うわさの魔女
自分の中では、これ位の長さが理想なのですが……
それにしても「サブタイトル」に懐かしさを覚えてくれる人はいるのでしょうか(苦笑)
いつも通り魔法陣を通り納屋から出てきたら、玄関前にDが立っていた。
所在なさそうだったのが、アルバートを認めて満面の笑みに変わる。
「お帰りなさい、アル坊!ご飯になさいます?お風呂になさいます?それとも……」
「うん。Dは取りあえずお風呂に入ろうか」
「ボケ殺しとは……釣れないのぅ」
口を尖らせて拗ねるDの横を目を眇めて通り過ぎ、一人さっさと家に入ったアルバートは、鞄もそこそこに手際良く風呂の準備を進め、布巾を濡らして玄関に戻る。
「いつから待っていたの?こんなに体を冷やして」
「半刻程か。このまま入ったら叱られるからの」
「そうだけど。どうしたらこんなに泥だらけになれるの?」
心底呆れた顔で服の泥を軽く叩き落としてから、Dの足元に跪き片足を取った。
「少々興が乗って、な」
両靴の泥を丁寧に拭い、睨み上げてくる。
「少々でここまでにならないよ。ほら、髪にまで付いてる。きちんと丁寧に洗うんだよ?」
「任しておけ!」
「……返事は良いんだけどな……」
「何かおっしゃったかの?」
「いいや?はい。ごゆっくり」
腑に落ちないDをお風呂場に押しやり、アルバートは夕食の支度にとりかかった。
「あ~極楽であった」
湯上りで頬を上気させたDは、くつくつと良い匂いをさせている鍋を横目に、水を一杯呷る。
「どこのオヤジですか。ほら、髪からまだ雫が……」
椅子に掛けてあった乾布で長い髪を挟み、軽く叩いて水気を含み取る。
「本当に……今までどうしていたの?」
居間の長椅子に腰かけさせながら、溜息を多分に含んだ声は背後に回る。
「何とかしていたさ!」
見やって反論しようとした頭を押さえて、目の粗い櫛で梳き始めた。
「何とか、ねぇ」
少年の頭の中に、泥だらけのまま家に入り、水で手足を流し、風呂を沸かし、髪を濡らしたまま床を拭くDの姿が浮かぶ。派手にクシャミするおまけ付きで。
「まぁ、何とかはなったんだろうけど……魔法でどうにかできないの?」
「できんの!私が扱えるのは少ない魔力をゆっくりと時間を掛けて練り上げる事だけだ!ゆえに、魔法陣や『魔女の秘薬』などの方面で威力を発揮する」
腕を組んで鼻息も荒く、言い切った。
「威張って言う事?」
「ちっちゃい事は気にすんな!」
「……噂されている魔女の実態がこんなだなんて、街の人が知ったら唖然とするだろうなぁ……全く別人だもの。地味過ぎる」
「酷い言われようじゃのう」
残念な子を見る温い瞳を向けながら、別に用意していた乾布で髪を包み器用に巻き上げた。
「取りあえず、お茶にする?」
「頂こうか!!」
はじけたのは、Dの笑顔かアルバートの心臓か。
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