愉快なレベリングの始まり
VRゲーム部門のランキングにて、まだまだ下の方ですが、この作品を見かけるようになりました。本当にありがとうございます。見た時は何かの間違いではと思いましたが、読者の皆様、本当にありがとうございます。
昼飯はパテとサラダとパンとジュース。美味しくいただいて、歯磨きを済ませた後は楽しい楽しいレベリングのお時間です。
合計レベル80にならないと話にならないので、しっかりレベリングをしていきましょう。……というわけで、愉快なレベリングに参加するメンバーはこちら。
まずは俺ことアオヘビ、レベル35で合計レベルはまだ60代! パリィタンクの癖にパリィ系スキルはパリングカウンターのみというイカレ具合! 攻撃スキルでパリィできないのかね? やれるのなら俺はパリィタンクをもっと極めたいと思う。盾? 攻撃判定のある盾が手に入ったら考えるよ。
うちで一番レベルの高いソフィア、レベル99で合計レベルは179! エンチャントを駆使した属性攻撃によるDPS担当だ! しかもスキルで高速移動しながら攻撃したりエンチャントしたりするからそう簡単には被弾しないぞ! 被弾せずDPSを稼いでくれる人は人権。
騎士だと思ったらゼロ距離で魔法を放ってくるヘイズ、レベル65で合計レベルは100! HPは最低限しか確保していないはずなのに、耐久と鎧が堅牢すぎて中々死なない厄介なゼロ距離魔法使いだ! お前魔法使いなのに鎧着てるのか……え? フルプレートに見せかけて実は中鎧程度の重さ? サブジョブで獲得したモンクだからバフもかけれる? 機敏に動く魔法使いとか最高の罠か?
最後に錬金弓のフラウヤ、レベル65で合計レベルは100! 三桁三人! ポーション、バフ、デバフ、何でもござれな薬品を弓でお届けしてくる遠距離支援専門! この人がいるだけで安全マージンが確保できる! 色んなゲームでお世話になりました今回もよろしくお願いします。
以上! 愉快なレベリングに参加するメンバーだ!!
うーん、俺の場違い感よ。俺が条件をクリアする頃には、皆のレベルが80を超えているのではなかろうか。
「で、自然闘技場行きか?」
「よく分かってるわね」
「ということはあれか? 当たり判定力学と戦わないといけないのか?」
「そうね。楽しみでしょ?」
「いいや全く……」
当たり判定力学を装備したNPCと戦うとかやってられないので遠慮したいです。
「真面目な話、どうするつもりだよ。やりたくないぞ、当たり判定力学NPCとの戦闘なんて」
「フヒヒヒ……そういうと思って、対策アイテムを持ってきたよ」
そう言ってフラウヤがインベントリから何やらムカデっぽいナニカが入った小瓶を取り出した。ムカデっぽいナニカは干乾びており、生きてはいなさそうだが……ちょっとこう……SAN値チェックが入りそうなデザインのムカデだな。
「これが対策?」
「フヒヒヒ……これを首に下げてると、特定のNPCが近寄って来なくなるんだよ……」
「ゲテモノを首に下げてればそりゃあ近寄りたくないよな!」
ヘイズの意見に深い頷きを与えたい。こんなSAN値直葬しそうなデザインのムカデのミイラを入れた小瓶を首に下げてたら、普通に変質者扱いされるわ。それかどっかの狂信者を疑われるわ。
「まぁ、このアイテムは置いておいて……穏やかな草原、ざわめく森、悪路苦進の湿地帯、このどれの自然闘技場に行くかだが……」
穏やかな草原の自然闘技場は第二段階まで見てきたが、他は全く見ていない。ざわめく森と悪路苦進の湿地帯は、間違いなくシャームドラゴンとスライムオブレギオンとの戦いが待っているだろうが……ちゃんと穏やかな草原の自然闘技場のクエストを完全踏破した方がいいのか? それとも別エリアの第二段階まで……いやしかし、当たり判定力学NPC対策アイテムをフラウヤが用意してくれたんだから、穏やかな草原を踏破するべきか……?
「…………………………よし、決めた。穏やかな草原の完全踏破だ!」
「よし来た! 行こうぜ団長!」
「決めるまで結構時間かかったわね」
「フヒヒヒ……まぁ、アオヘビちゃんが決めたのなら、私達は従うよ……」
「エンブレム作成まで押し付けてきたこと、今でも忘れてねぇからな?」
「「「はて」」」
こ、こいつら……! まぁ、こういう軽い感じでの返しもしてくれるから、皆とゲームで遊んだり、オフ会開いたりと結構楽しんでるんだけど。オフ会を行う店の予約とかは基本的に未成年じゃない連中がやってくれるし。フラウヤとか他メンバー三名とかが。俺、ソフィア、ヘイズはまだ成人してないから、お酒の提供がない会場を探してくれる四人に感謝。
「よし、とにかく行くぞ皆! 目指せコカウロス五分以内討伐!」
「さすがに楽勝じゃね!?」
「フヒヒヒ……悲報:自然闘技場は平均レベルのモンスターが集まる……」
それでは計算しよう。我々の平均レベルは……(35+99+65+65)÷4=66。つまり66レべル相当のモンスターが現れるのだ。うーん、修羅の国。まぁ、合計レベルもあるから、そこまで脅威ではない。俺が一番の足手纏いまである。そこら辺はプレイヤースキルで補うというのが、俺達が魅了されているVRMMOの醍醐味というやつだ。
というわけでティアラからクエストをゲットしてから、いざ往かん穏やかな草原の自然闘技場。どんな街からでもギルドが亜音速の速度が出ているのではという疑惑がある馬車で送ってくれるので、すぐに到着する。さぁ飛び込め修羅の国!!
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「グギュルオォ……!」
さぁて、前にやった時よりも早く出てきたなコカウロス。俺も前とは全然違うんだぜ? 何せ仲間が増えてるからな! うちのDPS二人を倒したいなら、先に俺を倒さないと話にならないぞ!
「来いよ!」
「グギュルオオオオオ!!」
「単調! パリングカウンター!!」
からのスパイラルバースト! いい感じにクリティカルのエフェクトが飛び散り、呪毒が蓄積されている感じがする。幸先のいいスタートを踏めたな! というわけでうちの魔法系DPSの攻撃を存分に喰らってくれや。
「『星屑よ、火を纏う星屑となり、我が敵を切り裂け』!」
短文詠唱と共に俺の後ろから現れた騎士(魔法使い)ことヘイズのレイピアに、炎のように赤いエフェクトが瞬き、レイピアがまるで、弱い炎を具現化させたロングソードのように変化した。
「『星屑剣:火』!!」
「グギュルオッ!?」
「ははは! まだまだ行くぜぇ!! 『星屑よ、土を纏う星屑となり、我が敵を斬り裂け。星屑剣:土』!!」
おお、カッコいい。モンスターを炎の剣や土の剣で切り裂く姿はまさにファンタジーの騎士。けど忘れてはいけない。あいつは魔法使いだ。本来ならこんな最前線で攻撃するような職業じゃないんだ。本来なら――――
「ギュッ!?」
「フヒヒヒ……! お届け物ですよ……!」
「こうして後ろから援護してくれるもの、なんだけどな。ポーション助かる!」
フラウヤが矢に括って飛ばしてきた試験官が砕け、中から毒々しい黄色の液体がコカウロスの体を蝕む。あれは確か……麻痺毒だっけ? 耐性にもよるが、五秒間モンスターの動きを停止させるとかいう、中々凶悪な状態異常を引き起こす毒。呪術にはHPやMPを削るデバフが多いが、フラウヤのような錬金術師が作る毒は、動きを止めたり、耐性を大きく低下させたりするものが多い。いやはや、敵には回したくないものだな、こういった厭らしいデバフを生み出せる有能なやつとは。しかも、俺達前線三人衆に渡されたポーションは、スタミナ回復速度上昇や若干のリジェネ効果付与という有能すぎる効果付きのポーションだ。
「おっと、攻撃はさせてやれねぇなあ?」
動くタンクを好き勝手させちゃダメだぜ、コカウロスよ。何をしでかすのか分かったもんじゃないからなぁ!! バックスラッシュから進化した我がスキル、バックスライサーを喰らえ!! ふははは! 後方から関節をぶった切られたら、そりゃあ体を倒しちまうよな?
「後方注意だ! 決めろ、ソフィア! ヘイズ!」
「誰に言ってるのかしら」
「任せろ!!」
「フヒヒヒ……防御ダウン薬品投下……!」
関節を切られ、大きく倒れて起き上がれなくなったコカウロスの弱点である頭に、ソフィアのエンチャントが乗った双剣と、ヘイズの魔法剣が炸裂する。しかも防御ダウン効果のある薬品をぶっかけられたら、もうコカウロスに勝ち目など無かった。さらばコカウロス。いつか夜の方を撃破しに行くから、その時にまた会おう。
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プレイヤーネーム:アオヘビ
レベル:40
職業 戦士 Lv.25
鍛冶師 Lv.10
所持金:19000ギール
体力:35
魔力:25
持久:122
筋力:31
敏捷:102→142
技術:75
耐久:5(20)
幸運:20
スキル
バーストステップⅡ
スカイウォークⅠ
ウォークライ
バーストランサー
バックスライサー
スパイラルバースト
シールドバッシュ
パリングカウンターⅡ→パリングカウンターⅢ
エンデュアーアジリティⅢ
エンデュアーテクニックⅢ
ドラゴンスレイ
草原狩り
鍛冶魔法Ⅲ
鍛冶呪術Ⅳ
装備
呪毒の槍
闘士の籠手
頭:洞窟の羽帽子
胴:洞窟の胴鎧
腕:洞窟の手袋
腰:戦士の腰布
脚:洞窟のレギンス
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うっし、着々と上がってるぞ! んじゃ、敏捷にぶっぱで。この後はキノコ狩りをして、第三段階に突入か。……まだ休憩時間には満たないな。