A-018.0426.2222 僕らは自ら進み行く
寮棟へ案内され、しばらくたった。
外には魔石特務部隊の人が二人、警護として立ってくれているらしい。
お休みくださいと言われているが、未だに店での光景が脳裏に浮かび落ち着かない。
怖かった。
ヒカリとペンダントの異空間を使った練習を重ねてきたから問題ないと思っていたが甘かった。
練習してきた意味はあった。
比女さんや他のお客さんを守ることができたのは経験が活きた証。
だが敵意と向き合うこと、死と隣り合わせになることの現実をわたしは知らなかった。
店長には感謝されたが、力のコントロールが精細に行えず、店を大きく壊してしまい申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
わたしにはまだ、覚悟が。
「はあ……」
ふわりと、胸元のペンダントが暖かくなる。
Nコードが起動し、大きな鷲が部屋中央に現れた。
「ヒカリ」
ばさばさと翼をはためかせながら頭を近づけ、ごしごしこすりつけてくる。
「元気出せって?ふふ、ありがと」
ヒカリに寄りそう。羽がフカフカしていて、暖かくて、気持ちが落ち着いた。
急に世界が目まぐるしくなって、不安になるけれどわたしは一人ではないのだ。
隣にいるだけで元気がもらえるなんて、安直すぎるかしら。
「次は上手くやるわ……父さん」
お疲れ様です。
才能があれどなかれど、みんな必死に生きてるもんです。
更新は通常通り一週間後、2月21日です。
よろしくお願いします。
次回は日を跨ぎます。




