表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大富豪 〜玉座を巡る革命〜  作者: 蒔根 蔦
第一章 ダイヤの喝采
9/9

無力なプレイヤー

※本文は完全に創作になります。

実際の地名や人物、団体とは一切関係ありません。


帰り際にギルドに立ち寄った。


依頼の進捗の報告と、

ルイスを見かけていないか尋ねる。


「ルイスさん?

さぁ……見かけてないけど。

たしかに、いつもレリオンくんに

べったりなのに見かけないなぁとは

思ってたのよねぇ。」


いつも通り退屈そうに

受付嬢をしていたエミーさんは

首を傾げた。


「あ、あいつなら知ってるんじゃない?」


顎でくいと指した方向に振り向くと、

酔いつぶれてギルドの机に突っ伏して

寝ているレイターさんがいた。


「いつもどこかしらフラフラしてるし、

見かけるくらいはしてんじゃないかしら。」


ため息をつきエミーさんは

レイターさんを睨んだ。


「あはは……、

ちょっと聞いてみます、

ありがとうございました。」


はいはいとめんどくさそうにする

エミーさんに背を向け

レイターさんに歩み寄った。


目の前まで来るとさすがに気づいたのか、

ビクッと反応したあとで

ゆっくりと顔を上げた。


「……うぅ〜」


おそらく二日酔いだろう、青ざめた顔で

今にも吐きそうな表情をしながら唸っている。


「レイターさん、大丈夫ですか?」


そう声をかけるも返事がない。


すると急に「うっ」と小さく声を漏らして、

俊敏にトイレに駆け込んで行った。


後を追ってみると、

個室の中から嗚咽が聞こえる。


「………聞かなきゃ良かった。」


無視することもできないので、

スフィに手伝って貰いながら介抱をする。


少ししてようやく落ち着いたのか、

ましな顔色になった。


「……あれぇ?

レリオンくん……?

なんで俺ん家にいんのぉ???」


寝ぼけているのか、

ここを自宅と勘違いしているようだ。


するといつからいたのか、

後ろにいたエミーさんが

レイターさんに近寄り、

胸ぐらを掴んで顔を引っぱたいた。


「あんた!!

子供にお世話してもらって

恥ずかしくないわけぇ!?!?

さっさと正気に戻んなさいよ!!」


まるで日頃の鬱憤でも晴らす勢いで

叩き続けるエミーさんをなだめた。


その一撃でどうやら正気に戻ったらしく、

慌てて俺たちに向かって

土下座を繰り出してくる。


この人に恥という感情はないのだろうか。





「ルイスさんが?いないの???

まじで??????」


状況説明をすると信じられないという様子で

驚いている。


「はぁ〜、この感じだと

見かけてないっぽいわね。」


役たたずと罵られるも、

レイターさんは相も変わらず

ヘラヘラとしている。


「それにしても心配だねぇ。

不安にさせたい訳じゃないけどさ、

ここ最近行方不明が多発してるじゃん?

…もしかしたら、」


こちらの様子を伺うように

恐る恐る言葉を述べているようだ。


俺だって考えないわけがない。

でもルイスはスペードの2であり、

騎士の能力持ちだ。


滅多なことではやられないだろう。


もし仮にルイスが誰かに誘拐されたとして、

それができる程の力があって、

ルイスを狙う動機がある人間は……、





いる。



いるじゃないか、




父を脅かせるほどの力を持って

玉座を奪い取り、


そのクラウンを真に自分のものにするため

スペードのデュースを狙う人間が。





どうしてもっと早く気づけなかったんだ!!



「またなにか情報があれば教えてください!!」




そう言ってギルドを飛び出した。



そうかテティアがいたのもそれが狙いか。


ただ飛び出したはいいが、

どこに行けばいいのだろう。




俺は、


俺は、




足を止めてその場に立ち止まった。


背後からスフィとノアが息を切らして

追いかけてくるのが聞こえる。



「レリオンさま!待ってください!!」



ぜーぜーと屈む2人に、

まるで独り言のように言葉を投げかけた。



「……俺は、

ルイスがいなきゃ

何も、

何も出来ないのか……。」




ルイスを取り戻すためのルイスが欲しい。


依存して、

自分の力を養う努力を怠った報いがこれか。






どうすればいいのだろう。


たとえ見つけたとして、

もう取り返しようがない。




その場に立ち尽くし、

足が1歩も動かない。



せめて自分がスーターだったら。


プレイヤーは無力だ。

スーターがいないと争いすら起こせない。





スフィとノアは、

俺の言葉になんと返せばいいのか分からず

口を開こうとしては閉ざすを繰り返していた。







「あ〜いたよ〜、いたいた〜。

アニキ〜、アネキ〜、こっちこっち〜。」


突然聞こえてきた声に顔をあげる。


大きな斧のような物を背に抱えた子供が、

こちらを見ている。



その子供が言い終わるより早く、

背後にふたつの影が降り立った。



「あれー!ほんとにいたわー!」


「どこ?見えない。」



全て同じほどの年齢に見える

3人の子供たちは、

その体格に見合わぬ

大きな鎌や槍を背負っている。



彼らの顔を見てハッとする。


スーター特有のマークが

その顔に刻まれていたのだ。


ひとりは右頬に、

もうひとりは左頬に、

そして3人目はその額に。



♣で揃えられたマークたちは、

独特の雰囲気を放っていた。


ケイト、シンク、サイス、


階段並びのその数字に、

なにか嫌なものを感じた。





「えっとー、君がレリオンだよね?」

第8話を読んでいただきありがとうございます!


今回はかなり慌ただしく動く回になりました。


レリオン自身も、

自分の無力さや未熟さと向き合うことになり、

ここから少しずつ物語も大きく動いていきます。


そして最後に現れた子供たち。

今後どう関わってくるのか、

ぜひ楽しみにしていただけると嬉しいです!


次回もよろしくお願いします!



よければ続きも読んでいただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ