A-018.0525.1912 ドミナンス戦7
死角から突撃してくる山羊。でも焦る必要はない。
「大丈夫、隣に居て」
無言で藤子が頷く。
山羊は壁を跳び回りもう一度突撃してくる。もう一度、さらにもう一度。隣に居る藤子も一緒にヒカリの翼が守ってくれていた。
なぜか巨体のときより攻撃が重い。
それでも、出力を上げ六枚に増やした翼を抜かれる気はしなかった。
もっと複雑で多角的な連続攻撃を嫌というほど浴びた経験が活きている。
あとはタイミング。
鮫浦副隊長の言葉を思い出す。
『反撃のタイミングがぬるい。我慢しろ、確信以外で翼を振るな』
正面から攻撃が来るのを待つ。
上、右、左後ろ、防いで、防いで。防いで。
蹄は面で受け流し、角は逸らす。
じっと、神経を集中させて。
ついに、確信が来た。
四枚の翼で、正面を叩く。
山羊は大きく吹き飛ばされ、背後にあったアパートの壁に叩きつけられた。
倒すにはアヌンライトを破壊しなくてはならないが、露出しておらず、正確な位置が分からない。
なら、ありそうな場所をまとめて貫く。
二枚の翼を集めて融合、形状を変化させる。
練り合わせるようにして先端を尖らせ、矢の形を象った。
訓練と鍛練の成果。明暗の一撃が唸る。
一瞬。応えるように山羊の角が不気味に輝いた。強力なミーダ波が空気を伝うのを感じると同時に、山羊をかばうようにして横から人影が飛び出す。
「っ!?」
藤子の目は虚ろで、正気を失っていた。
わたしは気づいていなかった。
工の練成に集中した結果、自分の放っていたミーダ波が弱まっていたことに。
隙を突かれた。敵は洗脳波を藤子一点に集中させ彼女の意識を操ったのだ。
反射は攻撃を止めようと働くが、時すでに遅し。
全てを貫かんとする一撃が放たれてしまった。
反動で身体がのけぞり、倒れる。
ずぼっ
肉を貫く音が聞こえ、血しぶきが舞う。
ごろごろと真っ赤になったものが転がり、飛び散った。
真紅の矢は中空を切り裂き、霄へと吸い込まれていく。
お疲れ様です。
読みづらい文章になってしまいました。戦闘シーンは難しいですね。
真化はこのお話の中で重要な概念になります。大は小を兼ねると言いますが、ここでは。
次回更新は一週間後、12月19日の投稿予定です。
よろしくお願いします。
みんな集まってきました。




