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うらやましい話
先ほどは変身する瞬間チェムを見つめていたので猫になった。とすれば見つめた対象者の『恐怖するもの』になれるのではないかと仮説が立てられる。
「こうなったらもうアジスのやつだめなんだよなあ」
チェムはあきらめた表情でかぶりを振った。
「よし、いくぞ」
俺の体が再び光って縮む。
「きゃあー、モフモフ!」
俺の姿から目を背けるチェム。視界を遮るようにアジスが飛び込んできた。
えっ、いい匂いしてそれこそモフモフ……
「モフモフ、モフモフ」
俺の意識は今にも昇天しそうだった。




