二部
「お前が不甲斐ないから振られたんだ。
ふふまさに花火だなぁ。綺麗なようでよく見ると風になびいて形もぎこちない。むしろ形なんてない何にもないものが消えた。火の粉が消えた。ただそれだけじゃないか」
そんな声から彼との奇妙な関係が始まった。一瞬気のせいかとも思った。だが彼は続ける。
「お前あの女のどこが好きだったんだ?ただ一緒にいてくれただけだろ?あいつには他にも男がいた、お前にはいなかった。ただそれだけだろ。忘れてしまえ。」
私は彼につい反論をした。
「違う。私彼女を私のものにしたかったんだ。ただそれだけなんだ…忘れることなんてできない…できるものなら忘れたいさ…」
彼はそのあと少し悩んだように私に語りかけた。
「違う違う根本的に間違えている。お前の物にはどうあがいてもならないぜ。彼女は物でもなんでもない。お前のエゴだよそんなの。」
そんなやり取りを続けていると不思議と活力が湧いた。振られたことに対する痛みがなくなったわけではなかったが、何か清々しいものがあった。私は彼を受け入れはしなかったが、不思議と不安や疑問などは抱かなかった。それが彼とのファーストコンタクトでありワーストコンタクトである。
そんな失恋も経て人一倍大きな心を育んだ私は、高校を無事卒業、念願叶い都内のぼろアパート経歩みを進めた。
こんなはずではなかったと後悔したのは33回目の起床をした時だった。枕元に不穏な影、カサカサと奇妙な音を立て、奇怪な笑い声をあげながら部屋中を這いずり回った。
私は奴を知っていた。
私の住んでいた村は気候に恵まれとても寒い地域だった。奴らはそこで私たちの目の前に現れることはなかった。奴らは寒い気候では生活ができないようだ。
人間というものは不思議なもので、ほとんどのものが奴に嫌悪感を抱いていた。そのことも手伝いSNS、様々なメディアで奴の記事を目にした。
考えるだけで悍ましく、背筋に冷や汗が流れ、発狂しそうになる。
そんな奴と初めて対面した。奴は私の1/100にも満たないおおきさだった。だが奴が放つプレッシャーに圧倒された。勝機はないと察した私はトイレへと逃げた。布団から起き上がりトイレへ入る、この間、わずか3秒も経っていないだろう。短距離選手も思わず生唾を飲む速さだ。
「お前あんな虫が怖いのか?ふふやはりお前は腑抜けだ。殺してしまえよほらはやく。」
彼は俺をはやし立てた。
「無理だ勝てるビジョンがない…無理だどうしたら…」
「お前は告白して付き合うビジョンがあって告白するのか?当たって砕けろだほれほれ」
彼は私をひたすらに煽った。その時部屋のベルが鳴った。来客の合図だ。




