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パリィタンクが往く、リーヴラシル・フロントライン  作者: ゼノ
空を見上げ叡智を知り、地を見て深淵を知る。
43/68

草原の踏破完了

 コカウロス、どうしてお前は、メスが強い。

 雷滅の尖兵(ゲイルズアサルト)の撃破後、またもや連戦を経てコカウロスと戦った。戦ったのだが……なんか凄く強かった。こう……羽毛が減って、ナイスバルクを見せつけるような姿の、パワーisジャスティスな感じの……フィジカリーバードをさらにフィジカルモンスターにしたような化け物だった。モンスター撃破及び卵を採取せよってクエスト内容だったので嫌な予感はしていたが、コカウロス(♀)と表示されていた時、俺達は表情が死んだ。卵を守る――――まだ見ぬ子供を守る母の目を掻い潜って卵を盗むなど到底許されることではなく、超凶暴な母コカウロスと戦う羽目になったのである。吹っ飛ばされたヘイズのHPが半分持っていかれる、カバーに入ったソフィアの防具が破損ギリギリになった、フラウヤの矢を弾くなどのトラブルに遭いながらも、何とか卵をキャンプまで運びきった俺達は、疲れ切った顔で地面に突っ伏していた。


「馬鹿だろ、マジで……!」


「母は強しとは言うけど、これは予想以上にヤバかったわね……」


 卵はギルドで研究するらしいが、何の研究に使うのやら。経験値がたくさん貰えるのはありがたいのだが、二度とやりたくないと思ってしまう最後のクエストだった。強いやつと戦えるのは大歓迎だが、こうもガツガツ来ると胃もたれを起こしそうになると言いますか……


「アオヘビ君、レベルは?」


「49。多分ティアラに報告したら50になる……あとジョブレベルも上がった……28だと……」


 上級職に切り替えることも視野に入ってくるが、フラウヤがもう少し育てたい云々と言っていたのを考えると、レベルが上がらない代わりに、何らかのボーナスが存在する可能性がある。例えば、他の上級職のクエストを獲得することができるとか。リヴラインについて俺はまだまだ知らないから、何がきっかけで面白いものを見つけるのか分からないからな。


「そういえば、団長は戦士だし、やっぱり戦帝(ウォーロード)を視野に入れてんの?」


「ウォ―ローグ?」


「フヒヒヒ……戦帝(ウォーロード)だよ、アオヘビちゃん。狂戦人(ウォーローグ)も一応あるけどね」


 フラウヤとヘイズが話してくれたのは、戦士系統にて最高職の一つとされる職業、戦帝(ウォーロード)なる職業。何でも、武器を大量に背負って戦うことでボーナスを得られる職業で、武器の切り替えをすることで効果を発揮するスキルなどを覚えられるテクニカルな職業だそうだ。あと得意な武器がたくさんあるとか――――ああ、そうそう。このゲームは職業によって得意な武器が変わるのだ。まぁ、弓使いが剣を使っても、剣に関するスキルを覚えにくい、みたいな感じ。ちなみに俺ことアオヘビの得意武器は槍。なので、槍に関するスキルを覚えやすい。なお、バーストランサーは刺突属性を持っている武器であれば使用可能らしい。何で? バックスライサーとかスパイラルバーストの系列はソフィアとヘイズも使えるから何となく分かるが、ランサーって付いている名前なのに、槍じゃなくても使えるのはどうして? 系統が同じだから、とか?

 ……話を戻そう。続いて教えてくれた狂戦人(ウォーローグ)は超インファイト型。剣、短剣、シミター、拳など……短いレンジで戦う職業だ。死ぬことを恐れないバーサーカーにぴったりなスキルを多く覚えるそうだ。どちらも魅力的だが、戦帝(ウォーロード)は最高職、戦狂士(ウォーローグ)は戦士職と並行してモンクを育てないといけない。俺は槍を使ったり、刀を使ったり、短剣を使ったり、拳を使ったりする戦士にして鍛冶師。戦場の帝王にも、戦場の狂人にもならない道にいる。なので――――


「あんまり考えてないな。そもそも、その職業についても今知った」


「ああ、団長ってあんまり攻略サイトとかアプデとか見ないもんな」


 む、失礼な。


「一応見てるぞ? こう……バーっと。右を見て、左を見て、右を忘れる感じで」


「人はそれを見ていないって言うのよ?」


 ちゃんと見ていない、と言ってくれ。一応重要項目っぽいところはちゃんと確認してるから。攻略サイトとか掲示板とか、色々確認してるから。ネタに走るコメントを追って見逃すことはよくあるけど、確認はしてるから。というかソフィアに誘われてこのゲーム始めたし……チュートリアルは基本的にソフィアチャートなんだよな。そこに俺流が混ざっているせいでちょっと色々起こってるけど。


「てことは、スキルの融合とかも知らないのか?」


「融合なんてできんの?」


「フヒヒヒ……やっぱり知らなかったんだ……ソフィアちゃん、ちゃんと説明しないとダメだよ……?」


「アオヘビ君のことだから勝手に気付くと思ったんだけど」


 妙な信頼をされているな、俺。というかスキルの融合って、そんなこともできるのか、このゲーム。


「例えばなんだけど、アオヘビ君のスキルにドラゴンスレイってあるでしょう?」


「ああ、うん。あるな」


「それと……そうねぇ、ウォークライを混ぜてみましょうか。カーソルを合わせて、ウォークライを長押ししながらドラゴンスレイに合わせてみて」


 隣に座るソフィアの指示に従ってスキル一覧でウォークライを選択して長押しすると、文字が浮き上がる。それをドラゴンスレイに合わせると――――『スキルを融合しますか?』という文言が表示される。小さい文字で、融合したスキルは融合を解除することも可能です、と書いてるのでお試しでYESを押す。


「……お?」


 スキル融合が完了し、ウォークライとドラゴンスレイが融合した『ドラゴンロア』というスキルが誕生した。当たり前だが、ウォークライとドラゴンスレイは消えている。


「へー……!」


 掛け合わせたスキルは、強力なスキルになるが、その分リキャストタイムも長い。しかし、それに見合う効果を持っているようだ。ドラゴンロアは、ドラゴン系モンスターとの戦闘時にステータスをランダムアップと、筋力増加及びヘイト増加――――にプラスして、叫んで発動することで若干のダメージ判定を数回発生させるようだ。うんうん、中々いいスキルじゃなかろうか!


「ちなみに、熟練度――――スキルが一つ進化した後のスキルの横にあるⅡとかⅢとかの表示が高ければ高い程、融合後の進化で強いスキルになるわよ」


「単品だとその先には進化しないのか?」


「融合後にレベルアップすれば進化するわよ」


 へぇ……なら、スキルの熟練度を意識して上げるためのレベリングなんかも大事になってくるのか。ただひたすら脳死でレベリングする……っていうのもよろしくないわけね。


「フヒヒヒ……あと、融合後進化したスキルは、完全に融合した状態になって解除できなくなるから気を付けてね……」


「まぁ、ギルドでちょっと高いギールを支払えば完全融合を解除できるけどな! わざわざ解除するようなものではないし、初回は無料だけど!」


 まぁ、熟練度が低いスキル同士を混ぜていて、ふとレベルアップしたら完全に融合して若干弱いスキルが生まれてしまった、みたいなことが起こってもリカバリーができるように運営が用意した救済措置、といったところか。意外と親切だなリヴライン。狂ってるところはとことん狂ってるけど。……おっと、こんな時間か……


「四時だし、一回落ちるわ。夕飯の準備しなきゃ」


「じゃあ私も落ちようかしら」


 そもそも俺はソフィアの家にいるからな。不埒な行為を行うつもりは全くもってないが、ソフィアも一緒にログアウトするのがいいだろう。夕飯を食べるタイミングを合わせるという点でも、作り置きの料理の作り方を叩き込むという点においても。大丈夫、ソフィアはダンス以外はそつなく熟すから、見ているだけでも覚えてくれるだろう。


「じゃ、クエストの報告したら一旦解散だな! 何時からやる?」


「あ、私十時からしか入れないのでそこんところよろしく……」


「じゃあ十時からでいいんじゃねぇかな」


「「「異議なし」」」


 よし、満場一致。愉快なレベリングは一旦これで切り上げて、ソフィアの料理レベルを上げるリアルの方のレベリングを始めるとしよう。

ちなみにアオヘビこと碧は家事力のレベルが87くらいと結構高めです。ゲーム仲間でのランキング的には以下の通り。


1位 アオヘビ Lv.85

2位 フラウヤ Lv.80

3位 ソフィア Lv.79

4位 とある脳筋ビルド社会人 Lv.70

5位 恋人未満とルームシェアしている侍(遠距離)ビルドの大学生 Lv.64

6位 恋人未満とルームシェアしている海賊ビルドの大学生 Lv.62

7位 ヘイズ Lv.57


レベル40を超えていればとりあえず問題なく生きていけるレベル。カレー、シチューは問題なく作れる。一汁三菜はまだまだ遠い。

50なら、比較的問題なく独り暮らしが可能なレベル。一汁三菜は無理でも、一汁一菜はいける。汁物を諦めたら二菜までならいける。

60で少し手間のかかることなんかもチャレンジできるレベル。綺麗な卵焼きが作れるようになり始めるころ。一汁二菜なら余裕。時間があれば残り物を使ったお弁当にも挑戦できるかもしれない。

70はテキパキと家事を片付けられるレベル。一汁三菜を作り慣れてくる。朝食+お弁当+作り置き数品目もできるようになる頃。ちょっと手の込んだ料理とか、裁縫とかやってみようかなとか思い始める。

80はどこに出しても問題なく主夫も主婦もできるレベル。Lv.50が一つ家事を終わらせた頃には二つ、三つ家事が終わっているか同時進行している。大量に常備菜を用意して、お弁当も毎日開けるのが楽しみになるレベルに到達している。


ちなみにレベル100は家政婦とか執事で食っていけるレベル。本気になれば花音がその領域に到達するが、絶対にしない。花音はLv.90です。

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