第九幕 吸血鬼
地下まで降りると、薄暗くともされ周りは木の根っこが囲んだ、血の匂いがこもった部屋があった。
その中心には、赤い液体が池のように広がっていた。
それは、はたから見れば〝血の海〟だった。
「これが…“遺乃血池”か?」
うん。と夕果は、小さく頷いた。
クサナギは槇奈を抱えて池の真ん中まで、行き静かに沈めた。
水面が少し揺らぎ、血の水から槇奈が立ちあがる。
……先に、琢磨を倒しに行く。と目が黄金に光っている槇奈がいう。
どうやらもう一度吸血鬼になったんだね。と琢磨が降りてくる。
琢磨。というと目にも止まらない速さで、槇奈は琢磨に向かって突進していた。
金属音が響くと、琢磨の剣が中空に飛び地面に刺さる。
「……まるで化け物だ」
琢磨の首筋にパイルバンカーを構えた、槇奈は一糸乱れることなく悠然とその場に立っていた。
さようなら。というとパイルバンカーを放った。
琢磨は、燃え尽きて消えた。
「地上に戻るぞ、槇奈」
地上まで少しのところで、夕果と槇奈は立ち止った。
私はいい。と槇奈は夕果の手を握り、そういいパイルバンカーをクサナギに渡した。
「なぜだ」
「吸血鬼になったから。そして今地上に行っても殺されるだけだから」
いいから早く行け。と強く怒鳴ると、クサナギは無言のままその場から走って立ち去った。
一番上から見下ろすと、階段は火の海であった。