二人の温もり
ちょっと短めです。
ジャンルは「ファンタジー」ですが、なんだか甘くなってきました……
「恋愛」に転向すべき……?
当初の予定の「クーデレ」になれるか?アル坊!!
明確な拒絶をした翌朝、爽快に目覚めたDは驚愕する。
またしてもアルバートに包まれていたからだ。
軽い制裁の後問い質せば、悪びれもせず、
「昨夜もうなされていたから」
そして戸は、すんなりと開いたと言う。
季節柄による温もりの心地良さと長年の不眠が軽減された事も相まって再び退ける事が出来なかったDは、なし崩し的に受け入てしまい、その習慣は一時的にせよ二人の間で定着した。
ふと思い起こすDにとって、温もりの記憶とは遥か昔に失った安らぎの象徴であった。
本当の幼少の頃、姉妹のように育った仲間と三つ巴になってじゃれあうように眠った微かな思い出と、色褪せること無く胸に刻みつけた彼との束の間の触れ合い。
そして今は、いつか失うと分かっている温もりに縋ってしまうほど孤独であったのかと、自嘲気味に嗤った。
また、アルバートにとっては幼少に得られなかったもの。それを取り返す手近な相手として求められているのであろうと推察し、お互いの孤独を埋める行為として受け入れた、というのも拒めない理由であった。
作業の合間、澄んだ空を見上げDは独りごちる。
「約束の期限まであと数年。間に合ってくれるのだろうか」
季節は移ろい、手狭になったと言うアルバートの部屋からベッドが消えるのは、また別のお話。
誤字・脱字・意味の読み取りずらい表現など、ございましたらお知らせいただけると助かります。