↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
責務の王国  作者: Chadenshisu
第三章「糾合」
25/25

第二十五話「権威」

※この物語はフィクションです。登場人物、団体名、設定などは架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。


※用語解説

レウエンベルク…ロイエンベルクのロムルス語読み

グスタブス…グスタフのロムルス語読み

ロマリア…ロムルスの現地語読み

タイフォン…テュポーン(特級怪物)のロムルス語読み。

最高皇祇官…皇帝を頂点とする儀式を執り行う役職。


調査隊壊滅バーン!作戦開始ドーン!

全て壊滅ドーン!

宗教黎明バーン!!宗教中興ドーン!!

現代描写バーン!!宗教分裂ドーン!!

国家乱立バーン!!断片開示ドーン!!

聖戦会戦バーン!!救世発生ドーン!!

大公発見バーン!!王国黎明ドーン!!

大公昏睡バーン!!大公覚醒ドーン!!

前線状況バーン!!!研究停滞ドーン!!!

組織改編バーン!!!試験と前線ドーン!!!

監視と外交バーン!!!外交の前提ドーン!!!

ベルン公国バーン!!!

 パイプオルガンの音色、波が空間を満たす。

周囲には人工の小川が広がり、重厚な白樺の机に載せられたものは、蒼に捕らわれ倒れることは無い。

トーガの群れが蠢き、思い思いの歓談に耽り、ある者は隅で何事か抑えて話している。


 そんな中で、一人だけ、青いスーツに身を包む男が居た。

男の周りにいる者は、幾ばくか大きな声で囁やきあう。


 「あの者は?」「何だったかな…レウエンベルクという国から来たという。」「レウエンベルク?かのような異邦とは…とんだバルバロイではないか。」「あぁ、思い出した。」


 「グスタブスだ。」


 「彼の名前は。」そう独りごちる者は、一人の存在に目を留めて道を開ける。

その周囲も、手を腹に当てて頭を垂れる中、一人の男が、スーツの男に向けて歩み寄った。


 「グスタフよ。此度の宴、我がロムルスとしての歓待は、楽しんでもらえているかな?」


 グスタフは、一つ、頭を下げ、そして男の目を見据えると答える。


 「えぇ、ロムルスは美食の国だと聞いておりましたが、実に過小な表現であったと感嘆する次第です。

調度品も実に素晴らしい。」


 グスタフは周囲を見渡し、微笑みながら続けた。


 「我がロイエンベルクでは、机を魔導具にする事はありません。

このような壮麗長大な建物もまた、稀でありますから、当然、美しい小川が屋内にせせらぎを魅せるなど、夢のまた夢でありましょう。」


 彼は、間を置くと、結ぶ。


 「総じて、ロイエンベルク王国の使者として、ロムルスの歓待には非常に満足しております。皇帝陛下。」


 その言葉に、皇帝は緩やかに頷くと、言った。


 「それならば、余個人としても、ロマリアのアブソルートゥムとしても、祝うべきであろうな。」


 大仰に片腕を広げ、場の全てに響く静かな声を、皇帝は発する。


 「ロイエンベルクの客人、グスタフに!」


 そうして、ゴブレットを持つ片手を掲げると、広間が震える程の歓声が上がる。

その歓声は、奇妙に冷気を伴っていた。


 グスタフに、ロムルス貴族の波が迫る。

旧暦時代、ロマリア千年伝説、共和政から帝政へ。

グスタフの話など、その狭間に飲まれていく。

人の波は次第に収まる。その頃には、グスタフの表情筋は些か引き攣っていた。


 そんな彼に、皇帝が声を掛ける。傍らには、白いトーガに身を包む者共が居た。

皇帝が、口を開く。


 「楽しんでいるようで、何よりだ。グスタフよ。」


 グスタフは、衣服を整えると、軽く頭を下げ、言った。


 「皇帝陛下。良き歓待に感謝致します。」


 皇帝はアルカイックスマイルを浮かべ、後方の男達を手で示す。


 「彼等を紹介しよう。グスタフ。貴兄の目的には、欠かせぬ者たちだ。」


 暫しの沈黙。破ったのは、グスタフであった。


 「皆様、お初にお目にかかります。ロイエンベルク王国外務省より渡来しました、グスタフであります。」


 男達の中で、初老に差し掛かろうかというものが、頷き口を開く。


 「ロマリア帝国元老院議員、クレイスだ。アブソルートゥムへの絶対的な服従者である。」


 クレイスに続き、中年の男が声を発した。


 「同じく、最高皇祇官セリヌンティウス。ロマリアの下僕と言われている。」


 最も若手に見える男は、無表情に答える。


 「護民官ガイウス。ただ、民衆の下僕たらんと欲している。」


 皇帝は、笑みを深めると、言った。


 「皆、余の忠実な臣下であり…。」


 グスタフの目を鋭く見つめ、続ける。


 「元老院の有力者達だ。」


 ゆっくりと左右に歩き、そして皇帝は言った。


 「要件を聞こうか。王国の使節、グスタフよ。」


 グスタフは、周囲を密かに見渡す。皇帝はそれを見やると、声を発する。


 「案ずることは無い。余の周囲を越える場に、ここでの音は届かぬ。」


 紫色のトーガは、微かに蒼く揺らめていた。


 グスタフは、静かに笑みを消すと、皇帝を見つめる。クレイス、セリヌンティウス、ガイウスの顔を其々見やり、口を開く。


 「ならば、良いでしょう。出来うるならば、大使館にあるトーガを身に着けておきたかったところではありますがね。」


 そうして、ゴブレットの中身を飲み干すと、彼は続けて言った。


 「ロイエンベルク王オットー6世陛下より、ロマリア皇帝オクタウィアヌスへの意志を授かっております。」


 皇帝は、片眉を上げ、問う。


 「ロイエンベルクの王は、なんと?」


 グスタフは、一息に答えた。


 「我がロイエンベルク王国は、ロマリア帝国との共同戦線を提案します。」


 クレイスの顔が歪む。セリヌンティウスは眉を顰め、ガイウスの顔は変わらない。

皇帝は、口を開くクレイスを止めるように片手を挙げ、緩やかに下げながらグスタフに問うた。


 「何に対するものだ?」


 グスタフは、淡々と言う。


 「特級怪物…確か、こちらの言葉で言うところの…」


 「タイフォン」


 皇帝は、目を見開き声を発する。直ぐにアルカイックスマイルへと戻り、そして聞いた。


 「俄には信じがたい。アレは眠っていた筈だが?」


 グスタフは、静かに答える。


 「えぇ、つい数年前までは。」


 「よろしいですか?」そう断りを入れ、グスタフは懐から書類を取り出す。

滑らかな紙面には、規則的な文字が並んでいた。


 「これが、証拠となります。あぁ、ご安心ください、ロマリア語への翻訳は済んでおります。」


 差し出された書類。クレイスは皇帝と目配せし、ゆっくりとソレを受け取った。

紙面がめくれる。クレイスは一つ頷くと、ソレを皇帝へと渡した。


 数分に渡り、紙のこすれる音が響く。

皇帝は、書類をクレイス達に手渡す。その顔は、些か蒼白に近づいていた。

それは、伝染するように面々へと広がっていく。


 「何故だ。」


 掠れるような声で、皇帝は問うた。

皇帝は、続けて言う。


 「何故、我々に助けを乞う。否、それだけではない…。」


 グスタフは黙して語らず、皇帝は口を開く。


 「何故抗えるのだ。」


 グスタフは答えない。


 「旧暦時代、貴様らの地は蛮族の地であった。それは貴様らの咎ではなく、ただただその地が、旧世界の手に負えなかったからだ。

ここにある内容は、真に迫っている。なればこそ…。」


 皇帝は、そこで口を閉じる。グスタフは、皇帝の目を正面から見つめ、そして答えた。


 「我等には、彼の地しか無かったからであります。

貴方達ロマリアが、この地を平定した理由と、全く同じでしょう。」


 皇帝は、少しの間目を瞑る。静かに目を開けると、口を開き、言った。


 「話を聞こう。」

本日も、ご読了頂きありがとうございます。初めましての方は初めまして。チャデンシスと申します。大体2週間に1話で投稿しています。


前後作も読んだ方が、時系列が分かりやすくなると思うので、オススメです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。