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15話 「追跡の為」


彼等は「永劫の命を持ち合わせていると勘違いしておる。それ故に、斬り合うという愚行を犯しているのだ。


“主よ。どうだ?ワシを斬れるか?”


斬れるはずがない。あなたは外輪の眼だ。あなたこそ何をみたい?


“ワシは奴等が斬るであろう存在をみたいのではない。槍先から漏れ出る力、そして、追跡を許された鉄の花火を宛てる筒がここで渦巻く様まで、私はできることならみていたい。この地の過程をそこまでの比喩でしか表せない。そして、この平坦な場に眼が囚われることを望んでいない。”


外輪の眼と仙人より







「この!ふざけるな!私達の寝床を漁りやがって!」


その声は王の警護を終えて帰還する女性の兵士の悲痛な叫びだった。既に王の警護を終えた直後に兵士が駆けつけて、王の無事と“交戦”が始まったことが伝達されている。


その帰路にとてつもない奇襲が襲いかかる。

伝達兵「な、な、な、な?」


伝達兵は他の兵士へ、有効な打撃を与えることが可能なことが分かる。何故なら、悲痛な叫びの主の仲間を皆植物化させて、分解したのだ。イタチや狐となれ果て、人の姿の兵士は仲間の助けを得て、帰路のあと少しで、その兵士のみとなったのだ。

彼女の名前は「エスメラルダ」


その王の帰路を護る任務の責任者で、祭りの際に英雄の席に座っていた兵士だ。青い髪の彼女は、先の「共鳴の荒者」に対して、貢献した弓の達人である。しかし、彼女は今、道具を全て使い込んでしまった。


目の前の怪物はかつて仲間だった狐の尻尾の下に取り憑き、植物の果実にも似た、甲殻類の腕を2本構えて、異様なハサミと盾を構えている。人の手足を無数に生やして、その顔だけが狐の存在はニタニタと笑っている。


エスメラルダ「お前のしつこさは同胞を奪ったあの“共鳴の荒者”の使者だろ!私の恋人のエッソを返して!!あの人を!!」


狐の顔「お前の恋人が欲しいなら、私では足りませんか?はへ?足りないのは?何かな?あは?」


(さっきまで、発話していなかった同僚の男が喋った?どういうことだ?)


軽快に彼女、エスメラルダは槍を構えて、その“狐”のハサミで切られそうになる直前で、反動を使い、飛び跳ねる。それを繰り返して、帰路へ徐々に近づく戦法だ。


狐の顔「ぎろぎろぎろ。この体ではダメだ?は?しゅるしゅるじゅるる」


悍ましい声で、狐は自分を切り刻み始めた。

槍でエスメラルダは地面を突いて、森の中から動き、狐から逃げ惑う。そして、花畑のある平野まで抜けた。その“狐”は植物に近い見た目をしているが、花弁のような物を散りばめているようで、実際は鱗のような物を撒き散らしている。


カチーン!!!


槍で、エスメラルダはその鱗を弾く。が、弾いてはいなかった。何故なら、弾いたと思っていた鱗が破裂し、黄色の液体を撒き散らす。その液体を浴びて、エスメラルダは悶絶する。


エスメラルダ「うぉあおれ!あ!」


彼女は意識が残っている間に、槍を直接、狐の顔に投げつけるが、黄色の液体は彼女を植物が包み、狐の体は貫かれて、花と化したが、狐の顔は彼女を噛みつく。


そして、彼女は狐に植物の蔦に囲まれて、元の姿を奪われて、帰路につくフリをして、「水の聖域」へ帰るのであった。動植物に、鱗を飛ばしながら、狐?エスメラルダは不適な笑みを浮かべ、街を混沌と化した元凶である。イミュ?に跪く。


イミュ?「みつけた?あの?アレ?主?私?アムリー?貴方は確か、あ!感じる!私のなかまだよね?ほら!」


「アリリャ?分からん?私?ほら!ケインだよ!そういう貴方はイヤベルじゃない!」


イミュであるそれは名を明かし、2人はけたたましく笑う。


イヤベル「貴方は私の杖ほぉ、ど、適応する場所を与えられなかった低い役割だが、不可欠!さぁ、私たちの声が届いていない普通の人の街へ、獣の人達の場所から、移動だ!」


ケイン「あの場所へ?この雌の人間からは強い感受性を感じる。あそこは危険だって!この雌!少し自由にして、あそこ行かせる。だって、この雌、あそこに行くって言ってる。」


イヤベル「アリリャ、ケインもがんば、さぁ、この眷属達も私たちの声が届いたし、そろそろかな?ここの偉い奴は逃げたみたいだから、そいつ欲しい。その個体はゆーえき!」


二つの怪物は背中から伸びるイミュとエスメラルダの体ではあるが、植物の蔦を伸ばして、異形の姿をとり、周りにある“大きな一輪の花を咲かせた蔦の足を持つ生き物”がカニ歩きで、集合体になり、一つの鱗でできた巨大な噴水くらいの大きさの花を形成する。全て鱗ではあったが、薔薇のようなその花は黒曜石のように光っていた。



ケイン「はは!祭りで変な技を使った。男が、1番戦火の近くにいた!存ずる!存ずる!この体!脆くなって、分かって、きた、のは、あなた?ぎぅく!?ハハ!!」


傭兵蔵の入り口の前に立つ、植物は女性の兵士の顔で喋る。血で滲む顔は不気味な程笑う。


ギーク「全員、蔵に穴を開けて逃げろ!ここは俺とユミで何とかする!グレン!グー!マーチェを任せた!」


ユミ「


マーチェ「グレッグド!乗せて!頼むよ!」

グレッグド「ひぇ…あんなのただの魔物じゃないですよ!」

グレン「マーチェ殿!こちらへ!」

グレンは壁にあっという間にその怪力で穴を開けて、4人は外に出る。後に続いて、傭兵蔵にいた、数名も外に出る。


ケイン「あじゃ、あじゃ!ぶーしゅるふふ!分かった!あの2人だな!この世界の言語。わかてきた。」


ケインは植物の体をエスメラルダの体に格納して、植物の蔦で体を覆い、植物の羽を2対広げて、1対を弓の形へ、もう1対は槍へとと変化させる。槍先と蔦の触手が運ぶ矢の先には、黄色い液体が滴る。全身に所々、鱗を生やして、まるでトカゲだ。


ギーク「ユミ!」


ユミ「えい!」


ユミは自慢の槍の使い方で、傭兵蔵にあった、希少なサボテンの鉢植えを槍で器用に持ち上げて、四つに切り刻み、破裂させた。ギークはしゃがみ、それを避けるが、同じく、ケインもそれを体を後ろに反らせて避ける。四方八方に飛び散りるそれは、蔵に穴を開ける。簡単な木材でできた郊外の蔵だ。数箇所に穴が空いた。


ギーク「調子狂うだろ?多分蟹やろうだろ?あの、品質が悪すぎる油の泡を吐いてた破片だな?」

ギーク(おそらく、奴は祭りまでの1ヶ月ほどは何かしらの方法で潜伏していた可能性がある。そして、確実にこいつは“共鳴の荒者”だ。鱗を持つ要素は確実に地上での存在ではなかった。つまり、奴だ)


ケイン「アリリャ、バレちまってもうええや!元々、貴方達も私の為に恋恋するからね?恋って分かるか?私も恋人とのひと時を返して欲しいの!エッソ!!」

ケインは植物の矢を放つ。ユミはそれを槍で全て撃ち返す。素早い身のこなしで、蔵の外に、先程空いた穴から弓で、4回矢を放ちながら、槍でケインは追撃をするが、それをギークはいなす。


ギーク「ユミ、頼む!マーチェのやつでいい!」


ユミ「分かった」

ユミは床に、1つの球を投げつけて、破裂させる、その瞬間、辺りは炎に包まれて、蔵の床を全て覆い尽くす。


その隙に、ギークは槍をケインの首元に突き刺して、エスメラルダの首を切り裂き、ケリュケイオンで突き飛ばした。


ケイン「うぁあ。やるな人間!この種族の名前は彼女から聞いて学んだ!私の仲間になれよ!ハハ!歓迎の水は私達の絆!」


そう言って、突き飛ばされながら、ケインは植物の蔦の部分が、全て甲殻類の殻のような姿となり、黒曜石のように輝く。そして、鱗に大量の黄色い液体を粘着かせて、矢を飛ばす。が、気がつけば、辺りの炎は炎の花を咲かせており、黄色い液体は全て消し去った。


ユミ「私達の絆、それはずっとこの地を愛して、夫も同じくらい愛して、私が放った矢が、その絆を超えたのよ」


ギーク「マーチェさんからは奥の手として、炎の種子を買っておいて、得した。お前の特性は分かってる。何らかの幻覚作用のある、もしくは、魂を蝕む作用のある“共鳴の荒者”特有の洗脳道具を使ってくると思っていた。これは我々の故郷に伝わる所謂、魔法陣ってやつでね。強制的に魔物を地母神“シュブルス”様に与える直送便なのよね。さぁ、還った!還った!とぉりゃ!」


ケイン「ふむ。ぶりょりょりょりょ、!!」

ケインは全身の姿を黒い、エスメラルダの顔を引きちぎり、投げ捨て、植物の角が生えた剛腕の化け物へ変貌させ、全身の鱗を鋭く尖らせて、翼を腕に植物で生えさせ、炎の花を薙ぎ倒すようにギークとユミに近寄るが、徐々に炎の花が、蔵であった、木材や、様々な物を蝕みながら、ケインを飲み込む。


ギークとユミは辺りを見渡したが、その場は静まり返り、2人だけになった。


ユミ「ギークぅ」


ユミとギークはお互いに、抱きしめ合い、炎の花が、赤い薔薇へと変わった。そこへ、グレッグドに跨ったマーチェとグレンとグーが駆け寄ってくるのを見て、恥ずかしそうに2人はお互いの手を握り合わせて、気まずい顔をする。


マーチェ「先程のお金。返しますよ。依頼です。ギークさんアレを見てください。」


ギーク「アレは?奴らの花か?奴等は何がしたい?」


マーチェ「ええ、事態は深刻です。火の聖域に置いてきた商品や、仲間が心配です…一緒に護衛して向かって貰えませんか?」


ギーク「これは勿論としか言えないな。」


ユミ「そうね」

2人はそのまま抱きつく。マーチェ一行は呆れてしまうが、この2人の力を信じきっていた。あれ程短時間に魔法陣を起動する仕組みを容易くこなす技に彼等は圧倒された感情があるからだ。

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