと私を抱き締めながらシャルルは言った。
うん、怒っているのではないのか。あれっ、これって独占欲・・・ってやつかな。嬉しいかも。
「えっちに見える?」
「うん、ものすごく。」
「私に似合っている?」
「うん、すごく。」
「えっちなことしたくなる?」
「・・・それ聞く?」
「ふふ、男の子的にどう見えるのか聞いてみたかったの。」
ふぅっと小さく息を吐いてシャルルは言った。
「・・・ものすごくそそられる。他の男に見せたくない。僕だけのものにしたいけど、婚前だから我慢しなくちゃいけなくって、辛いよ。」
「シャル君が辛いなら、もう着ない方がいいかな?」
「・・・だめ。もっと見たい。」
あら、素直。
「私がいた前世の世界では、直接今見えてはいないけどこんな下着って普通なのよ。まぁ、このベビードールはちょっと特殊だけど、この下につけているものは日常使っていたものなの。それに、足を出すような短いスカートやズボンもあったから、足を出すことに抵抗はないのよ。この世界の下着って酷いのよ。肌触り悪いし、胸は隠さないし、かぼちゃパンツだし・・・もう不愉快で不愉快でね。だからね、今回作ってもらったのよ。で、ソフィアやハンナの分も作ってもらったんだけど、着方が分からないようだったから、実演して見せてたの。で、ドアに鍵かけるの忘れてて、アル君とシャル君に見せることになってしまったの。」
うん、まずはこうなった経緯を説明だ。別にアルフレッドやシャルルに見せる気はなかったと知ってもらおう。
「・・・前世のディアは大胆だったんだね。」
シャルルは私の肩に顔を埋めていた。
うん、違うって。
「そうじゃなくて、ミニスカとか普通のファッションアイテムだったの。それに、下着も普通にみんな使っていたモノなの。大胆な下着はもっとすごいのよ。絵に描いてあげようか?」
耳年増の知識をなめんなよ。私は使ったこともないし使う予定もないけど、本当のエッチな下着はすごいんだから。
「・・・いい。もう充分、僕には刺激的過ぎるよ。」
「そういう感じなのね。これ、あのパーティで色ボケピンクの被害者の婚約者に結婚祝いとして贈りたいの。初夜、盛り上がると思う?」
「・・・確実に盛り上がるよ。そうだね、言っていたよね。初夜に使うナイトウエアを贈るって。初夜に使うためのものって何だろうって思っていたけど、これだったんだね。」
「ええ、そうよ。あの時はこの世界の衣服事情を知らなかったからこういうナイトウエア、ベビードールって言うんだけどね、がないって知らなかったの。」
シャルルは少し考えることがあったようで、しばし黙った後、ふぅっと小さく息を吐いた。
「少なくとも僕は見たことない。」
うん、そうあってよね。
「・・・見たことあったら許せないかも。女遊びをしたってことでしょう。悪い子ね。」
「・・・全部ディアが初めてって言ったでしょう。僕はディアのことで悪い子にはならないよ。だってそんなことしたらディアはさっさと逃げちゃうでしょう。やっと捕まえたのに・・・。もうさ、こんなにドキドキさせて、責任取ってよね、ディア。」
「責任って・・・。」
あらっ、通常運転になってきたのかな。うん、話題を変えよう。ふふ、これならどうだっ!
「ふふ、シャル君。」
「何?」
シャルルは顔を上げた。
私はにっこり微笑んだ。
「ただいまは?」
私がそう言って自身の頬をツンツンとつついた。伝わるかな?
シャルルは頬を赤らめ私を抱き締めていたが、私の仕草を見てくすっと笑った。
ああ、いつものシャルルだ。
シャルルは少し体を離し私の両肩にシャルルに両手を乗せると、ゆっくり顔を近づけながら言った。
「ただいま、ディア。会いたかった。」
そう言ってちゅっとリップ音をさせて私の頬にキスをした。そして満足そうに微笑んだ。
うん、かわいい。
私はシャルルの片方の肩に両手を置き、ちょっと背伸びをしてシャルルの頬にキスをした。
「おかえりなさい。会いに来てくれて嬉しいわ。」
ふふ、いいぞ、頑張れ、素直な私。
それに裸足だから、ちょっと背伸びがいい感じ。
シャルルは満面の笑みで私をふんわり抱き締めた。




