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大富豪 〜玉座を巡る革命〜  作者: 蒔根 蔦
第一章 ダイヤの喝采
8/8

静寂のシルクハット

※本文は完全に創作になります。

実際の地名や人物、団体とは一切関係ありません。


相変わらず殺風景な場所だな。


周りにはどこまでも広がる畑ばかり。

まぁ、この国は豊かな作物で栄えてるからな。

当たり前と言っちゃ当たり前なんだけど。


昨日見たばかりの家の前まで来て、

ノックをする。


すると、中から軽快な返事が聞こえ、

間もなくしてドアが空いた。


そこには白髪の少し腰の曲がった女性がいた。


「遠いところまでよく来たわねぇ。

ささ、中にお入りなさい。」


家の中に入り、応接室へ通された。


「これ、私の好きなハーブティーなの。

良ければどうぞ。」


スフィとノアにもお茶を出して、

依頼者はニコニコと机を挟んで反対側の

ソファに座った。


「なんだか孫ができたみたいだわぁ。」


出されたお茶を熱がりながら

飲んでいるノアとスフィを見て、

穏やかにそう告げる。


「こんな田舎には若い人は

来たがらないからねぇ、

殺風景な場所でしょ?」


寂しそうに窓の外を見るお婆さんは、

決まりきった返事を求めてくる。


「…そうですね、やっぱり市街地に比べると

物寂しく感じます。」


お婆さんは当たり前のようにうなづいた。


「最近では、元々居た人たちも

どんどんいなくなっちゃってるんだから。

人手不足なのよねぇ。」


おそらくその居なくなった人達の中には、

例の行方不明事件に巻き込まれている者も

少なくないのだろう。


「それで、依頼の話なんですけど

行方不明に関わりがあるかもしれない

不審者を見かけたって……。」


単刀直入にそう話を切り出すと、

先程まで穏やかに笑っていたお婆さんは

俯き深刻そうな顔をした。


「……そうなのよ。

行方不明の中には私の知り合いの子もいてね。

その子とは行方不明になる前日まで

会っていたの。」


「依頼の話で知ってると思うけど、

私が見かけた不審者と話した人は

次の日見かけなくなってるのよ。」


改めてギルドで受け取った書類を見直した。


「えーっと、

その不審者はどんな格好をしていましたか?」


そう尋ねると、

お婆さんは思い出そうと頭をひねる。


「なんかねぇ……、独りじゃないのよ。

背の低い幼そうな子もいれば、

中年ほどにも見えた気がするの。

でも、見かけた不審者は一貫して

変な“シルクハット“を被ってたの。」


シルクハットと聞いて、少し考える。


昨日街であったあのキテレツな格好をした

謎の人物もそういえば

シルクハットを被っていた。


「…もしかして、

そのシルクハットを被った人間がいる時は

周囲の音が聞こえなくなったり、

人っ子一人見当たらなくなっていたり

しませんでしたか?」


そういうと、お婆さんは目を見開いて頷いた。


「えぇ、そうよ。

不思議なのよねぇ、

結構な大通りなのに音が聞こえなくなるのよ。」


やっぱり、もしかしたら昨日の人物は

ミクロンさんが見た人物と

一緒なのかもしれない。


……だとすると………



「ちなみに、その人物はどの辺りで

頻繁に見かけましたか?」




────────────────────




ミクロンさんにある程度話を聞いたあとで、

その家を後にした。


ミクロンさんは別れる際に、

ひとりで寂しいから気軽に来て欲しい

と語っていた。


「いい人ですね〜!

お土産にクッキーまでくれたんですから!」


ノアはミクロンさんから貰った

お茶菓子を歩きながら口に頬張っている。


「レリオン様、

なんで急いで出てきたんですか?」


ミクロンさんに話を聞いたあと、

急いで家を後にした俺をスフィは

不思議そうに見つめてきた。


もし、俺が昨日あった人物と

行方不明の犯人が同一人物だとしたら……


ミクロンさんが言うには、

その不審者にあった次の日に

全員居なくなったと言っていた。



そして、その不審者が目撃された場所は

チケットに記載されている場所の付近だ。



俺は懐に手を入れ、

あの時渡されたチケットを取り出し、

スフィとノアに見せた。


「昨日の夜に、ミクロンさんの言っていた

特徴と似た人物と会って、

これを渡されたんだ。」


スフィとノアはチケットを

覗き込むように見つめた。


「サーカスのチケットですか?」


「これ、今日やるみたいですよ!」


日付と場所を見た2人も勘づいたようだ。


「これに行けば、行方不明の事件に関係する

重要な情報が得られるかもしれない。」


スフィは首を振って静止してきた。


「あ、危ないです!

罠かもしれないですよ!

レリオン様がいなくなるのは、

とても……寂しいです。」


ノアもスフィの言葉に頷く。


「…そうだな。

俺もそこまで無鉄砲じゃない。

少なくとも、ルイスが戻ってくるまでは

大人しくするよ。」


今の俺では力不足なんだ。


自分の手を見つめ、ぎゅっと握った。



「ところで、

本当にルイスはどこに行ったんだ?」




────────────────────




天幕の裏から賑やかな声が聞こえてくる。


「全く、君のマスターは不用心だねぇ。」


目の前の怪しげな男は、

ニタニタと笑いながらそう話しかけてきた。


「…これからどうするつもりなんだ。」


「さぁ?君が知る必要はないだろ。」


男は近くにより、顔を近づけてくる。


「君には、君のマスターの

成長の糧になってもらう。

もちろん協力してくれるだろう?

エルヴィア………、いいやルイス?」


明らかに私を挑発してきている。

その男を睨みつけると、

男は手を挙げ攻撃の意思はないことを

示してきた。


「お前こそ不用心じゃないか?

私を憎み、警戒しているのなら

背を向けるべきじゃない。」


男の背にそう投げかけるも、

男は少しの動揺も見せない。


「たしかに、私は君が嫌いだが

ある意味では同類だとも思っているんだよ。」


どうやらハーブティーを入れているようだ。


男は出来上がると、

私の前にもハーブティーを寄越し

これまた趣味の悪い椅子に腰掛けた。


「さぁ、勝負と行こうじゃないか。」


男は愛用している

ダイヤのマークが刻まれている杖を回した。




……やはり苦手だ。






この、


オルガレットという男は。

第7話を読んでいただきありがとうございます!


少しずつですが、

行方不明事件の確信に近づいてきました。


オルガレットという謎の男の正体とは……?


ここから物語は大きく動いていく予定ですので、

よければ続きも読んでいただけると嬉しいです!

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