第1話 2100年
オープニング前の話です。
メインは次話からですが、これを読まなくても次話がわからなくなることはありません。 逆に読まない方が謎か深まる。
常に曇っている空、ドーム型のマンション、円錐の形をしたガラス製のビル、空中で要り混じる高速道路、タイヤの無い車、ネオン街。
ここは2100年のとある大都市。都心にある高いタワーの先端からは宙に浮く巨大な平歯車が数個、雲の上まで連なっている。
最近完成したこのタワーは、「雷力発電」を可能にした装置だと言われている。反重力物質が含まれた歯車を宙に浮かせ、雷が落ちることで大量の電力を得ている。しかし、そこまで科学が進歩しても雷を確実に捉えることは不可能だった。
雷の電圧に耐えきれず歯車が壊れ、外れてしまうのだ。外れた歯車は使い物にならなくなり地上に落ちる前にレーザーで排除される仕組みになっていた。
そんなある日、今までにない超高圧の雷がタワーの歯車に落ちる。
「電圧が強すぎて、対応できません!」
コントロールルームで、黒地に青いラインが入った制服を見にまとう社員らしき人が叫んだ。
「なんとかしろぉぉ!」と、同じ部屋で指示している背の高く痩せているボスらしき人が怒鳴り返す。
どうやら落雷で大量の歯車が外れ、街全体が停電してしまったらしい。ずくに予備電力に切り替わるおかげで、灯りが消えることはない。
「ネオパズルが含まれる歯車は失うな!」
「1つ外れています!!」
「なんだと?! 早く回収しろ!それがないと空中の歯車は動かなくなってしまう!!」
ボスはコントロールパネルの右端にあるスイッチを乱暴に叩き、歯車回収ロボットを何十台もタワーから飛びたたせた。
落雷で外れた歯車の中でかなり遠くまで弾かれて、高速で回転しながら落ちていく小さい金色の歯車があった。
ロボットがその歯車を追いかけ、あとちょっとまで追い詰めた瞬間、
謎の青白い雷が金色の歯車に落ち、歯車は光と共に姿を消してしまった。
「歯車の行方がわからなくなりました! おそらくネオパズルの力で、タイムスリップしたのだと思われます!」
「何処へ行った?」
「機械の計算によると、2075年頃だと思われます。」
「過去か… まあいい。いずれあの歯車を使って、この時代に誰か来るだろう。その時回収すればいい……。」
ボスはコントロールルームを去り、自分の部屋に戻った。
未来なので科学が進歩して、雷力発電を実現化してみました。
『ネオパズル』は、一種のタイムマシンだと思ってください。これを持っていると時間移動ができるのです。
次話から当分2100年のシーンは出ません。




