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うちの猫は液体です  作者: 秋葉夕雲
第三章
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第38話 真偽

「なるほど。ではあなたのギフトは何です? 真に主の教えに従うものならば真実を述べられるでしょう?」

「お前、馬鹿にしてるでし? いくら何でもそんなこと話せるわけないでし」

 まあそりゃそうか。

 明らかに自分に不利になることは話さなくてもいいらしい。運営側のバランス調整だろう。

 だからこそ利用できる。

「おや、妙ですね。あなたのギフトはとてもではないですが、神の思し召しとは程遠いものでしょう?」

「君。いい加減なことを言うのはやめてもらえるかな? 私は主に選ばれたのだ。私ほどに信心深いものがどこにいるというのだ?」

 ちらりとスマホを見る。

 カウントは増えていない。おそらく動揺していないのだろう。

 挑発があからさますぎて受け流せてしまったらしい。本来なら絶対に受け流せるはずはないのに。

 これは五月から受け取った情報と合わせた推測。

 チャールズは自分のギフテッドとギフトの正体を知らない。それはこの代償に関係している。知ってしまえば質問に嘘をつかなければならず、それは代償に引っかかる。

 代償の罰則を発動させないため、コルネリウスはあえて嘘をついている。

 一方でコルネリウスはそんなオーナーに対して、忠実であるがゆえに罪悪感のようなものを抱えている気がする。

 このコンビの弱点はそこだ。

「あなたが本当に信心深いというのなら、ご存じですよね。あなたのギフテッドが善ではないということに」

 その言葉にコルネリウスはびくりと身を震わせた。

「……? 君はさっきから何を言っている?」

「おや。まさか気づいていないんですか? そのギフテッドが鹿ではないということに」


 コルネリウスはぴくりとも動かず、しかし口を挟む様子もない。

 それに対してチャールズは不快さを隠せずに顔をしかめた。

「だから何を言っているんだ。コルネリウスは……」

「通常の鹿は」

 あえて話の途中で遮ると、チャールズはイライラした様子で足元の地面を蹴った。

「角が枝分かれして骨のような構造になっているそうです」

「まさにコルネリウスのそれじゃないか」

「そうですね。でもそれ、本当に鹿の角ですか? 実は、作り物だったりしませんか?」

「はあ!? いくらなんでも気づくだろう!」

「どうでしょう? 精巧に作られていたり、はく製だったりすればそう簡単に気づけませんよ?」

「さっきからなんだ! いいがかりばかり! じゃあコルネリウスの正体はなんだって言うんだ!」

 もうこの時点でコルネリウスの正体に対して疑念を抱いているのは明らかだ。

 つまり私の言葉を信じ始めている。相棒であるコルネリウスよりも。

 それがどれほど危険なことなのか全く理解できていないのがチャールズだけというのが実に滑稽だ。

 そして告げる。

 亀裂を致命的に広げる言葉を。

「コルネリウスの正体は山羊です」


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