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すげーな - 06

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「――私達はこれからもずっと、生き抜いて、生き延びる。命を燃やし切っても、一緒に駆けて行きましょう。私達の明日の為に」

「マイレディー……っ!」

「――マイレディーっ……!!」



 うわぁっ! ――という大歓声が鳴り響き、その迫力や音量だけで、周囲で地鳴りがしてきそうなほどの勢いだ。


 こんな熱狂的な領民の支持を得ている光景も初めてで、ジャールが素直に感心している。その隣で、リエフだって――珍しく目を丸くしているほどだ。


 大歓声が広がる中、セシルが、スッと、優雅にドレスの裾を掴み、ゆっくりと膝を折りながら最上級のお辞儀をしてみせたのだ。



「――私と共に生きてくれて、本当にありがとう。皆に、私からの最上の感謝を、ここに。ありがとう、みんな」



 誰かが感動したように叫んでいて、それから、誰かが泣き出した。

 それにつられたかのように、そこら中から、セシルの名が(とどろ)き渡り、大歓声が飛び上がる。


「……マイレディーっ……!」


 大声で歓声を張りあげていた数秒前、そして、今は、感涙しきって、泣き出している群衆。

 信じられない光景を目にして、ジャールもリエフも微かに口を開き呆然とした様子で群衆を見返していた。


「す、げーな……」


 無意識に出た呟きだった。今までずっとしかめっ面をしていたリエフの、本当に無意識に出された呟きだった。


「こいつは、また……」

「……お嬢が笑ったのは、初めてだな……」

「それはないだろ」

「いや、初めてだ。やっと苦痛から解放されて、嬉しかったんだろ……」


 なにしろ、10歳にもみたない子供なのに、あの時からずっとセシルは一人で戦い続けてきた。婚約解消の為に、念には念を入れ、入念に策を凝らして来た。罠を仕掛けてきた。


 その間、領地の発展はセシルが望むように進むわけでもなく、借金だらけで大赤字。人口も足りなければ、人材もいなくて、いつでもどこでも足りないものばかりだった。


 人知れず、ものすごい苦労を強いられようが、セシルは一度として諦めたことがなかった。泣き寝入りしたことがなかった。


 今でも、周囲一帯から上がる歓声や感涙した歓喜が鳴りやまない。


「すげー……領主サマだったんだな……」

「そう。俺達なんか足元にも及ばないぜ」





「ああ、今日は食った、食った! 酒もうまいっ!」


 豊穣祭の恒例行事、後祭りに参加しているジャールは山ほどある料理を平らげて、酒盛りにも自由に参加している。


 いつもは、宿場町の宿で飲み食いをして過ごしていたが、今年はセシルからの招待のおかげで、領地での後夜祭でもフリーパスだ。


 タダで、好きなもの食べ放題、飲み放題。

 天国のようなサービスではないか。


 豊穣祭で振るまわれる酒樽は、普段から領民達がこの日の為にと貯めてきた税金からと、寛大な領主であるセシルの寄付から成り立っている。


 この日だけは、領地の領民達が好きなだけお酒を飲み放題なので、今ではものすごい額の出費がお酒に投入されているほどだ。


 そろそろ、後夜祭の“チケット販売” でもしたらどうだろうか、という案さえ出されているほどに。お酒を飲む領民だけはチケットの購入が必要になり、その(微々たるものだが) お金で多少の経費を(まかな)うべきではないだろうか、なんて?


「よしっ、もう一杯行くぞ!」

「おい、タダ酒だと思ったら、全く限度がないな」


 リアーガが持っている木のジョッキも空になっていた。全員で2杯は軽く制覇している。


「いいじゃないか、なあ? 日頃からコキ使われてるんだから、こんな日くらいは、贅沢に飲ませてくれよ」


 そして、催促するかのように、ジャールはリアーガの目の前で、自分のジョッキをわざとに振り回す。

 完全に白けた目を向けているリアーガは、ジャールのジョッキをひったくった。


「お前はどうするんだよ」

「俺も、もう一杯」


 剣呑な眼差しを投げてよこしたリアーガがリエフのジョッキも取り上げ、ベンチから立ち上がっていた。

 まだ行列が続く酒場の方に、リアーガが移動していく。


「ああ、タダ酒だぁ! なんて素晴らしいんだ。ここの領主様に、大感謝~!」


 気分がいいジャールは、そんなふざけたことを大声で叫ぶ。

 だが、周囲の人間は、ほろ酔いで気分のいいジャールの態度を全く気にしていない。



読んでいただきありがとうございました。

Twitter: @pratvurst (aka Anastasia)


ಈ ಸಂಚಿಕೆ ನಿಮಗೆ ಇಷ್ಟವಾಗುತ್ತದೆ ಎಂದು ಭಾವಿಸುತ್ತೇನೆ.

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