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魔女の待ち人  作者: 周
本編
22/39

待ち続ける由

あれ……?おかしいです。

これもほのぼのギャグテイストになる予定でした。

なのに……予定は未定であり、決定ではない!

って、ことでご容赦いただけたらと思います。


週に一度の休日を、森の小屋で過ごすアルバート。騎士見習いを経て従騎士になった彼は少年から青年にさしかかり、長身を持て余すように居間の長椅子に凭れ本を読んでいた。

その背後から、妙な節回しの声が掛かる。


「もっし、もっし、アルや、アル坊や~」

「そろそろ坊やは止めて頂けませんか?」


本に落としていた顔を背後に向け、無表情で言い放つ。


「おやおや。いつの間にこんな慇懃無礼な子になった事やら」


大げさに肩をすくめて見せるDに溜息を吐きながら低い声で聞いてきた。


「……いつからだと思います?」


それを聞かなかったかのように、芝居がかった仕草で頬に手を添え、続ける。


「遅い反抗期かの」

「いつからだと思いますか?」


問いを被せたアルバートから、心なしか冷気が漂ってきた。慌てたDはエヘっとばかりに小首を傾げる。


「い、いつかまえ(5日前)、からか?」


アルバートから一気に力が抜ける。手に持っていた本をサイドチェストに置き、背後の人の手を引いて正面へ導いた。


「は~、もういいです。で?」

「ふむ?」

「何かご用があったのでは?」

「そうそう!しばらく使っていなかった器具が見当たらなくてな。心当たりは無いかの?」

「どんな器具ですか?」

「こんな……」


手でフラスコを二つ繋げた形をなぞる。


「ああ、それですか。ずーっと使っていなくて、台から落ちそうになっていたから、落として割る前にここに避難させましたよ」


言いながら居間の隅の戸棚を漁り、ご要望の品を探り当てた。


「素晴らしい!助かったよ!!」


喜色満面のDがそれを受け取る。


「で?」


アルバートの眼鏡がキラリと光った。


「はえ?」


少々間の抜けた声とキョトンとした表情のDを薄笑いで見下ろす。


「お礼は?」

「?助かった?」

「それではなく」

「ありがとう?」

「何故、疑問形?そうではなくて――こちらが良いです」


両手がふさがり咄嗟に動けない相手に、屈んで軽く口付けをした。


「ぉおおおおおおおおお主は幼女趣味か?!」


器具を放り投げて後ずさるDと、素敵な反射神経でそれを受け取るアルバート。

何事も無かったかのように本の横に器具を置き、壁を背にしたDを腕の中に囲う。


「Dは260歳でしょう?」


何かを求めて探るように、あるいは確認するように、紅と黒の瞳が細められた。


「そうだが……見た目は少女だ」

「でも、この額飾りが無ければ20歳位になるんでしょう?」


額の鎖を人差し指ですくい、つっと滑らせ紅い石をもてあそぶ。


「外せれば、な」

「どうしたら外れるの?」

「禁呪が解ければ外れるの」

「どうしたら禁呪は解けるの?」

「術者が滅すれば、あるいは……」

「じゃあ、その術者は、何処に居るの?」


お互い瞳を逸らすこと無く交わされた遣り取りが、沈黙に変わる。

先に目を伏せたのはDだった。


「知らぬ」


Dの視線を追って腰を屈め、若干見上げてくる目は力強かった。


「全く心当たりは無いの?」

「全く、無い」


言い切られて初めて、黒い瞳が揺れる。


「だから私は待っている」


続いた言葉にハッとして、黒い瞳に再び力が燈る。


「あ奴は必ず私の元に、来る」


厳然と言い放った紅い瞳は、決意に満ちていた。



そして若干重めの話は長くなりがちです。


誤字・脱字・意味の読み取りずらい表現など、ございましたらお知らせいただけると助かります。

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