R-027.0710.1712 届いた願い
「で、お前はなんでここにいるんだ?」
走り込み兼、パトロール中。最後尾を走っていると途中参加をしてきたやつがいた。
「わたしもここの所属ですよ?」
なにをおかしな?という顔をしているが……。
「いや、卒業後だろ。学校はどうした」
「下校してきました」
「早!じゃなくて家は!?」
「以前お借りしていた部屋をまた使わせていただけることになっています」
「……」
話が噛み合ってるのか微妙な返答だ。継目の行動も早すぎる。まさか準備していた?ありうる。どこに先見の明を活かしてんだ。
「じゃあ寝泊まりは地上で、昼間は地下の学校か?」
「そのつもりです」
登下校で地下と地上を行ったり来たりとは、前例のなさそうな話だ。
「地下にいると中々ごはんが食べられなくて」
「なんでだよ」
「毒入りの食品が回ってくるんです」
「毒!?」
「その話を千葉隊長にしたら、こっちで飯を食えば良い。うちの飯には絶対に毒が入らないから、って」
とんでもない話だ。どうやってターゲットにピンポイントで毒を盛るのかは分からないが、どんな手法にしても根深い隠蔽が横行していることになる。地下に対する疑念が強まる証言だった。
「だとしても、入隊は卒業後だって言っただろ」
「もう一度模擬戦をして一本取ったら合格、って言ってくれたのは鮫浦副隊長ですよ?」
「ぐっ。思いっきりぶん殴られたアレ、痛かったなぁ」
「良い一撃だったと自負しています」
うんうんと満足そうに頷く魚石アスカ。
「でもさ!!顔がぶー腫れるまで強く殴る必要ってあったか!?」
膨れた右頬は今もまだじんじんしている。舌足らずの状態で告げた合格の一言が、喜助のツボ笑いの種になったのは記憶に新しかった。
「攻撃時は鮫浦副隊長も必ず実体を伴います。であれば、クロスカウンターが有効なのは分かっていました」
「加減の話だよ?戦術の有効性は聞いてないんだよ?」
熟思する魚石アスカ。
「入隊への想いを乗せたので、重かったと思います」
「あー痛かった!!!」
「気持ちが伝わったようで嬉しいです!」
「ちくしょー!!」
速度を上げて、並走する彼女を振り切る。
せっかち女、魚石アスカが加入した。
「流石です!」
「追いついてくんな!!!」
お疲れ様です。
閑話休題といいますか、息抜き回です。
ここからまた次のステージに移っていきます。
ヒカリは毒を見分けるほど聡いですが、それも理由があります。
たくさんの伏線をぶら下げて、いざ新節。
更新は一週間後、3月20日の予定です。
よろしくお願いします。
次回は、従弟の話です。




