表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青鳥島の合宿 ~陰キャでぼっちな俺が、引き籠もり女子と孤島に向かった~  作者: シッポキャット


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/42

41 引っかかり

()くなった二人は今……どんな状態なんでしょうか?」

俺が恐る恐る(たず)ねると、職員の二人は顔を見合わせ、一呼吸(ひとこきゅう)置いて田中忠(たなかただし)が答えた。


「取りあえず室温が設定可能な倉庫室(そうこしつ)に、敷布団(しきぶとん)ごと遺体を(なら)べて安置(あんち)している。もちろん警察に現場の状況を(つた)えるため、多めに記録写真と映像を取った上での移動だ。昼からは暑くなるだろうから、そのまま(ほう)っておくわけにもいかないからな」


 倉庫と聞いて、ふと根本遥(ねもとはるか)の事を思い出した。今はどこに潜伏(せんぷく)し、何をしているのだろうか。


「それで、もう本土との連絡はついているんですか? (むか)えの船は、いつ頃ここに?」

俺が矢継(やつ)(ばや)に質問すると、秋月令子(あきづきれいこ)が口元で手を組んだまま、重々(おもおも)しい口調で口を開いた。


「実は……上陸した当初から無線機は(こわ)れていたんです。(うそ)をついて申し訳ありません。

 皆さんが動揺(どうよう)するのを恐れ、話し合いの結果、本土との連絡が取れている事にしていました。このような大事(おおごと)が起こってしまい、もはや秘密にしておくわけにはいかなくなりました。

 こちらから連絡を取る(すべ)はないので……(むか)えの船は、本土にいる職員がこちらの異変(いへん)に気づき自主的に手配(てはい)してくれるか、予定通り、明日の正午(しょうご)の到着を待つしかありません」


 職員たちの場当(ばあ)たり的な対応と危機管理意識の低さに、今更(いまさら)ながら唖然(あぜん)としたが……こうも連続的に続いた想定外の出来事に、同情(どうじょう)するところも無くはない。


「とにかく(あらし)()ったようだから、このまま晴れ間が続けば明日の正午には確実に(むか)えの船がやってくる。君たちは朝飯を食べた(あと)、シャワーでも浴びてサッパリしてくれ。石鹸(せっけん)やタオルは、ロビー奥の更衣室に用意してあるからな」

田中忠は憔悴(しょうすい)した顔を隠すように席を立ち、秋月令子と一緒に厨房(ちゅうぼう)のカウンターに向かった。作り置きのサンドイッチとペットボトルのミルクティーを(はこ)んで、テーブルの上に並べた。


「朝食の後、私たちは今後の予定と懸案事項(けんあんじこう)を協議しなればならないので、職員室に()めています。

 しばらく自由時間としますが、安全面も考えて、外出は不可とします。何かあれば私たちのいる職員室まで来てくださいね」

秋月令子は先程(さきほど)とは打って変わり、(きび)しい眼差(まなざ)しを向けて言った。


 重苦しい雰囲気の中、無言の朝食を終えた職員たちは、俺と瀬野賢児(せのけんじ)を放ったらかして食堂を出て行った。取り残された俺と瀬野賢児は会話の糸口がつかめず、気まずい空気が(ただよ)う。俺は沈黙に()えかねて、息を吐き出すように言葉を発した。


「瀬野くんは……本当に、一連(いちれん)の事件の犯人が、布引(ぬのびき)さんだと思っているのかな?」


 瀬野賢児は俺の発言に戸惑(とまど)いつつも、ニヒルな表情を浮かべて答えた。

「フッ、僕は断片的に把握した情報を(つな)ぎ合わせて、(ひらめ)いた可能性の一つを(かた)ったまでさ。あえて一連の事件が単独犯(たんどくはん)によるもの――という(しば)りをつけてね。

 事件の真相がすべて明らかになった時……さしづめ僕が名探偵(めいたんてい)だったという事になるかも知れないな」


 自分に()いしれている瀬野賢児に水を差す形になるが、(かま)わず俺は会話を続けた。


「だけど田中先生は『きっと真実は別のところにある』と言った。一連の事件に、何か()()()()()があるんだと思う。それにもかかわらず……なぜかその(あと)すぐに、(さじ)を投げるような発言で言葉を(にご)した。

 俺は、この矛盾(むじゅん)した田中先生の発言が()に落ちないんだけど。瀬野くんはどう思った?」


「?? モチは餅屋(もちや)(警察)に(まか)せろって事じゃないかな。深い意味は、何も無いと思うけど」

瀬野賢児は要領を得ない顔をして、残りのミルクティーをゴクリと飲み干した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ