表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/115

五ノ話・七

「もう逃げられんぞ。きさまも終わりじゃ」


信長が息を切らせながら言った。

その声は、いつにもまして上ずっていた。

だが、追い詰められた修羅ノ介は、なお平然としていた。


「この本能寺は火事により幾度となく焼け落ち、その都度新たに建て替えられてまいりました。

ところで、本能寺が度々炎に包まれるのには、わけがあるのでございます」


「何を言うておる。たすかりたければ、命乞いでもするがいい。

そうしたところで、たすけるつもりなど毛頭ないがな」


信長の顔はさらに険しくなった。

しかし、修羅ノ介は平然としているように見えた。


「先ほど申し上げました不届きな土地神の話でございますが、どうやって生贄となる者を殺すのかと、私はこ奴に尋ねました。

すると奴は、こんなことを言ったのでございます」


修羅ノ介は続けた。


「わしが治める地に建つ寺、本能寺は、隠名を炎寺ほのふじという。

よって、何度立て替えようと燃えてしまうのじゃ」


土地神は得意げにそう言いました。

この時、私は何故か無性に腹が立ったのでございます。

私はこの不届き者を捕まえると、柱に括りつけました。


そこまで言うと、修羅ノ介は顔を上げ、ちらと目を動かした。


「あちらに見える柱でございます」


みなが、修羅ノ介の視線の先を追った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ