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責務の王国  作者: Chadenshisu
第三章「糾合」
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第18話「始動」

※この物語はフィクションです。登場人物、団体名、設定などは架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。


前回からの、あらすじ。

魔物増加バーン! 調査決定ドーン! 

調査隊壊滅バーン!作戦開始ドーン!

全て壊滅ドーン!

宗教黎明バーン!!宗教中興ドーン!!

現代描写バーン!!宗教分裂ドーン!!

国家乱立バーン!!断片開示ドーン!!

聖戦会戦バーン!!救世発生ドーン!!

大公発見バーン!!王国黎明ドーン!!

大公昏睡バーン!!大公覚醒ドーン!!

 金属を金槌で叩く音、工具にて岩盤を削る音が、闇夜に沈む周囲にけたたましく鳴り響いている。

かつて「オペレーション・オーバーチュア」の集積地となった大要塞には、今や大工事の真っ最中であった。


 暗闇の中で、サーチライトに際立つ警戒色のヘルメットを被った作業員は、土嚢を運ぶ手を止めて、腰を両手で支え、体を伸ばすと、紫煙を燻らせる男に、気怠げに話しかけた。


 「おい、ヘリブル。タバコ休憩たぁ良いご身分じゃねぇかよ。

ったく…何処で手に入れやがったんだ?」


 ヘリブルは、ニヤリと男臭い笑みを浮かべ言う。


 「マーカスじゃねぇか。なぁに、コイツぁど偉い研究者様に、恵んでもらったのよ。吸うかい?」


 そう言い紙巻きタバコを差し出すヘリブルから、少し荒い手つきでソレを受け取ると、イソイソと火をつけ、暫し後に紫煙を吐き出した。

夜闇に浮き上がった紫煙を見るともなしに見遣る。


 そうして一時の休息が二人を包んだ。ふと、マーカスがヘリブルに話しかける。


 「…どう思う?」


 ヘリブルは横目で彼を見遣るが、沈黙が辺りを包む。

煙を吐き出し、ヘリブルは彼に問う。


 「なんのことだ?工事の納期か?異常に多い人員か?

…それとも、中央から来たとかいう、研究者様たちか?」


 マーカスが眉を顰めているのを構わず、ヘリブルは言い切る。そんなヘリブルに、声を潜めて彼は言った。


 「研究者様達の事よ…こりゃあ要塞工事だろう?何だって学者が関わるんだって話さ。」


 ヘリブルは、吸い殻を地面に落とすと、長靴の爪先で嬲るように踏み潰す。

そして地面を見たまま、吐き捨てるように答える。


 「さぁな。俺は知らん。お上のやる事は分からんよ。」


 マーカスは、隠れたように赤く光る煙草の先を上下させ、戯けたように返した。


 「オイオイ、そりゃねぇよ。テメェさん、学者とヤケに親しいじゃねぇか。なんか知ってるんじゃないのかい?後生だからよぉ、教えてくれよ。」


 ヘリブルは、軽く眼球だけで上を見、呆れたように声を発した。


 「なんだそりゃあ、お前は何時の間に乞食になっちまったんだ?」


 そう言っても尚、此方を真っ直ぐに見つめる彼に、降参の意を示すように軽く両手を挙げると、ヘリブルは気怠げに口を開いた。


 「分かった分かった…つってもな、俺だって大したことは話してねぇよ。ただ、ここらの測量図の、修正なんかを手伝っただけのことよ。」


 マーカスは、片眉を上げ、少し音の外れた声を上げる。


 「測量図ぅ?学者様の方が、良いもん持ってるだろ?なんで今更、そんなのを俺等に頼るんだ?」


 ヘリブルは腕組みをし、ぶっきら棒に答えた。


 「俺が知るか。」


 そう言い歩き去るヘリブルを見送ると、マーカスも業務へと戻っていく。

辺りに湿った足音が静かに吸い込まれていくと、暫し後に辺りが沈黙に包まれた。


 白い天幕、翻るのは黒鷲の旗。大要塞の中心に、それはあった。

ある人影が近付いていくと、簡易ドアを空け入った。

少しの喧騒、彼女は、中央に鎮座するテーブルに近付くと、メモを広げ鋭く見つめる。


 そんな彼女に、話しかける声があった。


 「臨時ライン研究主任、探しましたよ、何処に行っていたんです?」


 彼女は振り返り、眼鏡の奥から無表情に声の主に告げた


 「視察です。より詳細な情報が求められるからこそ、私たちは此処に居るのですから。

あと、その回りくどい呼び方は辞めてください。エリス研究主任と呼べば、それで通じます。分かりましたか?レーベル臨時ライン研究員?」


 苛立ちの混じる声、レーベルは肩を竦め、仰々しげに言う。 


 「それはそれは、申し訳ありませんアンナ研究員。この長ったらしい名に、辟易としていたものでして。

しかし、視察は他の研究員に任せれば良いのでは?此処に居るのは荒くれ者です、何も研究主任たる貴方が赴かずとも、それこそ私にでも命じれば宜しいかと。」


 アンナは、少し黙ると、ゆっくりと口を開いた。


 「…それでは、二次情報となってしまいますからね。クリスティアーネ所長には、極力バイアスのかからない情報を伝えねばなりません。故に、後に精査するにしても、口伝は避けたいのですよ。

とは言え、私だけではいい加減手が回りませんからね…次からは、手分けしてお願いします、レーベル研究員。」


 そう言い、彼女はレーベルを見つめる。レーベルは一つ頷くと答えた。


 「拝領しました、アンナ研究主任。此方、本日の精査分です。クリスティアーネ所長に、ヨロシクお伝えください。」


 レーベルから文を受け取る、アンナを軽く目を通すと、彼に向けて頷き、答えた。


 「良い出来です、それでは。」


 音が押し寄せるように、喧騒が戻る。アンナはメモを片付けると、魔信機に着き、ヘッドセットを付けた。

魔素の波は線を伝い、二音に乗せて情報を伝える。ほのかな蒼色は役目を果たした。

本日も、ご読了頂きありがとうございます。初めましての方は初めまして。チャデンシスと申します。大体2週間に1話で投稿しています。


前後作も読んだ方が、時系列が分かりやすくなると思うので、オススメです。

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