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異世界転生達の相談室  作者: 磨雄斗
33/33

0.俺たちの相談室

────コロウマ相談室、開室前。


バンッッッ


「ぎゃあああっ!?」

「下宮くん!!!!!」

勢いよく、という域を楽々と飛び越えた激しさでドアが開け放たれた。ピンクのハートピンをつけた真花だった。


「お前、まじいつかドア壊すから優しく開けろ!!」

「大変大変!手紙のとこに玄関が置いてあったの!」

「話聞け!!てか逆!!」

「えへっ!早く下りてきてね!」

はぁっ……

もうツっこむのつかれたのでベッドからおり、部屋を出る。階段を慌ただしくおりる真花について行き、相談室に来た。


黒イスのひとつに座ったヒロさんが、手を組んで机をじっとり見ていた。

「──待ってたよ〜、しょ〜ねん」

「どうした。で、手紙ってそれですか?」

「あぁ〜、さ〜開け給え」

「なんでそんなキャラ崩壊してるんすか……」

俺はそーっと白い手紙を手に取る。


差出人は……書いてない。

手紙は、ロウソクのろうを溶かして型を押したタイプのもので封がされていた。


俺はヒロさんが妖しげに渡したペーパーナイフで封をあけ、中身をとった。


そっと、白い便箋を開く。


『異世界転生達の相談員たちへ

簡潔に言うと、あなた達の世界をもう一度ゼロから作り直したい。

半年間ずっとあなた達と向き合えずにいたが、ようやくひと月前に覚悟が決まった。今あなた達の世界の作り直しを行っている。

もう磨雄斗としてはあなた達を書けないが、別の世界軸であなた達の世界を描かせてもらう。それはとても先になるかもしれないが、どうかこの作品の中で、その時が来るまで待っていて欲しい。

あなた達が生きる世界が、できるまで。

磨雄斗』


………えーっ、と?

「つまり、"異世界転生達の相談室"は未完結のままお開きになるということだ」

「わっ、厨二病いつの間に!?」

「だから厨二病やめろ。嫌な予感がしたから来たまんだよ。……にしても突然だな、よが予想していたより遥かに早い」

「よそ〜してたんだな。ふ〜……さすがだぜ〜」

「お前、なんでそんな頭おかしくなっているんだ?」

「ショックなんでしょ」

ん?てか、もしかしてヒロさん、最初から手紙の内容知ってた?


「そ〜んなことないよお〜う」

うわ、わざとらしい。てか、また心の声が出てた。本当なんで出るんだろうか。


「……ねぇ、本当に言ってるの?もう相談室、無くなっちゃうの?」

「……いや、作者が準備できるまではココにいられる、って書いてある。しばらくは、よ達も何とかするからまだいられるだろう。心配するな」

「………嫌だよおおっ!!まだニャーラルちゃんに恋恋サクラ貸し切ってないのにー!!!」

「まだいろ〜んなとこ行ってないのに〜」

「LOstVE、来月に復活記念シングル出るのに……」

「まだ時間あるって言ってるだろ。てか相談室のことに触れろ、相談室のことに」

本当にお前らは愚民だな、とガブリエル(仮)さんが銀髪を書き上げる。エメラルドの瞳から、綺麗な雨粒が降りてきた。


「……あれ、泣いてます?」

「はぁ?ならっ、何を言っているんだ下の愚民」

「うわ、ほんとだポロポロ泣いてる。大丈夫?」

「元気だしな〜せ〜ねん」

「ひ、ひっつくな!泣いてねぇしひぐっ」

今しゃくりあげましたけど。


「ほらほらーまだ作者の準備出来てませんから、安心してー」

「お、お前らも、ぐずっ、だ、抱きつくなうっ、気色悪ぐすっ、わ、悪い!」

「ほれほれガブちゃん、いい子いい子」

「撫でっ、撫でるな岩の愚民!!」

「素直になりましょ〜よ〜」

「あーもー離れろお前らー!!!」

そういいつつ、ガブリエル(仮)さんはしくしくと泣き始めてしまった。俺たち……特に俺を強く抱きしめるので、離れようが無くなった。


真花もつられ泣きしてしまい。ヒロさんも顔を歪めてしまった。俺は不思議と、涙がこみ上げてこなかった。


───相談室、楽しかった。

短かったけど、たくさんの異世界から相談者さんが来て、たくさんの悩みを教えてくれて、たくさんの笑顔を俺たちが作れた。


そりゃ、解決できなかったことも、未解決だったこともある。まだまだ俺たちのところに来ようとしてる人達もいるかもしれない。後悔はあるけど、それでも、心は充分満たされていた。


───いや、充分は盛ったな。

忘れた『何か』も、夢の中の少女も、水晶のことも、相談室の厨房にある黒い扉も、俺の独り言拡散の理由も、結局正体が分からずじまいだし。わりと心残り多いな。盛りすぎたわ。


……でもまあ、次の相談室で分かるのかな。

俺らが()()()()()相談室で、すべての謎が解けるのかな。

そうだといいな。てかそうじゃなきゃ行きたくねぇ。真花とヒロさんとガブリエル(仮)さんで居残りしてやろ。


「ひぐっ……なんでさっきから微笑んでんのさ下宮くん」

「ん?いや、次の相談室楽しみだなーって」

「ポジティブだなしょ〜ねんよ〜」

「じーーーっん!!……やっぱりあだまおがじいなじだのぐびんは」

「何言ってんのかさっぱり分かんないんですけど。あ、てか俺のポケットからティッシュ勝手にとりました!?」

「ずずっ……天下のガブリエル様に使われたんだ、感謝しろ」

「しないわ!」

「そこは、そだね〜で認めよ〜よ〜」

「うわ、なんか懐かしいそのセリフ!私もなにか懐かしいの言おっかなっ」

「なんだそれ。あ。じゃ、これまでの相談者の振り返りとかする?」

「お、ないすあいでぃーあ!下宮くんにしてはいいこと言うじゃん!」

腹立つけど、それも懐かしい言葉だな。


「まあそっちは勝手にやってくれ。俺は帰る」

「まー待ちなさいって泣き虫さん」

「お前本当に帰るぞ」

「あんたには自分の知ってること洗いざらい話してもらうよ!この水晶のこととか!」

「人の話をきけ!あとそれは次の相談室でいいじゃないか!」

「そ〜は行かないよ〜?僕達をこ〜んな事にしたのはあなたのせ〜なんだから〜」

「う、たしかに」

単純。


「……なんか言ったか?」

「いーえいえ。まぁ時間はあるし。ゆっくりでいいから教えてくださいよガブリエル(仮)さん。これで少しは心残りなく、次のステージへ進めますから」

「なんだステージって……まあ、仕方ないな……はぁ……少しは話してやるよ」

「やーりぃ!」

楽しげに真花が笑う。涙のあとが消えずにガブリエルさんは呆れ顔を作る。まだテンションがおかしいけど、ヒロさんはいつも通りカウンターに向かっていった。


さて、今日は真花が相談員をするようだし。俺は記録係をしようか。

真花が椅子のひとつに座り、その前にガブリエル(仮)さん、俺はその横に座る。


……たぶん、ここでの最後の相談室。

俺は、ふと込み上げてきた感情を飲み込み、真花からメモ帳とシャーペンを借りる。ハートのピンは、愛しいほどのピンク色だった。


「それでは、厨二病強制相談室を始めます!今回相談員を担当させていただきます、西岩真花ですっ」

「記録係の、下宮理雄です」

「コーヒー係の古鳥広斗で〜す〜」

「ではではっ覚悟しろよ厨二病!!」

「はぁ……はいはい」


コーヒーの香りがふわっと鼻をくすぐり、俺たちの相談室が始まった。

はい、というわけで、突然ですが、磨雄斗としての『異世界転生達の相談室』はこれにて完結です。


もうこのままだと予告状の相談室の続きかけないな、このまま完結まで繋げられないな、と思ったので、思い切って完結することに致しました。

私の力量不足です。すみません。


今度別アカウントを作って、そこで新たな相談室の物語を作ろうと思います。一応『異世界転移達の相談室』的なタイトルで行こうと思っています。楽しみに待っていただければ幸いです。

投稿する際はこちらのアカウントで予告させていただきます。


そしてそして、きっと存在しているであろう、この作品を応援してくれた皆さん、本当にありがとうございました。私の拙い作品を評価してくださる方々も、本当にありがとうございました。とても嬉しかったです。ずっと忘れません。

どうか頭の片隅に、下宮理雄、西岩真花、古鳥広斗、ガブリエルの4人や迷えた相談者たちの存在を覚えていただければ幸いです。


今までありがとうございました。以上、磨雄斗でした!





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